友情の新学期 ~シュウジと神様2~

中3になってのクラス替で、せっかく仲良しになっていたフミちゃん、シンジ君とは違うクラスになってしまった。
同じクラスには学年の問題児がこれでもかというくらい集まった。その中でも不良のヨシフミとタカヒロは別格で恐い。
特にヨシフミとは2年生の時のちょっとした争いで偶然にも僕が勝ってしまって、かなり気まずい状態にある。
これから卒業までこのメンバーで過ごすのかと思うと心臓がキュッと締め付けられるようだ。

なんとかみんなと仲良くなれないものかなぁ。いじめられない程度でいいんだけど。
自分の部屋でなんとなく机に向かって高校受験用の参考書を開いてみるけど、まったく手につかない。
お腹空いたな。何か食べ物があるかもしれないと思い、階下のキッチンに行って冷蔵庫を開けた。

ん、誰だこんなところに猫のぬいぐるみを入れたのは。
冷蔵庫には手のひらくらいの小さな白い猫のぬいぐるみが背中を向けてちょこんと入っていた。つかんで取り出してみる。
「うわっ」
その猫は口から血を流していた。
(キモッ)
僕は瞬間的に心の中で思った、はずなのに。
「キモッってなんですニャ。失礼ですニャ」
ああ、またぬいぐるみが喋っている。
「あ、あのぉ。もしかしてまた何かの神様ですか?」
「そうですニャ。恋愛の神様コヤスっていいますニャ。シュウジが友人関係で困っているみたいだから来たですニャ」
「れ、恋愛の神様なんですね。僕の名前がわかってるなんてさすが神様です。でも今回はクラスメートの男子と仲良くなれればなって思うんだけど、ちょっと違わないですか?」
「恋愛も友情も、人と仲良くなるんだから一緒ですニャ。テキトーでいいですニャ。冷蔵庫は寒かったから早くシュウジの部屋に連れていくですニャ」
なんかうちの冷蔵庫は神様の出入り口にでもなっているんだろうか?やはり神様は不思議だと思いながらもコヤスさんを部屋に連れていった。

ここから先は

3,016字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?