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【前立腺ガン治療日記⑤】ガン治療一番の悩み…


第2クールがスタート

前立腺ガン陽子線治療は、1週間に4回月曜日〜木曜日まで行い、そのあとは自宅に帰る。金曜日は通常仕事をして、土日を挟んで、また、月〜木というサイクルで3週間行われる。今日は2週目のスタート、5回目の治療となる。

基本的に、陽子線を当てる治療は、ほんの5分程度。しかし、そこに至るまでのプロセスにいろいろな注意が必要となる。何度もこの日記にも書いているが、排便を必ず済ませなければならない問題と膀胱に尿を200mlぴったり入れとく問題。

両方ともだいぶ慣れてきて、うまくできるようになってきた。尿200ml問題については「多い尿をちょっとだけ出す」という神技めいた技術を身につけた。多少多めに溜めておいて、エコーで測ってもらって、多い分を「ちょい出し」。これができるようになったので、準備はとても楽になった。少し多めに溜めるように水分を取っておけばよい。格段の進歩だ。

度重なる陽子線治療により、前立腺が結構弱っているらしい。前立腺の中を尿道が通っており、それも仕方なく被曝するため炎症をおこす。なんとなく排尿時に違和感を感じるのはそのせいらしい。新しい治療ウィークが始まるということで、主治医の先生との短い面談もあった。

一番の悩み

治療自体には慣れてきたのだが、いろいろ考えなければならないことがある。ガンキャリアのカミングアウト問題だ。ぼくが前立腺ガンになったことを、どのタイミングでどこまで他の人に話すかというのは、いろいろ難しいことだ。

もちろん、妻と息子と娘には話した。子どもにまで話す必要があるか?と迷ったが、もう、2人とも成人している大人なので、知って欲しかった。特に、ぼくの父もぼくと同じくらいの歳に前立腺ガンを患った。もしかすると、息子も同じ病気になるかもしれない。だから、やはり、この病気について話しておいた方がよいと考えた。

問題は、ぼくの母へのカミングアウトだ。80歳近くになる母はとても心配性だ。コロナを挟んでさらに心配性度合いが増した気がする。「必ず根治するから」と説明しても、きっとガッカリするだろうし、心配するだろう。なんだか、そんな思いをさせるのは気が引ける。

しかし、「私だけが知らなかった」と後で知るのも寂しいだろう。実は、父にはこっそり話している。父と母はぼくが8歳の頃に離婚している。もちろん、父とはそれからずっと一緒に暮らしていない。しかし、同じ病気になった父には最初に色々アドバイスをもらった。

父だけに知らせてしまったために、さらに母に話しづらくなってしまった。

自宅を離れ、長く札幌に滞在している理由を他の人に聞かれた時には、いろいろ話がややこしいのと、嘘をつくのが面倒なので「前立腺ガンの治療なんだよね」と笑顔で説明することにしている。大体の人はハッとした顔になるが、「根治立100%なんです」と話すとホッとして顔をする。ガンの話をするのは、不用意にマウントをとりに行く感じが拭えないのだけれど、聞かれたら正確に答えるようにしている。

しかし、なかなか母に話すタイミングが図れない。もしかすると、治療中に話してしまった方が母の心のダメージも少ないのかもしれない。もっか、これが、ぼくの一番の悩みだ。そんなこんなで治療は続く。

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