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FF14引退者のグラフィックスアップデート感想

 6.xの途中から入った新参者です。グラフィックアップデートをきっかけに辞めました。ゲームを始め、進められたのも「これだ。完璧だ」という運命的なキャラクリが出来たからです。このキャラクターと付き合った年月こそ2年足らずと短いですが、スクリーンショットの枚数は31000を超えフォルダのサイズは75GBほどになりました。課金服もエモートもたくさん買いました。それも全て自キャラの顔が好きだったから。
 
 あのベンチマークが発表された後、最初は希望にすがってフォーラムへの投稿もしました。しかしそれもやめ、課金を切り、e-Storeで買っていた黄金のレガシーのパッケージ代を返金してもらって、ゲームを辞めました。理由は大まかに3つです。

 1、アプデ後の顔を見る苦痛にとうとう耐えられなくなったから。
 2、「あ、これもとに戻らないわ。現状復帰どころか、我慢していたことも実現無理だわ」という諦めの気持ちが芽生えたから。
 3、開発への信用が失墜したから。


見るのが苦痛

 そのうち慣れるそのうち慣れるそのうち慣れる慣れる慣れる慣れる慣れろ慣れろ慣れろ慣れろ、と言われても時間が経つにつれ逆にどこが違うのかどこに違和感があるのか何が嫌なのか、どんどん嫌悪の解像度が上がっていくだけでした。だいたい「慣れろ」っていうけどそれって大切なものを捨てろ、忘れろ、諦めろ、って言ってるだけじゃん。
最悪のハイデリン「捨てて…忘れて…諦めて…」
 
 人間の顔認識能力の高さは紙幣の偽造防止に取り入れられるほどです。「ミコッテとヴィエラ」「ヒューランとアウラ」くらい完全に別人なんじゃなく、中途半端に元の顔に似てて…でも全然ちがくて…という状況が余計に気持ち悪さや違和感を大きくしているのでしょう。それにもう耐えられなくなりました。


諦め

 自分はキャラクターにかかわる仕事をしています(ふんわり)。それらの詳細は置いておいて、今まで経験してきた諸々に共通していたことがあります。「ちゃんとした仕様書、指示書、マニュアル、やるべきことの指示、ミスをリカバリーするチェック体制などが存在している」
 当たり前…。
 
お弁当屋さんでもスーパーマーケットでもそうだろうし病院でも建設会社でもそうでしょう。いかつい職人の親方が「見て盗め…」とか言うような世界ならいざ知らず、世の中の多くの仕事には上から下までが業務を円滑に進めるためのマニュアルがあることでしょう。

 でも、自分が「アップデート」されたキャラクターモデルを観察しながら感じたのは「え…?どういう指示が出たらこうなるんだ…?指示書は?仕様書は?種族ごとの特徴がまとまってる資料とか普通存在してない…?仮に下からこれが上がってきたとして、即座に赤ペン入るやろ…?チェックはどうなってんの?統一されてなきゃいけないところがバラバラで、バラバラでなきゃいけないところが統一されてて、なにを目指しているのかわからない。方向性を示して全体を統括する意思の存在が見えてこない。なにがどうなったらこんなものが消費者の目の前に出てくるんだ…?」というぞっとするような感覚でした。
 ものを作っていると、その途中には無限に「お出し出来ない」状態が存在します。料理の途中では肉が生焼けでお客さんに食べさせられないし、ダンスを練習中のアイドルは振り付けが曖昧でお客さんに見せられなかったりするでしょう。キャラクター制作においても絵柄寄せが甘くて全然似てねぇとかバランスが変でなんか歪んでるとかそういう段階はあって、このキャラを愛しているお客さんたちに「どうぞ!」とお出しすることは到底できない…そういう叩き台の状態から修正しながら段階を上げていって、お披露目できる完成形に仕上げていきます。

 その「お客様の目に触れさせられない」段階のものが出てきた。肌感覚ではそういう感じでした。
 こんな…こんな状態で…?大企業ともあろうものが?っていうショックが大きかった。ここから修正を詰めていくような段階でしょ、それすら出来ないくらい金なり人なり時間なりが足りていないのか…?と。
 フォーラムに投稿されている非常に多くの修正要望点は、自分の感覚からしたらあんなのひとの目に触れる前に内側で潰しておかなきゃならなかったポイントばかりに感じる。この程度のことチェックしてされて当たり前。ユーザー側の見る目には差があっていいけれど、制作者側が見分けられない書き分けられないではお話にならなくないですか?いえ、社内からたくさんフィードバックが来たみたいな話があったので、把握してる方々は把握してるんだろうと思うんですが…。

