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第25回3分ゲーコンテストに出した拙作『SVG,FPS,running』について解説します

ハローyoutube!

という事で、まったく分からない、説明して欲しい、
分からな過ぎてむしろコメントしないのが多数派という状況がありますので、
ここで第25回3分ゲーコンテストに出した拙作[SVG,FPS、running]について解説したいと思います。

何から話しましょうか、まず発端としてはこのツイートが分かり易いかも知れません。

https://twitter.com/gamecome111/status/1356174073655529473

今回の3分ゲーにも同じくFPSである[CYNOROID 3D]を出されている、ばすから氏とのリプライ、やり取りです。
時は実に2月、半年前なので当のばすから氏も覚えていないかもですが。

ばすから氏は普段からちんちらを肩に乗せ、伊集院静の様な文章を書かれ、海外ライクなゲームを作られる方。
そんな氏に111さんがFPS作るとなると、各種エンジンとかを使って開発されるのでしょうか、
と地味にハードルを上げられるというか、期待が痛いリプライをされた訳です。

そこで111は大見得を切ってしまいまいた。

・ピカソの様なキュビズムをFPSに取り込みたいなと思っている
・海外のFPSは現実のレンダリングを志し進化していったが、一方、で日本の漫画的表現というのは面白くて、コマ割りによって一瞬を色んな角度で閉じ込める事が出来る
・個人規模でのFPSでは、「移動しない」事が重要

キュビズムっていうのはピカソとかが描いた、一枚の絵に複数の視点が詰め込まれた構図ですね。
そして考えてみれば、漫画ってカットインというか、想像して欲しいのですが、2ページの見開きに絵を描いて、
そこに同時間起きてる事を小さなコマとして配置したりする。
でそれをばっと見た時に、一つの光景を見ながら同時に色々と起きてる事が把握できる。

これは私が先日書いたブログなんですけど、あ、今回の話はこんな風にめちゃくちゃ話題が飛びますよ、深淵ですからね。

> どこかで言わなきゃいかんと思ってるのだけど、
> ファミコン~PSみたいな、急速な技術発展と共にゲームがあった世代の私にとっては、
> 「ゲームとは何が出て来るか分からないもの」ってのがある。
>
> ゲーム=これこれのルールの下でやる遊びではなく、
> 新しい事が出て来てなんか良く分からないジャンルが出来ていく、それが俺の定義する『ゲーム』体験なのだと。

そんな訳でFPSつってもFPSを出すつもりは無い、まず何があったらFPSか、FPSの概念を崩しつつFPSであって欲しい。何回言うんだFPSって。

余談ですが、2008年、13年前に私が作ったFPSだか何なんだか、DOOMぽい
[ラストサバイバル]https://www.freem.ne.jp/win/game/1986
はその点でちょっと手探りしておった。
FPSで思うのは、まぁ景気良く銃をガガガとしているが、これ殺される側の心象がいちいち流れ込んだら嫌だろうなあと、
じゃあそれやったろうと。
そういう事で、ラストサバイバルではいちいち倒す敵がセリフを吐くのである。
そんな気持ちもあったんじゃないかな、まぁやってるのは銃じゃなくて素手で、キモイモンスターをボコにするっていうゲームなんですが。

でFPSの概念を疑えよぉっと。
FPSってのはちょっと面白いジャンルの定義で、ファースト パーソン シューティングなんですね。
視点が重要になってくる。
これが肩越しのカメラになると、TPS、サードパーソンシューティングである。
原則として主観視点、あとシューティングっていうのもあるけど、でも例外的に素手で殴っても許容される雰囲気があったり。

思えばゲームジャンルってのは、RPG、これはロールプレイっていう心理学用語なんですけど、
ACT、これはアクションすることその物を指す。
ADV……アドベンチャーとまぁ、ゲーム初期の頃は動詞が元になってたりしましたね。

それが横STG、縦STG、クォータビューのRPGみたいに視点が問題になって来たりして。
この括りもいや時代はポリゴンなんだからカメラ横に倒したら横STGだし、縦にしたら縦STGだろと怪しくなって来てますが。

