国連も推奨している男性被害者と女性加害者の透明化システム

私はnoteに「女性は男性と同等かそれ以上に異性に暴力を振るってる」「女性は男性と同等かそれ以上に異性を強姦している」という事を示唆する研究を紹介してきた。それらの研究に対するフェミニストの主張は概ね次のようになる。「そもそも家庭内暴力は女性を支配するために行われる男性から女性への1方的な暴力である。従って女性の中には凶暴な犯罪に手を染める個体がいたとしても、それは悪しき家父長制の内面化や抑圧のせいであり、女性本来は男性と違い凶暴な言動はしない」というようなものだ。

勿論この理論に1切の根拠はない。しかし現在日本含めDV対策のガイドラインはこれを前提として構築され、更にはこの前提に従わない治療法や介入は禁じられている。2007年に英国のグラハム・ケヴァンはこの説を「で、実際にその治療や予防プログラムに効果あるの?」という観点から様々なデータを搔き集め、家父長制支配理論が効果的であったことを示す証拠がないことを証明した。

https://www.researchgate.net/publication/225614837_Domestic_Violence_Research_and_Implications_for_Batterer_Programmes_in_Eur

グラハム・ケヴァンの研究は男女間暴力の原因は凶暴な男性に限らず女性側の問題含めて数多くあるという証拠を示す何百もの研究があるにも関わらず、何故に家父長制理論と予防・治療法が今も尚存続しているのか?という疑問を呈している。この原因に関しては複数あるだろう。例えば「男女間の暴力事件において女性は被害を過大報告する1方で男性は被害を過少報告するので、主観的には女性は常に被害者で男性は常に加害者に見える」「女性の方が男性よりアテンションを引きやすい」等も大きな原因とみて間違いない。

しかし私がここで書くのは「フェミニストが意図的に証拠を隠滅し湾曲し、学術世界もそれに協力してきた」という事実である。これは陰謀論でも何でもない。ここで学術世界…とりわけ人文学者やフェミニストが如何なる方法で事実を捻じ曲げてきたか?を簡単に紹介していく。

不利なエビデンスは隠す

という上野千鶴子先生の発言は「学問の中立性や客観性を否定している」と批判された。だが先に結論を言えば、そもそも人文学において中立性や客観性は既に無くなっている。上野千鶴子先生の主張は普遍的人文学者の態度に過ぎない。

例えば男女間研究における「不利なエビデンスは隠す」という文化は、そもそも1979年に米国で行われた最初の家庭内暴力事件の大規模調査から始まっている。このケンタッキー州の調査では男性と女性の両方のデータが取得されたが、公開されたのは男性の加害者に関するデータのみであった。何故女性の加害者のデータを発表しなかったか?は言うまでもない。他にも男性の男性による暴行に関するデータのみを公開した著名な研究の例としては国連の加盟国女性暴力撤廃通達の根拠になった「The incidence of wife assault in Alberta」「Social bonding and the cessation of partner violence across generations」、「女性に対する暴力に関する立法ハンドブック」として我が国のDV施策の元ネタ…ひいては支援職の心構え的なモノになっている「The differential effects of intimate terrorism and situational couple violence – findings from the national violence against women survey」等がある。

https://psycnet.apa.org/record/1989-29715-001

https://psycnet.apa.org/record/2005-02123-003

男性が男女間暴力事件の唯1のの加害者であるという考えにイデオロギー的信念を持つ研究者は、この信念に反する証拠を隠蔽することが多い。そしてその信念を持たない研究者も所謂「キャンセル」を恐れて性別の対称性…女性加害者や男性被害者の存在を示す結果を隠蔽してしまう。こうして男女間暴力事件の研究においては女性加害者や男性被害者のデータは意図的に省略され、男性加害者や女性被害者のデータのみが発表されているのが現実だ。そして政府や大きな国際機関はこうした

男性の加害のみを示す研究を引用する

世界保健機関の「家庭内暴力に関する報告書」は広く評価され、世界中で…日本も勿論…女性支援施策の指針として使用されるものだ。その報告書には女性の暴力事案も触れられているが、それは以下のようなものである。

女性による暴力が発生する場合、それは自己防衛の形をとる可能性が高い
(Where violence by women occurs it is more likely to be in the form of self-defense)p94、112枚目