 薄い色だったルガディンの瞳孔が真っ黒になってるとか、アウラの瞳孔がデカくなってるとか、目の下のクマありクマなしで差別化されていたのに両方にクマがついたとか、タレ目の目尻が上げられツリ目の目尻が下げられてるとか、真面目だった口元が笑顔になってるとか、勝手に老けされられるとかエトセトラエトセトラ…。共通化で楽することよりキャラクリの各パーツが個性を持つことの意味やキャラクターデザインの文法を理解し重要視していたらこんな異様な変わり方をするはずがないと思う。これらの変化をパーツ追加でなく置き換えで実装するのが最悪だ。別々の形をしたパーツたちに椅子を一つしか用意せず、無意味に表現に優劣をつけてユーザー間に「好みの問題」という答えのない争いを産むだけの行為だ。住む場所を追われたものの苦しみ、そこから生まれる復讐心と巻き起こる争いをストーリーで何度も描いてきたはずのゲームがいらんとこでそれを実践すな。できないんだから仕方ないでしょ?受け入れない心の狭いユーザーが悪いです、みたいな顔してないで技術力が低いことを開き直らずにパーツ増やすなり新旧切り替え機能つけるなりして欲しい。

 ゴミ取りができてないとか。透過素材の切り抜きがちゃんとできてなくて輪郭がジャギってるとか。髪が頭から浮いてるとか、髪が首に埋まってるとか、顔と体でテクスチャが違って継ぎ目がくっきり見えるとかデコが凹むとか瞼や口が発光するとかエトセトラエトセトラ…自分の知ってる宇宙だったら即座に赤ペン数十行入って突き返しになるが…という感想しかない。

 フォトリアルとか見栄えを良くするための嘘とかいう言葉でふんわりと「リアルはいいこと」「嘘は悪いこと」みたいなバイアスがかかって矮小化されているのですが、「こうするのがリアルだから~」「こういう手法を使って~」みたいなのにとらわれて最終的に顔がどう見えるかが二の次になってる感じというか…。最後に見えているものが全てなのに、それがおろそかになっているというか…。キャラクターの顔はものすごく大事な商品で、それこそミリ単位ピクセル単位で厳密に調整するもののはずなのですが。
 各パーツのバランスが悪くて目が離れて見えたりする。そもそもキャラクリ画面の画角変になりましたか?人中の激しい主張。いらない。追視アイ仕様のせいで視線が定まらない。視線がバチっと定まるかどうかがキャラクターの顔面の評価全てを左右すると言っても過言ではないほど重要な要素なのに。あえて外してぼんやりさせるならそういう意図があってこそなのに。唇は引き結んだような真一文字になり、なのにその状態からむちゅっと口先だけを突き出すような奇妙な形をしてる。各種族の「自然な無表情」という個性豊かな演技が失われた状態。動かしたら動かしたで表情が豊かになるどころか乏しくなってる。破綻させないために調整するんじゃないんですかそこは。(人に限らずハウジングでも顕著ですが)ライティングをリアルに再現できてるわけじゃないから陰影がめちゃくちゃ。瞳のハイライトは別に表現としてリアルでもないしそのうえ効果的でもない。髪もテクスチャの高解像度化により細くて繊細でさらさらになるかと思いきや逆に太くて固くそうめんの束みたいになったりハイライトは消失したり。なんかもう…純粋に絵が下手。公式フォーラムにはこの3ヶ月ちょっとの間で書ききれないほどの問題点が国内外から数千件寄せられています。
 
 たとえばソシャゲなどではレアリティが上がるごとに絵の表現がリッチになっていったりしますね。服や小物以外の人体部分だと影・ハイライトの描き込みを増やしたりグラデーションで色の情報量を増やしていくことでそれを実践しています。ですが、「手法をリアルにした(つもり)」でキャラクターの髪のハイライトが消えたりテクスチャに書き込まれていた陰影表現が消えたりして全体の情報量が減るのであれば…それは単にレアリティが下がっているだけ。SRくらいのレアリティだったものがN~Rくらいになってしまっている。SRの自キャラがSSRになることを期待していたのですが…。
 すごくわかりやすいのでヘッダー用画像に「アウラの鱗がジャギジャギ・影とハイライトの表現がなくなって立体感がなくなる」を例としてピックアプしたのですが、どうですか?こういう感じのものを「素晴らしい!」「良くなった!」「運営さんありがとう!」って賞賛しないと暴力的な物言いのたくさんのひとに絡まれたり(ました)陰口を叩かれたりします(ました)。いや、この例はもうNと呼ぶのも許されませんね。ただの未完成品。お客さんの、目の触れるところに、出さないで。
 