一方でローグライク、メトロヴァニアなんてのも言われるようになって来た。
これは象徴的なゲームがあって、それっぽい、って事ですわね。

ええ、こんな言葉を吐いてるのは少しでも自分の学識に箔を付けようみたいな事です。
ローグライクとかは忘れていいよ、今回重要なのはFPS、これは視点が大事、あと補助的に弾を打つっていう動詞が大事って事ですな。

っていうことは、主観視点じゃないけどこれはまさしくFPSである、と感じさせたならこれは結構な発明たり得るかなあと。
例えば知識が古いかもですが、視界のジャックとかもあるでしょうか、主観視点から主観視点をまたぐっていう。
そういう思考をしてアイデアを出していきます。

でキュビズムの事もあり、じゃあそもそも主観視点ってなんやねんと。
ポリゴンならともかく、それ漫画みたいなイラストでいったらかなり怪しいぞと。
今ここに箱があったとして、まあその箱の手前に腕でも描いたら主観視点、FPSぽいなあとなるのか。
ところがここに手前の腕を消して、人間の背中を描いた三人称、TPSって事になっちゃう。
なんだそれ、やってるのは絵を消して新しく付け加えただけだ。

そしてまた話が飛びますが、今画面に一本の線を描いたとき、恐らく人は一次元と感じるのではないでしょうか、
いや正確には一次元ってのは厚みさえも無い事なんで、線としてある以上は二次元だろって事になりますが、それはええねん。ええねん。
でもう一本線でも引いて、交差させて、十字架にしたら、恐らく見てる人はそれをああ座標がある、二次元だ、みたいに感じるだろうと。
でその線を更に斜めに引いたりして、箱を描いたら人間ってのは不思議なものでそれを立体的な箱だと感じる。
ポリゴンを3Dゲームみたいに言うように、そういう立体的な絵を三次元として扱う事になっている。
正確にはモニターの上にあくまで描かれてるだけで二次元なのにね。
で更にだ、箱の一部を黒く塗ったりして、壊れた風に見せてみましょう、そうするとあぁさっきの箱が壊れたんだと、
そこに時の変化を感じる事ができる。
今ここに箱に対して塗る事で、時間を操作する事ができた、じゃあその黒く塗ったのをまた元に戻したりしたら、時間が戻ったと言えるのか、
これは四次元的なアプローチと言えるかも知れない。

言いたいのは、主観視点だ、三人称だ、時間だというのは、見てる人がそう感じた時にそうなるんだという事なんですね。
二次元も三次元も見てる人の内にある。実は描画レンダリングはそれへの働きかけにしか過ぎない。

この理論を持ってすれば、なるほど、キュビズム的な一枚の絵に複数の絵を持たせる事が出来るかも知れないな、
かくてばすから氏に大見得を切った、FPSにキュビズムを取り込んでみせますよ……半年後、またここに来て下さい……というノルマを達成できるかも知れん。

という事で、本作の111のゲームでは背景をクリックすると線が解体され、つまりこれは立体、3D的に感じていた背景が2Dに、そして次元さえも無くなるという事ですね、
そうしたステップを持って次の風景を描きますし、
そうすると敵たるガンマンもですが、背景が街並だった時は、屋根の上に立つような位置だったのが、
風景が描き、消されてどこかのビルの屋上の、遠く向こうに立っている感じになります。
ガンマンは変化していません、風景が解体されると屋根の上に立っていたのが、すっと向こう側に立っている事になるという。
敵がガンマンという事もあって、何かそれぞれのドラマティック的なシチュエーションが、見てる側の内側で、意味合いを変えるのだという。

言わばそういう独自のレンダリングを持っている訳です。

だからガンマンはまるで同期的に存在するようにあちこちに出現しますし、
またガンマンが遠くに立っているのに、漫画のコマのような踏み出すカット、あるいはガンマンの横顔のアップも入ります。
遍在している訳です。


