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Clubhouseが陰キャ文化に与える影響

なぜ自分はこういう、再生数1~2桁みたいな喋る動画を上げ続けるのか、
そして音声による一大プラットフォームが来るよ……とか思っていたら、
なんか急にClubhouseというSNSが持て囃され始めたけど、根本的な所で勘違いしている、という話をします。

えーまず、
”なぜ再生数1~2桁みたいな喋る動画を上げ続けるか”
ですが、これは少なくとも私の場合はですが、
こうしてまとまった内容を話していると、不思議に自己成長感があるんですね。

言うなら10年以上前にツィッター始めた時の感覚に近くて。
あの時の、あぁ、ここは独り言を言っても良いサービスなんだ! という驚き。
言わば長文の独り言や、思考実験が出来る場所になってる。
それならブログで良いじゃんと思うかもですが、
私は普段テキストベースで文章を書く人間なんですが、
10分とか15分、一定の期間を設けて喋った時に、驚くほど自分の思考というか、
生活のリズム……ペースに影響を与えるものがあったんですね。

思うに、喋る事は、書く事とは別の脳の部分に働きかける効果があって、
これが普段喋ってない人間には、想像以上の効果を上げるんじゃないかなと。

思い出すのは昔、自分がskypeである人とチャットした時の事で、
自分はマイク環境が無かったので文字で返信してたんですが、
とにかく相手の人は音声で連絡を取りたがるんですよ。

相手が言うには面倒臭い、そっちの方が生で伝わるよっていうんですが、
私にしてみたら、文章ベースにした方が証拠は残るし、
余計な事は言わないし、ちゃんと考えて書けば、文量も減るから早さだって変わらないよって思ったんですが。

つまりこれから察するに、世の中には恐らく文章を読み、文章を書く、
テキストベースでインプットもアウトプットもする人が居て、
それとは別に、人と会話し、その交わりの中でインプットし、
また人と話す事で伝える……アウトプットする、そういう文化を持つ人も居るという事ですね。

前者は陰キャ、後者は陽キャとも言えて、そしてそれらのノリの違いが
それぞれ異なる文化を築いているのは皆さんご存じの通り。

でそこで思うのは、私の様なテキストベースの人間が
10分だか15分だか喋った時の影響で、これが存外に刺激になりますし、
そしてもう一つ、会話ベースの陽キャにしても、これは普段経験した事のない経験だと思うんですよ。

だって普段の彼らのインプットでありアウトプットは、会話なんだから。
会話の中で他の人の価値観に触れてインプットするし、その場で伝えてアウトプットするって事ですよね。
これは凄く明るくて、一見良さげに見えるんですが、
まんざら良い方向ばかりに行かない……ってのは陰キャの我々は凄く承知している通り。
つまり、一人で考えを深めないと絶対至れない領域というのがある。
第一、会話で他の価値観に触れてって言うけど、
アホばっか集まった集団が話し込んでも、結論はどんどんアホな方向に行く、って事もありますし。

そんな訳で、自分だけでずっと喋るという体験がもたらすものは、
普段の生活に別の文化を持ち込む様なもので、それが自己成長感の正体なのかなと。

そしてそれは、ツィッターが呟きみたいな個人的な事柄を投稿しても良いんだと気付かせたように、
インスタグラムがインスタ映えなんつって、写真をベースにした行動を作り出したように、
凄まじいSNSというのは、新しい価値観を示して人の行動を変えうる、という事ですね。


そこで最近なんか話題になってるClubhouse批判なんですが、
招待してくれるイケてる知り合いが居るはずも無し、2つの記事を読んだだけですが、

いまシリコンヴァレーで最も注目されている新サーヴィス、音声SNS「Clubhouse」の正体

話題沸騰! シリコンバレーで人気の音声SNS『Clubhouse』が日本上陸! やってみた!