勿論これは選択的引用だ。何故なら男女双方のデータを取得して比較した大体全ての研究では、自己防衛の割合は性差がないことが判明しているからだ。更に細かい事を突っ込むと、この文章の根拠となる引用元研究「When battered women use violence: Husband-abuse or self-defense?」では軽微な暴力の70%深刻な暴力の60%が自己防衛ではなかったと報告されている。それぞれ40%と30%のケースを指して「可能性が高い」と称するのは…まあ嘘ではないけど、ちょっと厳しい。また同じく根拠とされてる研究「The meanings and motives for women's use of violence in Canadian college dating relationships: results from a National Survey」に関しても軽微な暴力の37%と深刻な暴力の43%は女性が引き起こすとあり…。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3154140/

https://www.researchgate.net/publication/238399648_The_meanings_and_motives_for_women's_use_of_violence_in_Canadian_college_dating_relationships_results_from_a_National_Survey

重要なのはこれらの研究では何れも男性被害者ないし男性が振るう暴力の動機の調査はなく、女性による暴力は男性による暴力とは性質が違うものとする根拠がないことだ。

まとめれば国連も世界保健機関も不利なエビデンスを隠した研究のみを引用し、「女性は男女間暴力において常に被害者なんだ!女性が男性に暴力を振るう事があったとしても、それは自己防衛なんだ!」という答えを作り上げ、その答えをもとに各国へ男女暴力の対処指針をレクチャーしているというわけだ。こうした操作は

ウーズル効果

と呼ばれている。ウーズル効果とは証拠や根拠がない又は曖昧であるにも関わらず、頻繁に言及や引用される事で「事実である」と誤解される現象のことだ。上記の通り「女性は男女間暴力において常に被害者なんだ!女性が男性に暴力を振るう事があったとしても、それは自己防衛なんだ!」と示す研究は色々問題があるものの、大きな国際機関や科学雑誌がそれを引用していることで「また大きな国際機関が言うならそうなんだろ」と受け入れしてしまう。こうしてイデオロギーは科学的事実に変換される

この最たる例が「男女間暴力は家父長制により生じる」という理論だ。この理論によれば男女間暴力は男性が女性を支配する為に振るうモノであり、それにより女性に恐怖を与え縮こまらせ従順にさせ、男性達が自身の既得権益…家父長制を維持しようという陰謀と動機によって行う…というものだ。なんか書いていて頭が痛くなる。これは米国および西欧諸国の研究レビューにより確かめられ、研究者は「家父長制テロリズム(patriarchal terrorism)」という概念を開発した。この研究は2024年6月現在引用数3800を誇り、男女間暴力研究の基礎として位置づけられている。

https://psycnet.apa.org/record/1997-41402-002

しかし彼の研究には多数の問題が指摘され…というよりハッキリと「反科学である」と非難されている。Donald G. Duttonはまず「女性シェルターの被害者と裁判所が義務付けたグループの男性のみをサンプルにしてるやんけ。しかもそれを全人口に1般化したり全男女間暴力事件に当てはめるのは無理があるやろ」と指摘した。

https://www.researchgate.net/publication/233617170_The_Gender_Paradigm_and_the_Architecture_of_Antiscience

https://www.researchgate.net/publication/233466088_On_Comparing_Apples_with_Apples_Deemed_Nonexistent_A_Reply_to_Johnson

(因みに彼は司法の女割問題も取り扱っており、特に女性が男性に振るう暴力が1般市民や警察や裁判所に透明化される事を実証した研究は欧米の男性権利運動に大きな影響を与えたので、機会があれば目を通して欲しいhttps://www.researchgate.net/publication/375824351_Perceptions_of_Female_Perpetrators_of_Interpersonal_Partner_Violence)

更には家父長制テロリズム理論で男女間暴力の発生を予測出来るか?を検証すべく、1024人の学生を調べた研究では「そもそも男性以上に女性は異性を殴ってる」「支配的行動には実質的な性差はない」「家父長制テロリストの定義に当てはまるのは女性の方が多い」と散々な結果が出た。

https://psycnet.apa.org/record/1997-41402-002

しかしこうした家父長制テロリズムを否定する証拠に関わらず、もはら理論は批判される事はなく自明のものとして我が国における男女間暴力問題でも定説となっていることはご存じのとおりである。そしてフェミニストや騎士はそうした証拠や研究も

女性に不利な研究への妨害

を行う。その妨害行為の研究すらあるほどだ。そもそも女性による男性への暴力を最初に研究しようとしたエリン・ピゼイは文字通り殺害予告を受けたり自宅を刃牙ハウスにされたり飼い犬を殺されたりしている。1980年代の女性の攻撃性研究は研究すること自体が政治的に正しくないとされキャンセルされたし、今でも男性による女性への暴力研究は資金が豊富に提供されるのに、女性による男性への暴力研究は資金が全く提供されない事が指摘されている。(当然この研究を進めた著者も妨害にあい、研究資金を滅茶苦茶減らされたり、同僚や上司から「貴方の活動は反社会的である」と説教されたそうである)

https://psycnet.apa.org/record/2005-08959-008

また男女間暴力の研究者であるEugen Lupriはこう証言する。以下、雑抜粋訳

「カナダ保健省から家庭内暴力予防課に作成を依頼されて論文を執筆し、4回の査読にも耐えたにも関わらず同省のWEBページや配布資料等で公開される事はなかった。この論文は女性は男性に劣らず暴力的であるという立場を支持する最も説得力のある証拠の幾つかに言及したものだった」