問題なのは今大層に宣った事を、恐らく二つの点で感じ取りにくい事でしょうか。
一つは線が解体されて次の絵の線になっていく、という事が演出で分かりにくいこと。
これがねえ、いや当初当て込んでいた技術が、私が描いた絵をSVGにするという、あ、SVGっていうのも分からないかな、
これはFLASHの頃から、正確にはその前のpost scriptから開発された技術みたいなんですが、
要はFLASHとかは拡大しても線が粗くならないよと、そう言われるじゃないですか、それを担保してる技術ですね。
ベジェ曲線なので描くという。
で、ばりばりと描いた絵をSVGに変換してくれるというツールが御座いまして、
あぁこれを使ったら、自分の絵が線ごとに面白い動きをするんじゃないかと。そしたら物凄く気持ち悪くてぇ、この動きがゾンビゲームに使えるんじゃないかって……

まぁそれを当て込んでいて、それは良かったんです。
でももう一つ当て込んでる事があって、そうしてSVG化した自分のイラストを、良い感じに動かすライブラリってのもあるんですね。
あぁそういうのがあるんだ、じゃあこの二つを組み合わせたら3分ゲーに出せる様な物が作れるじゃない。
そう当て込んでいたんですが、いざ3分ゲー制作開始となってそのライブラリをSVGに適応してみたら、これがいかな神のイタズラか、
ウンともスンとも動かねえ。
焦りましたよ、そこから何とかSVGの仕様とか実装調べて、今回の色々な演出は全て自分で処理描いてますから。それだけでも褒めて欲しいくらいだ。

思うのは、例えば銃弾を殴ったら一本ずつの線に分解されて、でぱらぱらと、まぁまるで西部劇で草が空中を舞うが如く。
一本ずつの線になって風に吹かれて散っていったらカッコ良いし、何か意味が深そうだぞとか思ったんですが、
もう当初当て込んでたライブラリが動かねぇんだから。必死なんだから、こっちは。
まぁ間に合いませんでしたねえ……

でもう一つの点で感じ取りにくい事ですよ、多分話題が離れたんでハテナ? ってなってるでしょうか、
高い理想を感じ取りにくい一つ目は演出がもっとやれたわなぁということ、で後もう一つ瑕疵(かし)がある、って話ですよ。

でそのもう一つの瑕疵ってのは、ずばりこれ、ゲームですから……
そのキュビズムだかを、やっぱ操作で感じたいんですよね。
今やってるのはただのクリック、100歩譲っても射的ゲームやないかい、いやそれはまったくのそう。

考えてたのは、このSVGのパスってのはHTMLのpathタグが一つずつ持つものなので、
じゃあそのpathの構成要素っていうのを、例えば風景とガンマンで移動しちゃうんですよ。
風景を構成してるpathを、ガンマンの中に移動させたら、割と面白いんちゃうかとか。
それをクリック&ドラッグみたいにして結び付けるインタラクションを備えてたら、あるいはもうちょっとこのゲームが問う物が分かりやすくなったんちゃうかとか。
これもまぁ、少し試みましたが、そこまで単純に上手い具合にはならないかな……、
結構汚い絵になるってのと、あとまぁ、そこから練って、改善していくには時間が足りなかった。

出来上がった物はそれなりに、まぁ、多分初見で少し驚くと思って、その驚きが出来ただけでもひとまずはコンセプト成功って所まで
時間の無さ故に、ハードルを落として完成させた訳ですが、
でまぁ、出来合ったゲームから見れば想像できないだろうけど、SVGとか触るの初めてでしたからね、
もうイチから調べて、書かれてる通りにやっているけど動かねえ、こういう事なんか? って所から手探りでしたから。
しかも期待してたライブラリはダメだったんだから、そこから、それなりの動きになるように自分で動的に動かしていけなくちゃいけない。

SVGをパス単位で動的に動かすってのは、まぁSMILみたいな規格はあるんですけど、今回は重すぎるんでそれは使わなくて、
60フレームでupdate回しながら干渉させたんですけど、これ技術的には結構面白いんじゃないかと思います。
思いますが、まぁ開発途中では思いませんでしたけど、完成させてみたら重いですよねえ……