 もし世にある様々な作品で「こんなん細かすぎて別に違いわからないから別にいいよね~気にしすぎる煩いユーザーが悪いんだよね~」がまかり通っていたら。お客さんから見えない舞台裏で一個一個潰されていってる「細かい」問題たちがのびのび世に放たれてオッケーなんだったら。世界は今見えているものとは全然別のものになっていたでしょう。問題ないですよね〜。キャラは出る度にタレ目になったりツリ目になったり年齢が10歳くらい上下するし、アニメは最近よくみるAI制動画みたいに一枚一枚の絵に連続性がないものでも大体あってるんだから細かいことに文句言うユーザーが悪いんだし。顔の陰影はありのままであることがリアルなんだからぐちゃぐちゃでも法線調整しなくて良いし。ダンスするアイドルの腕がぐりんぐりん捻じ曲がってても、かっこいい逆光を浴びてクールにポーズを決めた時まぶたや口がジャックオランタンみたいに発光してても些細な問題ですよね〜。

 新参者の自分でも、モグコレとコラボと合体シーズナルで済まされた虚無期間は「本気で言ってる…?さすがに虚無過ぎ…」と思っていました。それでも課金してログインしていたのは自キャラの顔を眺めるため。それと、7.0がくればきっと盛り上がるから…と我慢していたため。それにまだ新参なのでモグコレをやる意味もありましたし、エウレカやボズヤみたいな手を付けてない過去コンテンツもまだありました。
 他にも未来に希望を抱いていました。グラフィックアップデートをきっかけに帽子をかぶっても前髪が出るようになるかもしれない、貫通が改善するかもしれないしロングヘアーが追加されるようになるかもしれない…など。それらも全部「あ、無理だな」と悟りました。その技術がないと感じました。
 手抜きをされたのなら「こいつら適当でも金出すしこれでいいだろ」って思われてるってことだし、全力でやってこれならただただ「もうだめじゃん(絶望」ってことになる。どちらにしても体制が変わらないならここから良くなるビジョンが見えないし、ゲームにいくらお金を払ってもそれをゲームが良くなるために使ってもらえないんだろうな、金はどんどんよそに流れていってプレイヤーに還元されないんだろうな。と強く感じました。
 


信用できない

 フレンドもいないソロだし、リアルイベントとかには行ったことないし、メインを終わらせるまでは情報を遮断していたし、FF16の情報も追っていなかったのでつい最近まで本当になにも知らなかったのですが、今回のことをきっかけに過去のことも色々知りました。
 また、その過去を知るよりも前、グラアプデ問題の渦中スクエニが減益を受け「再起動の3年間」計画を発表し社員の価値観や行動指針を示した「バリューズ」のうちひとつとして「誠実であろう」を掲げるという出来事がありました。だから自分はこの問題に対する対応を注視していました。まさか「誠実であろう」というスローガンを掲げた企業の取締役が誠実な態度をとらないわけがない。ここで企業の質を見極められるだろう、と思ったからです。
 その結果悲痛な訴えをする多くのユーザーに対し誠実な企業から返ってきたのは嘘、言い訳、ごまかし、効いてないアピール、そして無視でした。呆れを通り越し虚無になりました。
「炎上したときは謝罪とかせずにだんまりを通すのが一番」っていうライフハック(ライフハック?)がありますよね。それを実践されてるんでしょうか。そうですね、無視し続けていれば炎上は鎮火します。でもそれってなんか燃えてるからっていっちょかみしに来た外部の野次馬たちの興味が薄れて飽きて散っていくからこその鎮火なわけで、たいして流動的でもない内々のコミュニティで燃えてる問題に対して企業が「ほっときゃ鎮まるだろ」みたいな手段をとった場合、一見鎮火したように見えても怒りは熾火のように燻り続け永遠に作品の評価として残り続けます。いままでそれで済んできたから今回も無視しておけば大丈夫大丈夫!っていう感じなんでしょうか。いままでもそれで解決していたわけではなく、静かに失望がつもり続けてきただけだと思いますけど…。新参者がぱっと見ただけでも、7.0の中の様々な要因をきっかけにゲームやそれを取り巻くコミュニティ全体が瓦解しはじめているように感じられます。まだ残っているユーザーの方々の為にも、手遅れになる前に誠実に対応して欲しいのですがそれも無理なんだろうな〜という諦めがあります。