「フェミニストによって特別に設計され、カナダ統計局によって綿密に実施された1993年の女性に対する暴力調査は、女性回答者を男女別で調査したものであり、親密パートナーから受けた暴力行為について質問された。この大規模な被害調査は入念に計画され実行されたが、女性に対して男性パートナーに対して身体的または心理的暴力を振るったことがあるかどうかは質問されなかった」

「カナダ統計局のShelly Crego(フェミニスト女性)は"女性に対する暴力の方が1般的だから女性のみを追跡することにした」と述べているが、 カナダ統計局の1993年女性調査の専門家と計画者が、男性と女性の暴行率が同等であると報告した以前の代表的な全国および地域のカナダの研究を知らなかったとは思えない」

「カナダ保健省から論文の書き出し"女性に対する家庭内暴力は長年にわたり世間の注目を集めてきました。しかし、対照的に、男性に対する親密なパートナーによる暴力の問題は、カナダではほとんど注目されていません"について、"男性に対する虐待の現実を単に客観的に分析したものではなく世間の注目に対抗するための手段であると示唆されていると受け取られる恐れがあり、冒頭の段落は削除する必要がある"と意味がよく分からない不思議な英語を送られた」(意味がよく分からない不思議な英語原文:It was felt that in the opening paragraph your formulation was not appropriate . . . and it could be taken to imply that this document is meant to be an instrument to counter that amount of public attention, as opposed to simply be an objective analysis of the reality of abuse against men.)

「男性と女性はどちらも支配的な行動 を経験したと報告する可能性が同程度であり、心理的または感情的な虐待を受けた割合も男女ともに同程度19%である…というテキストを"この文書は男性への虐待に焦点を当てたものであり、男女両方を対象としたものではないという確立された立場のため削除する"と意味がよく分からない不思議な英語を送られた」(意味がよく分からない不思議な英語原文:The sentence was deleted. The statement is seen by reviewers, rightly or wrongly, to gratuitously imply that men and women are essentially equally violent.)

またSuzanne Steinmetzは男性と女性の加害率がほぼ同等である事を明らかにした本と論文を発表した罪で娘の結婚式で爆破予告を受け、デラウェア大学での昇進と終身在職権を拒否する手紙運動の対象となった。彼女はこの騒動に怯えてこの研究からは1切の手を引き、他の研究者も距離をとった。そして1980年代に「女性の加害性を研究すること自体が政治的に正しくない」という文化が生まれ今に至る。

https://www.papa-help.ch/downloads/Steinmetz_The_Battered_Husband_Syndrome.pdf

このような手段により「女性は男女間暴力において常に被害者なんだ!女性が男性に暴力を振るう事があったとしても、それは自己防衛なんだ!」神話と、「男女間暴力は男性が女性を支配する為に振るうモノであり、それにより女性に恐怖を与え縮こまらせ従順にさせ、男性達が自身の既得権益…家父長制を維持しようという陰謀と動機によって行う」理論は先進国を支配した。皮肉な事に男女間暴力事件の支援者は、学習熱心に国際的な機関や権威ある研究の情報に触れれば触れるほど、この神話と理論をインストールしてしまう仕組みになっている。日本でも男性DV被害者が支援機関に相談すると「貴方が悪いのでは?」「貴方は実は加害者なのでは?」という対応を取られることがデフォルトだが、これは決して支援員の方が冷酷だからではなく、彼等が善意と熱意の元に家父長制理論を用いて対応にあたってるからだ。

また「キレる私をやめたい ~夫をグーで殴る妻をやめるまで~」で自身のDV加害を告白した田房永子はフェミニストになったが、これはDV治療プログラム自体がフェミニズムイデオロギーに基づき行われているので当然の事である。

現在女性が男性に振るう暴力は男性が暴力を振るう最大の要因である事が判明している。その為、このように女性の攻撃性や加害性を隠蔽する姿勢は間接的に女性を危険に陥れることに他ならない。男性から女性への暴力、ひいては男女間暴力を減らす為には問題を避けず直視すべきである…みたいな事を騎士は言うだろうが、それは女性に遜った「貴方の為にもなりますからね?」という怯えた現実を無視した玉虫色の進言だ。そして彼女達がその進言を聞く事は決してない。何故なら女性はそもそも…というのが元記事だ。

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