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乗り継ぎ地点のテテの日

今日はテテの誕生日だ。
2023年12月30日土曜日。
テテがBTSになってからVでなく24時間キムテヒョンでいる初めての誕生日の日。
嬉しい日。そしてテテがアーミーの前にいない初めての日。

テテが兵役に勤しむこの年は貴重だ。
あとは来年、一生に二回だけのこんな日になるであろう事を祈ってこの感情を大切にしようと思う。

今年はテテが初のソロアルバムをリリースした!
めでたい!愛でたい!

テテが歌詞を書かない選択をした。それは私にとっては(きっとテテペンさんにとっても)わりと大きな事であったと思う。でも、不思議ではない。
石橋を叩いて渡るテテらしい。

そこに行き着くまでのテテが、私が大好きなテテそのままに、その延長線上のもと、ずっと繋がっていた。テテが自作の詩を添えなかった事も、不思議と自分の中では繋がって行った。そして誕生日にリリースしたシンガーソングライターUMIさんとの楽曲で、ついに自作した自分の詩を歌に乗せた。今日はそんなことをテテのいない世界線でたらたら書こうと思う。


LAYOVERまで常にアップデートして行くテテ

テテの自作の歌詞の歌で私が一番大好きなのはダントツで「scenery 風景」だ。歌詞も声も吐息も全てが一体化している。冬の雪の中でしか感じられない人肌の温かさを感じる事が出来る。12月生まれで冬が大好きなテテそのものの歌。

こんな素晴らしい歌を書けるのだから、書かない時はそれなりの理由があると思っていた。これだけ完璧に仕上げられる人だから、自分の中の合格点はとんでもなく高いはずだ。

こうした熟した内面性を持ちつつも、外面的なパフォーマンスにおいてもきちんとアップデートしていく。

周りが求めるものに応じたテテの「見せる力」のアップデートの速さは怪物級だ。ペンの手前味噌だが、バンタンの同じ楽曲のパフォーマンスを何度見ても飽きなかったことに、テテの貢献度は高かったと思う。

例えばButterリリース前のコンセプトクリップ。ポップでエレクトロニックで。テテはふわふわのダークブラウンの髪でどちらかというと可愛い雰囲気。
Butterは初めはこんな雰囲気でスタートしていて、リリース後にメンバー自身で色々変化をさせていく伸びしろを期待しながらも、やはり最初はポップで可愛いイメージだった。

その後、ファンにも人気のプードルヘアを経て、グラミーで見せたテテの変貌ぶりときたら…!
この間たったの11ヶ月。

グミキャンディを舐めていたあのロリポップなテテ青年に何が起こったのか。そこにはダンディな敏腕スパイがいた。ゆうにキャンディモグモグから10年経ったかのような。ロリポップテテはスパイスカウト前のヤンチャ時代の回想のような。

グラミーの舞台では、グミキャンディを頬張る代わりに今度はターゲットの女性ロドリゴの耳に唇を近づけていた。同じ曲でここまで自分の中の登場人物に変化をつけられる人。

同じ人?うん。同じ人。このかん11ヶ月しか経ってない。

凄いよね、テテ。

これだけじゃない。テテは全てのパフォーマンス、曲目においてそう。

テテの変化が一番顕著だったのはテテのソロ「シンギュラリティ」のライブパフォーマンスだった。

LOVE YOURSELFツアースタート時の振り付けは一人二役を演じるハンガーダンス。ハンガーに吊るされたジャケットをもう一人の自分とし、その自分に誘惑され、誘惑し返す。時折こちら(観客)を見る。ちらりと。

この振り付けのテテの対話の相手は「自分自身」だった。そしてそれを見ているアーミーという観客。

singularity MVより


それがSPEAK YOURSELFツアーからは、なんと!対話相手が自分自身ではなくアーミーに。ベッドの上で眠りから覚めたとたんにこちらを凝視する。

cr. NUNA V

ハンガーダンスよりも「魅せるパフォーマンス」において難易度が上がったとのこと。「今度はベッドの上で横になった体勢で、表情だけでどう心情を表現するか、をとても考えた」と語っていた。手も足もベッドの上(実はこのベッドはセットなのでコチコチに固いもので出来ている)で、この状態でシンギュラリティの男の心理状態を歌に乗せて表現するのは大変難しい。

テテは毎回のステージで、目線と微笑み、首の傾き具合、起き上がる時のタイミングやふりかかる髪、そこから覗かせる視線、という微細な動きに変化をつけ、その都度見事に観客を飽きさせずに虜にした。

cr. TO MY DARING V

こんな風に、テテは曲が生まれた時のコンセプト→リリースされた後のアーミーの反応と融合し新たに生み出すコンセプト→その曲を披露する舞台や番組の背景を考えそこで最も映えるコンセプト、という具合に状況に合わせて見事に登場人物を演じ分けて来る。