初めはほうほうって読んでたんですが、
要は会話すると楽しいーみたいになっているようで、あー分かってないわーと。

つまり今の行動様式の中で、web会議とかやる中で、あぁ声出すって案外良いかも、マイクとかの環境も揃ったし……って事で、
そこが伸びたって事だと思うんですよ。
それ自体は順当なんですが、でも順当過ぎて人の行動や価値観を何も変えてないよね、って。
だって声出して会話するのは当たり前じゃないですか。
そんなの、今までずっと生活でやって来た事じゃないですか。
陽キャがもっと陽キャってだけですよ。
それをSNSにしても何も変わらないです……、まぁちょっとしたビジネスにはなるかも知れないけど。

声で会話するだけなら、今までもskypeとかでやってたんじゃないですか?
まぁ記事でも余り触れられてない感じではありますが、そこからSNSとしてどう付加価値を付けるかだよね……ってくらいで。

そうじゃなく、普段喋らない人が喋るようになったり、普段会話ベースの陽キャ人間が一人で喋る事で、
内面と向き合うから違ってくる、って所に注目しましょうよって。

繰り返しますが、人々の価値観が変わるような新しい体験が楽しくて、
プラットフォームとして流行る、そこで生まれた新しい行動ってのに新しい需要が生まれて、
大きなビジネスになるんじゃないですか。

象徴的な事を言うと、2つの記事を見て、「会話」という言葉は何度も出てるんですが、
「対話」っていう単語が一つも出てないんですよ。
「会話」なんて今までどこでもしてきた事で……、まぁ頻度が増える事でなんかしらあるかも知れないですが、
根本的には変わらないですよ。
本当にやっていかなきゃいけないのは「対話」なんじゃないですか。
SNSというなら。
まぁ、シリコンヴァレーにこの辺のレベルの話はまだ難しかったかな、って気持ちですねえ……


話が長くなってますが、会話ベースでインプット・アウトプットしてだろう人間が
一人喋りをする事で新しく生まれた文化について一つ、例を示します。

日本でHIPHOPが流行らないのはダウンタウンのせい説【考察】 


というこの意見が、一人喋りの動画から出て来たのは重要だと思います。

内容としては、世界的に何も持たない人間の下剋上って感じのhiphopが流行らないのは、
本邦ではお笑いがその役目を果たしているから、
例えばダウンタウンによらず、島田紳助の頃から、ヤンキー、若者がお笑いをやって成功するんだというノリがありましたし、
それがダウンタウンとなると、自分たちのフッド、地元の文化をどうだと押し付けて、笑わない奴がおかしいみたいな物があったと。
認めない奴には暴力性でもって認めさせる、という尖った所も若い頃のダウンタウンにはありましたし、
そんな所が完全にhiphopだと。

第一、hiphopといったら女と金って感じがありますが、日本ではhiphopやるよりお笑い芸人やる方が女と金が手に入るしっていう。
あと違うとすればトラックとビークを合わせる事で時事性に早く反応できるとか、
ファッションとかの面で、自分はそこ含めて同人がhiphopの役割も務めて行くのではとか思ってるんですが、
まぁそれは関係無いからいいや。

で問題はこういうhiphopという、まぁ会話ベースの人間がやってるだろう文化への優秀な洞察や解説が、
一人喋りから出て来たという。
hiphopの人間が解説を試みる事はあったんですが、どうしても会話ベースなんですよ。
どうよこれ、カッコイイだろ? で終わりなんです。言っちゃったら言説としては浅い。
共感できる人にはそれで分かるんですが、そうでない人には全然伝わっていかなかった。

そういう中でコレっていうのは、喋りベースから新しい文化が生まれるんだぞ、という物を示すのに顕著な例だと思います。

既にコトが明らかになった今では、そんな解説、文章ベースでも出来ただろ、って言う事は容易いんですが、
でも一番初めに出て来たのが一人喋りを元にした動画であったという事で、
そちらの方がスムーズに考えられた、というのは大事。

考えるべき事柄に適した手法や言語があるという事ですね。
それを獲得できるということ。

一人喋りがプラットフォームになったら、きっとこういう思い付かなかった言説であったり、行動が出ていくと思います。
Clubhouseでの皆での会話って所から、新しい文化は生まれて来るでしょうか?

思えばnoteとかmeduiumとか、古くははてな匿名ダイアリーとか、
テキストベースによるweb上の論壇って立場を競っているんだけど、
考えてみて下さいよ、UIとか色々変えてみても、読む側にとっちゃそんなに変わらないでしょ。
だって結局は文章で、面白い事を書ける人は限られていて、その有名人があっちいくか、こっちいくか、っていう
引き抜きの話でしか無いのだもの。

新しい様式で、面白い事を言う人をもっと増やさないといけない。

個人的にはClubhouseもある程度まで伸びて、伸び悩んで、
その中で一人喋りが持つ可能性って事に気付いて、仕様を付け足して行くようになるのかなと思います。
これは私の大予言。何年後かに当たるかどうか。

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