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I loved him 【愛してたんだ】1
南アフリカ出身のLaura と良く話をするようになったのは、私が船での仕事が慣れて来た2ヶ月目の頃だった。
その頃にはお互いの生い立ち、何故船で働くようになったのか、考え方、最近の恋愛事情をシェアする様になってて、彼女の部屋にも招いてくれたりして、深い話をする中になっていた。
特に恋愛の話は女子の鉄板ネタ。
私にも遠距離の彼氏がいる事を話した。
彼女が船の仕事始めたのは、当時付き合ってた人が同じミュージシャンで、一緒に面接受けて、一緒に働きだした事。
その彼とは別れたが、今も一緒にデュオとして一緒に演奏してる事。
また、最近好きになった撮影舞台のウクライナ人の彼の事と真剣に付き合いたい事。
色んなプライベートな事をお互いシェアしながら自然と仲良くなっていていた。
彼女を最初に見かけたのはDeck9(9階)の踊り場でスパのプロモーションをしていた時。
私はスパのHairdresser として、テーブルを出し商品を並べて集客の為のプロモーションをしていた。
元々プロモーションには苦手意識があり、いつもこの場所へ来る時は、憂鬱な気持ちでスパのあるDeck 11(11階)からテーブルを運んでいた。
通り過ぎるお客様も少ない時間帯の午後4時くらいになると、すぐ覗き込める吹き抜けから見下ろせるDeck3(3階)のステージでミュージシャンが演奏したり、歌手が歌ったりするパフォーマンスを眺めて、自分たちの士気を高めるために同僚のマッサージセラピストと同じ音楽で軽くダンスしたり、こっそり歌ったりして憂鬱な気分を紛らしていた。
Lauraを見かけたのはこの場所が最初。
小柄な彼女から紡がれるパワフルな歌声はさすがアフリカ人の持って生まれた才能に嫉妬していまうほど。
彼女には、近くにいる人を一気に引き込むような魅力があり、私も一気に彼女の大ファンになった。
最初に話し始めたのは、初めて見た数日後のある日。ランチタイムにたまたま隣の席になった時だった。
可愛い顔立ちとお洒落な佇まい、彼女の才能に憧れすら抱いていた私は、緊張したが勇気を持って話しかけた。
『あなたの歌声、私大好きよ
いつも上から見てて、感動してたの』
『ありがとう』
『あ、自己紹介してなかった 私Mayumiって言います』
『私はLaura、よろしくね』
そんな具合でたまに食事の時間が重なると挨拶するような仲になった。
しばらくして、コロナのニュースが話題になり食堂での大きなスクリーンにもコロナのニュースで持ちきりになっていた矢先。
全てのクルーズ(旅程)がキャンセルになり
新たなお客様が来なくなった事により、私たちお客様を相手にする部署の仕事は無くなった。
私のスケジュールは、食事の時間も1日ランチ1時間、ディナー1時間だったのが、職場に戻る制限なくゆっくりできるようになったので、他の部署の人とも前よりももっと話をするようになった。
Laura とも約束するわけでは無いが、食堂で見掛ければ同じテーブルに座り、いろんな話をする様になった。
ある日のこと、彼女はあまり大勢の人と一緒に行動するタイプの子ではなかったが、明らかに元気がなく一人で食事をしている時があり、心配になり話を聞く事にした。
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