つまり、その時その時で常にアップデート、表現を更新し続けているのだ。

それは観客に対してのサービス精神がものすっごいと言う事。職人のような気質と見る人への優しさに他ならない。

しかしそのテテが、「アーミーはBTSらしいVを望んでいるかもしれない」と思いつつも、BTSVではなく「本来の自分らしさ」を見せる決断をしたのが初のソロアルバムLAYOVERだった。


テテ列車はLAYOVERへ出発

BTSとしての僕を見れなかった期間がほぼ2年ほど経っていたので元の姿を待っていたアーミーも多かったと思います。(それでもなお)今回僕のスタイル通りにした理由は、アルバム名がLAYOVERですが、これが僕の変換点なんですね。出発点から変換点を経て、最終目的地まで着くには僕らしさを全部見せた方がいいのではと判断しました。このLAYOVERの始まりとして普段やりたかったものをした方がいいんじゃないかな…そう思いました。

IUのPalette  EP.24より

世に出すものに対して、自分の心情に正直でいようと努める人にとっては、「自分自身で書いた言葉」が発表されるタイミングやその時の自分の気持ちにズレがないかなどを考え、とてもナーバスになるのだと思う。テテが過去に自作曲を何度も捨ててしまった事を見てなおもそう思う。

「こんなことも表現したい、あんなことも表現したい、と思い、自分の音楽のスタイルや好み、理想とする音楽の形が毎月コロコロと変わることがすごく気になっていた。」とRolling Stone誌で語るような…。

そんなの関係ないから、テテの心情を聞きたいから早く詩を書いて出してみて欲しい、と思うファンは自分も含め沢山いたと思うが、生み出す作品と受け取る人に対して正直でいたい人にとっては、自分と作品の間で寸分の誤差も違和感も作りたくなかったのだろう。

そしてテテは、歌詞を自分以外の人に託した。書かない選択をした。あえてしたのだと思う(私個人の感想です)。テテは実際にはいくらでも素敵な言葉を書ける人だ。書けないのではなく。

兵役を控えたテテの内面が更新されるスピードはきっと格別なものだったに違いない。世に出る自分の言葉は周りが思う以上に、本人にとって重要な意味を果たすのだろうから、常に更新し続けているテテにとっては、自分が書いたものが聴く人に届く頃にその時の自分の視点と違うものにならないよう、この時期に固定されてしまう「文字」として表現をする事を避けたのではないだろうか。

「完成から時間がたったいま、改めて聴いてみると改善点もいくつか見えてきます。また、当時の自分がいまとは違う視点で取り組んでいたこともわかります。ソロデビューアルバムということもあり、少し照れくさい気持ちもあったのかもしれません。思ったよりも時間がかかってしまったのは、そのせいかもしれませんね。」

Rolling stone USAより

言葉を大事にしているからこそ。

アーミーに贈ると言ったこのアルバムで、「キムテヒョンからの言葉」として寸分間違いない言葉を贈るのは、とても神経を使い慎重になるのだと思う。一時いっときに語り尽くせるものではない。先が未知なこの時期は特に。

自分は今はまだLAYOVER(乗り継ぎ地点)にいて、言葉もそうだから。だから今贈る言葉は『LAYOVER』、このスペルに全て入っている。代わりに、テテの中で幼い頃からずっと変わらない、美しい風景に彩られた、普遍的なテテの世界観のイメージを作品として残す事を選んだのではないかと感じた。今回は「歌詞」もイメージの一部として。それならばイメージ化することに慣れた書き手に任せるのが良いと踏んだのではないだろうか。

MVに登場する風景、その折々の風景に身をゆだねて、アーミーの力=テテのイメージを受け取る感性の力にゆだねてみたのではないだろうか。

アーミーはMV解釈を沢山してくれる。ファンの方々からの解釈が最高の解釈だから。ファンの方々より僕を知ってる人はこの世にいないから。

IUのPalette  EP.24より

今回のアルバムの楽曲全てにMVをつけたのはそういった理由からではないだろうか。「アーミーにテテのイメージの中に入ってもらう」。そんなメッセージもあると感じた。

慎重で、そこに丁寧さや誠実さが見える。改めて大好きだ。大切にされていると感じた。

心情というものは、その時の自分の置かれた環境によって変わってしまうが、その人が生来持っている世界観は普遍的に変わりにくいものだ。ことさらテテのように、意思が強く、自分が幼い頃から培ってきた教えや心が見て来た風景に絶大なる信頼と清いプライドを持ち続けている人にとっては。