 無視と効いてないアピールは今も続いている一方で、公式フォーラムへのフルサポートだけは手厚く行われています。ちゃんとグラフィックへの要望を述べているのに「課金を切った」というワードが入っていたら消す。悪いことをしていなければ痛くも痒くもないはずなのに消費者庁とか景品表示法とかいうワードが入っていたら消す。ちゃんとした議論をしているのになぜか消された投稿群について「フォーラムに貢献しない内容という理由で消すのはおかしいから消すなら正しい理由を表記してほしい」という問題提起を消す。批判的な問題提起に攻撃的な運営擁護者が噛みついてきて外野同士の喧嘩が始まったら、喧嘩している投稿だけ消せばいいのに最初の問題提起まで巻き込んで一緒に消す。フォーラムに1ミリも貢献していないのが明らかな運営に有利な書き込みはなぜか生きている…。
 住む家を探しているとき。腕の良い医者を探しているとき。どこかにペットを預けたいとき。商品の仕入れを考えているとき。海外で観光案内人を探したいとき。機械製品の修理を頼みたいとき。なんでもいいですがとにかく信頼できる取引相手を探しているとき、上っ面だけ耳触りのいい言葉でデメリットを隠してPRし嘘とごまかしと無視で不出来に対する説明を引き伸ばしながら不都合な評判だけは即座に封殺して回るような企業を選べるか?嫌です。

 信頼は0を突っ切ってマイナスになりました。顔がまともになって一切信用できなくなった責任者が説明をして責任をとったら復帰したいかもと思いますが、その日が来る気はあまりしていません。


余談 

 自分はアーリー前にe-Storeで黄金のレガシーのパケ代を返金してもらいました。「グラアプデの件で返金希望します」ってメールを送ったら「はい承りました、こういう手続きするので同意して」と返事が来たので「同意します」ってもう1通メール送っただけ。簡単簡単…でも向こうは法令違反はしていない、グラアプデに瑕疵はない、って立場みたい…なんですね…??えっ…じゃあ自分はなんで返金不可のe-Storeで返金してもらえたの…??特に理由はなく…e-Storeが太っ腹だったから…??そしたらグラアプデが原因じゃなくても、黄金のストーリーで萎えたから返金してもらって引退するわ…とか、黄金やったけど返金してもらって休止して8.0来た時に評判見てまた買うか考えるわ…みたいな理由でも「オッケー!特に理由はないけど返金不可のはずのe-Storeで返金受け付けますね!」ってことにしないと筋が通らなくなるけど…どうするつもりなんだろう?なんのアナウンスもしなかったけど実はアーリー前までだけわけもなく返金受け付けてました〜今はもう返金対応してません~なんてことあります?自分はもう試せないので何もわからないですけど…。

余談2 

 なにもやましいところがなければ情報提供されようがどうしようが消費者庁が「特に問題ありませんね」と結論づけるだけなんだから困る事は誰にも何にもないです。景品表示法違反被疑情報提供フォームは知識の浅い一般の消費者が「これってどうなの!?」と思った事例をプロに判断してもらうために情報提供する場なんだから、気になる事があればどんどん使えば良いだけです。まあまあまあ100歩譲って企業が嫌がるのはわかっても、一般ユーザーが窓口の存在を隠そうとしたり、情報提供するなら悲壮な覚悟を決めないといけないかのようなマイナスの印象操作をしたり、情報提供する人が卑怯な悪者であるかのような陰口を言ったりして一生懸命使わせないようにする理由は一切ないと思うんですが、自分の想像が及ばないだけで情報提供されたら困る事情でもあるんでしょうか?不思議でたまらないです。
 ちなみに専門職の方から受けたアドバイスなのですが、相談の際には「顔(など)が前とどう違うのか、前と違ったらなぜいけないのか、この些細な違いがなぜ些細じゃなくユーザーにとって重要な事なのか」がわかりやすい資料や説明があると良いだろうとのことです。


さいごに

 自分は「新しい顔を見るのが辛い」「一銭たりとも払いたくない」という気持ちが勝ってしまったので、やめました。これが企業が消費者に見せる誠実な態度だというのなら、課金を切ってお金を入れるのをやめることがFF14という作品に対して自分が見せられる誠意だと思ったので、やめました。
 今は他の趣味をしたり資料作りをえっちらおっちらやったりしています。
 
 自分は降りましたが、でも今まで要望を上げてきた方々、そして今も諦めずに要望を送っておられる方々がどうか報われて欲しいと願うばかりです。


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