3Dの表現って時に、皆まずポリゴンを思い浮かべると思って、でポリゴンと言えば、なんか重い、って印象があるじゃないですか。
PS1とかの世代だけか?
まぁパソコンでも、GPUとか無いと扱えないな、みたいな。
でも考えを改めましたね、3D表現をやる上では恐らく一番軽いアプローチが、ポリゴンなんだろうなあと……
3Dってのはどうあれ計算量が多すぎて、それでもやっとマトモに扱えるのがポリゴンじゃなかろうかと。
まぁSVGというとフレームワークみたいな事も考えられますけど、まぁ言えるのは、ともかく知見が少なすぎた、志が高すぎた。
だって当て込んでたライブラリがさあ……

だいたいゲームプレイでキュビズムを感じさせる必要がある訳ですけど、それって正味、どうやるんだよ?
2Dなら例えば二次配列でマップ表現をするんだとか、3Dなら行列だとか、適したデータ構造が開発、提唱されてる訳ですよ。
そういうプログラミングの体系がある中で、さぁキュビズムをデータで表現して下さいって。
いやそれどういう配列? 何次配列? ってね。

色々考えました、風景をクリックすると分解されるってだけじゃなく、
例えば敵の銃弾が迫る中で、カットインで出た顔をクリックすると、”そっちのコマの中”に逃げられて無事、当たらないとか。
主観視点かと思ったら漫画のコマの中に移動できる。
まぁこれも出来なくて、いま余韻を残すとしたら、2つめの風景で画面中央下部にマウスを持って行くと足が出たり、
3つめの風景の時に画面左右端に持って行くと、顔が出て、迫る弾が消える……とかですかね、
これは視点が変わっているからって意味を込めたつもりでしたが、さすがに絵を表示して敵の弾が消えるだけじゃ感じ取れないわなあ…・…


えーっとあと言って無い事は、あとはリスペクト関連ですね。
3分ゲーコンテストの登録コメントにも述べた、今までの3分ゲーで一番感銘を受けた作品というのは
「灼熱姫」ですね。
3分ゲーの第12回優勝作。
今はゲームそのものは遊べないのかな? 動画とか残ってると思うんで、これを聴き終わったら調べてみるのも良いかと思います。
今見てもカッコ良いですよ。
あの当時も111は低レベルな争いを繰り広げつつも、なんとなく、3分ゲーはおいらの領地だいっみたいな気分があったんですが、
ポッと出の作家に完全にノックアウトされました。
物が違う、それこそ次元が違う。
で聞いたらあのアンディーメンテの知り合いだという……調べると2007年の事らしいですが、
当時のフリゲ界隈を通し、ゲームの奥の奥、才能というものに完全にやられた瞬間だったというか。

あと元ネタというか、意識した事としては、ジョジョ4部のOP2番目、chaseが好きなんですよ。
特にあの途中から線がぶわーってなる所ね。
もしかしたらあれを再現できるかも知れんって、何度もリピートしてどうすればあの感じになるんだとか研究したくらいなんですが、
まぁこれも間に合いませんでしたねえ……

SVGという技術は、技術書書展かな、そこで手にした技術書の薄い本から知りました。
といってもそこでは少し触れられてるのみで、だから今回苦労が絶えなかった訳ですが。
SVGか、面白いなあ、これとかあれとか出来るかも知れんと色々自分の内部で蓄積してストックして、数年、
それが軽はずみなツィッターでのやり取りで飛び出て、個人的に後に引けなくなったり。
アイデアってそうやって出るんですよ。私の場合は……

まぁ今回最高の形で出せなかったのは残念ですが、まぁこれも締め切りがある制作っていう事ですからね。
お金が稼げるエロゲの方でも今回のノウハウが活かせたらなー、例えばSRPGの背景とかに、ふとこの線ぶわーしたら面白いぞって思うんですが、
まぁエロに直接関わる訳ではないですからねえ……
あと重さとか、最近のゲームエンジンの動向まで考えたらやっぱまず3D、ポリゴンとして扱って、
その上でシェーダーで線のみにする、シェーダー言語触った事ありませんが、それで線に干渉する、ってやり方の方が王道になるんだと思います。

こうしてまた次回の課題となり、創作は続くわけですな。

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