ずっと変わらない、心の中に浮かぶ映像を作品として、メロディとして、その世界観とぴったり合った歌詞、信頼出来る人が書いた詩に乗せてイメージとして残す、という方向にLAYOVER号の舵を切ったのではないかと。

slow dancing MVより

ゆったりとした時間の流れ。キラキラ光る水面や太陽の光、洞窟の中で歌うテテのスパンコールの光、どのMVの中にも散りばめられた光と影と、ゆっくり流れる空気が織り込まれている。夜も美しい。暗闇の中の薄暗い光も美しい。テテの中の世界のイメージが現れる。

アーティスティックにイメージを具現化するミン・ヒジンさんをディレクターに選んだのにも合点がいく。

そしてテテは、LAYOVERリリース後に、ゆっくり時間をかけることの美点について自信を持って語った。ゆっくり吸収しながら歩むこと。その大切さを教えてくれる言葉だった。

「目的地に直行するのではなく、どこかで足を止めてしばらくそこにとどまったり、乗り換えたり、次の便を待ったり……仮に、私の人生がどこかに向かっていたとしても、そこにまっすぐ向かうようなことはないと思ったんです。」
「このアルバムを聴いてくれる方々にとっても、たまには休憩を入れながら自分の人生を振り返ったり、目標について考えたりするような機会になれば嬉しいです。」

Rolling Stone USAより

寄り道ばかりしているとてものろまな私には何よりも勇気づけられる美しいメッセージのプレゼントだった。

あぁ、テテって本当に優しいな、と涙が出た。

テテは今日も頑張っている。
よし、私も頑張ろう!
そう思わせてくれて本当にどうもありがとう。

今日からまた一年、テテにとって、幸せな日々になるようにと願わずにはいられない。

そして…


そして自作の詩をついに歌に乗せたUMIさんとのコラボ


私がUMIさんを知ったのはいつだろうか。わりと最近だ。きっかけは藤井風さん。風さんとUMIさんは互いにリスペクトし合う仲で、とても美しい関係だと思っていた。UMIさんが風さんの歌を歌ったり、風さんも彼女のインスタライブを楽しんだり。二人は多大なる共通点があり、「愛」「優しさ」といった、目に見えないものやスピリチュアリティをとても大切にし、音楽によってそれらを届けようとする。

ん?テテとも重ならない?

天使様とお話をしたり、ヨガに励んだり、お祖母ばあ様やお祖父じい様を心に宿し、「ボラヘ」という第六感で共感し合うような感覚的な言葉を創り皆んなにあっという間に広めてしまうカリスマ性。テテとUMIさんも繋がったら嬉しいな、なんて漠然と思っていた。

そしてある日、テテがUMIさんの歌をinstagramにあげ、UMIさんがテテのslow dancingのカバーをあげた。え?嘘でしょ?!と大興奮。まさかまさか。と思っているうちに、テテとUMIさんのコラボがあるかのようなショート動画もあがり、あわあわしているうちにUMIさんのインタビューから、コラボした曲がすでにある事を知った。なんでもテテの方が、5・6年ほど前からファンだったらしく、それを知ったUMIさんがテテに曲の提案をしたとのこと。

「wherever u r(feat.V of BTS)」
テーマは遠距離。泣ける。リリースはテテの誕生日。UMIさんは、テテが兵役に出発するためにアーミーや全てのサポーターのことを考えたと話してくれた。アーミーが聴いても心が安らぐ内容であることに重きを置いてくれたことが十分に伝わり、その思いやりが嬉しかった。

夢でも見ているかのように嬉しかった。

そしてそして、UMIさんマジック。
LAYOVERでも自作の詩を使わなかったテテが、UMIさんとの曲では書いて歌ったのだ。

UMIさんの公式Xより

これって凄くない?テテがどれほどUMIさんの音楽を信頼しているのかがよく分かる。もちろんLAYOVERチームへの信頼度も素晴らしいものだったと思うけれど、今回は、「フィーチャリング」というマジックで、UMIさんの音楽の海に乗って、UMIさんの大きな船に心地よく揺られながらリリース出来る、という安心感と気楽さがそうさせてくれたのではないか。

あぁ、UMIさん、テテのLAYOVER地点でなんて素敵なプレゼント。
素敵な人は素敵な人と繋がるんだな、と。
テテがしっかりと「景色の良い階段」を登っているのが目に見えるようで、胸が熱くなった。

心からどうもありがとう


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