赤いきつねと緑のたぬきとアナログ記録とデジタル保存(そろそろ終わるよ)17

初出 2021年5月9日 Facebook

劣化の起こらないデジタルコピーは著作権との戦いの歴史でもあった。
個人で使う範疇の複製は認められているとはいえ、ブルーレイレコーダーのダビング10制限やDVDのリッピング禁止は事実上個人でのデジタルコピーも禁止されているような印象を受け、あまりいい気分ではない。

限りないデジタルっぽいコピーだがアナログ転写であると言い張れる商品もある。アイ・オー・データなどが発売しているビデオキャプチャだ。

これは、PCや古いビデオデッキなどからの出力端子を接続し、ビデオキャプチャの液晶画面に出力内容を表示させ、その時点で録画ボタンを押すと出力されているものがまるごと録画されるという代物だ。代物、と妖しい商品のような表現をしたが、ヨドバシカメラとかauPAYマーケットのような普通の家電量販店や家電の通販などで普通に買える(そもそもがアイ・オー・データのような普通の周辺機器の会社が販売しているのだし)。

そして、アナログコピーと言いつつも保存はデジタルなのだ。もともとのデータと完全に同じものではないにしろ、まぁ、ほぼ、同じものが暗号化もされず特殊な認証を通すこともなく自由に再生でき編集できる。

かつて東大王として君臨し現在はQuizKnock主宰の伊沢拓司氏は、東大王の番組の中で、スマートフォンであれこれ見ていて、これは、と思った知識のねたになると思われるものはすぐスクショを撮るのでスマートフォンの中にスクショだけで6000枚ほど保存されている、と発言なさっている。

スクショは個人で利用する範囲であれば自由に撮影できる。そして、スクショした画像をGooglePhotoにアップロードすれば、多少時間はかかるが透明テキスト付きの画像を作成してくれるのでテキストで検索して探し出すことも比較的容易にできる、これはスクショの中にある文字の画像をOCR解析してコンピュータで扱える文字情報に書き出し、透明なテキストファイルとしてもともとのスクショの画像にレイヤーとして貼り付けるという仕組み。通常だとかなり性能の良いOCRエンジンを搭載したPDF編集ソフトなどがないと難しいが、GooglePhotoだと無料だ。

今は過渡期なのかもしれないが、記録はアナログで、保存はデジタルで、というニ刀流のやり方が、私達が意識しないまま普通に今のスマートフォン中心のデジタル生活の中で起こっている。おそらくはまだ当分このような状況は続くだろう。

生まれたときから既にデジタルガジェットが普通にある生活をしている若い世代と、アナログ中心の生活を長いこと続けてきた私達の世代とでは、これらコピーに関する考え方も大きく違っている。

では、これから私達後天的デジタルネイティブとしては、そういう世代と渡り合うためにいったい何を考えればよいのだろうか?

(次回最終回[なげーよ])

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