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新潮文庫 スピンがいつの間にか短くなる問題とその解釈

新潮文庫といえばスピン

新潮文庫のスピン」で触れたが、新潮文庫にはスピンがついている。
スピンとは紐のしおりである。スピンは上部に固定されているので、紙のしおりのように落下することはない。安心して使える。
新潮文庫にこだわる大きな要素である。

スピンは短くなる

このたいへん重要なスピンであるが、使っていると短くなってくる。

スピンはページを開くときに引っ張られ、閉じるページに移るときに引っ張られ、先端は過酷な状況である。その先端がモモけてきて、少しずつどこかに消えていく。30mmほどあったはみ出し部分はどんどん減っていき、最後は指でつまめなくなる。

さらに、本を開くときには、ページの下辺に押しつけるように少しスライドさせるため、先から30mmあたりもモモけてくる問題もある。最後には切れてしまうことも。ここで切れる場合は、もはやスピンは本からはみ出していない。

本棚でも要注意

もうひとつ、スピンにはつらい状況がある。それは本棚で発生する。
本棚にしまうと、背表紙だけが見える状況に並ぶのだが、たいていの場合、その下からスピンがはみ出している。

無造作にはみ出したままになっている。
追記)本の下に隠せばいいことに気づいてからは隠すようにしています。

この状態で本を取り出そうとすると、背表紙の下端をスピンに押し付け、擦りながら抜き出すことになる。
そして、本来、紫外線を浴びることなく保管できるスピンであるが、はみ出していると紫外線を浴びて劣化する。
本は買った後、読んだ後も長く本棚に並んでいるのが普通である。
そうすると、紫外線も馬鹿にできない。
掃除で埃を払う際にも、多少の摩擦もあるかもしれない。

読む時、本棚にしまう時、スピンが劣化し、切れてしまうことを避けるのは難しい。

追記)本棚にしまう時は本の下にスピンを隠せばいい話でした。

スピンの短さが表すもの

スピンが短くなると指でつまみにくくなる。そうなると爪でつまみたくなり、そうすると一気に短くなる。大変不便である。

しかし、そんな短くなったスピンは悲しい状況だけをもたらすものではない。

よく考えてみると、1回読んだだけではそんなことにはならない。何度も繰り返し読む本でのみスピン短くなる問題は発生する。すなわち読んだ回数が多い本ほど、スピンは短い。それはその本の好きさのバロメーターと言ってもいいのではないか。

実際、愛読書「ローマ人の物語」全43巻を見ると、心躍り何度も読んだ「ハンニバル戦記」や「カエサル ルビコン以前・以後」の巻は3−4回読んだ記憶があり、やはりモモけている。ローマ帝国の衰退が加速し、読むのが辛くなり、一度しか読んでいない「ローマ世界の終焉」を見ると新品のようなスピンである。本棚からスピンがとびきり短い本を取り出してみると、「山月記」だった。多分、5回以上は読んでいる。読んだ回数とスピンの状態には相関があるといえる。真面目に書いてみたが、当たり前のことである。

上「山月記」何度も読み返して、残り10mm程度
下左「ローマ人の物語8 カエサルールビコン以前ー」 3回ほど読んでモモけているがまだ長い
下右「ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉ー」 1回しか読んでなくて、ほぼ新品

スピンが見えなくなったら

最後にスピンが短くなった時、私は以下のような対処をしている。

1)キャンペーンで配られるしおりの活用
スピンがついているにも関わらず、夏の新潮文庫の100冊キャンペーンではなぜかしおりがプレゼントされる。「キュンタのうちわ」や「プラスチックしおり」など。スピンが使えなくなった時こそこれらのしおりを使うのが良いと思う。

2)しおりを出す場所をかえる
もっとスマートにと思う場合は、下辺からスピンを出すのではなく、小口(長辺)からスピンを出す。一気に50mmぐらいははみ出させることが可能である。よりスマートではないかと思われる。

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