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超急速充電対応リチウムイオン電池搭載の電気バスで実証実験、東芝と双日、CBMM

東芝と双日、CBMM(ブラジル)は、ニオブチタン酸化物(NTO)を負極に用いた電気バス向け次世代リチウムイオン電池の共同開発に成功したと発表した。NTOを負極に用いたリチウムイオン電池を搭載した電気自動車の走行は世界初だという。

なお、6月19日(ブラジル時間)には約10分で超急速充電できる電気バスの試作車を公開。CBMMが権益を持つブラジル・ミナスジェライス州のアラシャ鉱山で走行する実証実験を始めている。

21年から協業、次世代リチウムイオン電池開発も

NTOは、リチウムイオン電池の負極材として一般的に使用する黒鉛と比較し、2倍の理論体積容量密度を持つ。3社は2018年6月、NTOを用いたリチウムイオン電池負極材の共同開発契約を締結し、試作セルを開発。2021年9月には、商業化に向けた共同開発契約を結び、量産プロセスの確立・早期の市場投入に向け、商用電気自動車への応用などを目指して協業を進めてきた。

またニオブは金属元素の一つであり、鉄鋼添加剤として主に高張力鋼、ステンレス鋼などの高級鋼材の原料に用いられている。特に自動車向け鋼材の軽量化や剛性化には不可欠とされる。
CBMMは、ニオブ市場で世界1位の生産量と販売量があり、高い技術力と製品開発プログラムを有している。双日はCBMMの株主の1社で、CBMMの日本市場向けの総代理店として安定的な原料供給体制構築や用途開拓を進めてきた。そのほか、CBMMと双日が提供するニオブ原料を用い、東芝が主導してNTOを使った次世代リチウムイオン電池「SCiBTM Nb」の技術開発を進めてきた。

実験で電池の特性とデータを収集

実証実験では、ラテンアメリカでの電気トラック開発や生産の先駆者でもあるフォルクスワーゲン・トラック・アンド・バスが開発した電気バスを使用。実験を通じ、NTOを用いた次世代リチウムイオン電池の特性と車両運行データを収集し、商業化に向けて必要な調整を行うという。期間は2024年6月19日から約1年間。

今後は各社の技術やノウハウ、知見を最大限に活用し、2025年春に予定するNTOを用いた次世代リチウムイオン電池の製品化と販売に向け、取組を進めたい考え。双日の担当者によると、販売価格などの詳細はまだ決まっていないとしている。


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