林檎会

赤の他人だけど兄弟と呼べる人が2人いる。
3人とも椎名林檎が大好きだから林檎会なんて名前付けてタイミングがあった日に集まって音楽を聞きながら談笑しつつ酒を飲む。

テレビにYouTubeを繋いで見ているのだけども、
真ん中の兄がリモコンを毎回欲しがる。
「兄貴、リモコン。」なんて言いながら可愛い笑顔で手を伸ばす。
1番上の兄貴がそれを見て「やだ。」って言うのがお決まりの流れ。2人のリモコン争奪戦を見ながら笑うのが本当に幸せでずっとこのまま遊んでいられたらなんて思うけども、当たり前に時間は過ぎていくもので、気づけば朝の7時なんてざらにある。

帰るのが本当に寂しくて、次集まれるのはいつだろう。という不安感が毎度付き纏う。
林檎会の次の日から1人ニヤニヤヘラヘラ思い出し笑いをしながら林檎会の余韻に浸って仕事をするのだけども、幸せに思いながらもやっぱり寂しさがある。毎月この日に集まろうなんて決められたら不安感もないのだろうが、兄貴達の仕事が飲食なもんでなかなかそう上手くはいかない。
上手くいかないのは分かっているのだが、我慢が効かないもんでしばらくすると「兄貴達会いたいっす。」って駄々をこね始めてしまう。申し訳ない。

呼び出される時間は大体深夜3時以降。
急に電話がかかってくる。
「おつかれー、お前今何してんの?今から俺ら集まるけど来る?」
もちろん行くに決まっている。出勤時間が10:30だろうが行く。睡眠時間なんてどうでもいい。
そしてまた朝の七時に解散するのだ。
兄貴達と一緒に笑えるなら何時だって向かう。
そしてまた2人のリモコン争奪戦を見ながら笑う。
次はいつ集まれるだろうか。
夜桜でも見ながら散歩とかしたいな。
兄貴達会いたいっす。

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