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【BeBA TERRACE STORY】

vol.2 自然と調和する建物たち。

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盛岡駅の南側、岩手県立美術館をはじめ、
数々の文化施設が集約する盛岡市中央公園。
その一帯に整備されつつあるBeBA TERRACE (ビバテラス)は、
ゆたかな感性を持つ子ども、答えを自ら見つける子どもを育み、
「社会とつながる機会創出」を願う、
3つの民間事業者が主体となってつくる場所。
都市公園の価値向上をめざし、市民の皆さんと育てていく空間です。
さらに、その理念に賛同した事業者たちも徐々に加わって
「あそびとまなびをつなぐ場」づくりに邁進中。
ここでは、BeBA TERRACEに関わる事業者
それぞれの思いを、順次紹介していきます。

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建物が主張するのではなく
その中で広がる活動によって
個性あふれる場に。

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 芝生広場を取り囲むように配置されるBeBA TERRACEの建物群。これら全体の設計プランニングを手がけるのは、「atelier meie」の木村暁さん、彩さんの2人です。BeBA TERRACEの基本姿勢は、敷地内の自然環境と調和し、都市のオアシスのような緑あふれる心地よい空間を維持し、地域住民に提供していくこと。すでに完成した保育園、産直&ガーデニングショップに続き、2022年2月には飲食棟、さらに春以降は鉄瓶やホームスパンの体験施設、カフェ、スケートボード施設などがオープンします。業種の異なる施設が並びますが、切妻屋根と落ち着いたシルバーグレーの外観を基本色に統一することで、場全体の一体感を創出していく予定です。

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(画像/atelier meie一級建築士事務所が手掛けた「モリオカえほんの森保育園」)


 「公園の中にいろいろな建物ができるわけですが、外観はランドスケープデザインに沿って一体感ある佇まいに統一します。建物が強く主張しなくても、その中で広がる活動によって自ずと個性があふれていくはず。切妻屋根の連なりが山並みと重なって見えたり、杉板の外壁が時間をかけてより良い風合いに変化して風景に馴染んでいくことを期待しています。」と暁さん。敷地で最初に建築設計を手掛けた「モリオカえほんの森保育園」は、事業者から次のような要望があったそうです。
 「代表の浜田さんから、子どもたちが家のように過ごせる保育園にしたいという話をいただきました。そこで、厨房でご飯の支度が進む様子が見えるようにしたり、薪ストーブを囲んで絵本を読み聞かせるスペースなど、家を感じるような造りを大事にしています」。
 また、駐車場から園の入り口までの距離について、「あえて車と建物が少し離れた方がいい」という意外な要望も……。その理由は、働く親と子どもが、わずかでもコミュニケーションをとる時間を大切にしたいというものでした。表玄関へのアプローチはそれを踏まえ、季節の変化や自然を身近に感じながら散歩する森の小道のようになっているのだとか。

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(画像/モリオカえほんの森保育園の室内)


日常風景の一部となり、
公園の自然と調和する空間。

 実はこれまで、個人住宅を中心に建築設計を手掛けてきた2人。しかし、保育園も子どもたちの住まいと考えれば、基本となる思想は変わりません。そこには恩師である建築家・中村好文氏の考え方が受け継がれているようです。住まいは見せるための奇抜な作品ではなく、心地よく過ごせることが大事である、と。
 「たとえば、BeBA TERRACEの環境なら景色や幹線道路に対して全面ガラス張りにする選択肢もあったと思います。今回、そのようにしなかった理由としては費用や温熱環境のこともありますが、ある程度壁に囲まれているほうが空間が落ち着くというか、それによって室内にいるときの安心感が違ってくるように思うんです。壁と開口部のバランスは中村から学んだことの一つです」と彩さん。保育園の食堂ホールに設けたイングルヌックは薪ストーブを中心に配し、程よく壁に囲まれた小部屋のような空間。恩師を介して依頼したデザイナー・皆川明氏が描いた壁画によって、心地よい森の景色が室内に生まれています。

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(画像/保育園にて壁画を描くminä perhonen -ミナ ペルホネン- デザイナー 皆川明さん)


 いよいよ、輪郭を見せてきた建物群。各事業者に内装デザインを任せる棟もありますが、BeBA TERRACE全体の建築デザインコントロールは「atelier meie」が担います。中央公園全体の未来について、「公園がみなさんの日常生活の一部になり、ここで過ごす時間、ここで出会う人、ここで出来る体験がこの場所の魅力になっていくと良いなと思っています。建築はそれ自体の存在を主張するのではなく、風景の一部として違和感なく自然に溶けこみ、ここに集う人々にさりげなく寄り添うような存在でありたいと思います」と2人は口を揃えました。

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(画像/保育園の園庭から、現在建設中の飲食棟を見る)

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atelier meie /木村暁さん(右)・木村彩さん(左) 

共に一級建築士。盛岡の高校を卒業後、建築家の故・宮脇檀氏が創設した日本大学生産工学部建築工学科居住空間デザインコースにて建築を学ぶ。それぞれ建築設計事務所勤務等を経て、大学時代の恩師である建築家・中村好文氏の事務所「レミングハウス」のプロジェクトスタッフとして勤務。2018年、姉妹で「atelier meie 一級建築士事務所」設立。

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