今年の9枚+α

ちょっと前になりますが今年の9枚ということでよく聴いたり印象に残ったりしたアルバム・EPを選んだのでそれの軽い紹介なんかをしようかなと思います。新たな発見や出会いの一助になれればこの上なく嬉しいです。

明日から借りた言葉/kOTOnoha

長野県のロック/ハードコアバンドkOTOnohaが満を持してリリースした全国流通盤。ずっと好きでいたバンドなのでとても嬉しいリリースでした。オルタナ・ポストロック~叙情系ハードコアなサウンドにポエトリーやラップを乗せたまさに唯一無二なサウンドを鳴らしているバンドです。とにかく聴けばわかる、伝わる、感じる何かがある。心を揺さぶる音と言葉。愛。必聴。

音源はもちろん何よりもライブがあまりにも最高すぎるので機会があれば一度は観てほしいバンドでもあります。レコ発と言う名の祝賀会でRiTTLEBOYとStrandedというこれまた超絶格好いいバンドとのスタジスリーマンライブにも行ったのですが、正直2019年で一番楽しかったと言えるくらいのライブでした。ほんとに観てほしい。

観測/花譜

バーチャルシンガー花譜の1stアルバム。今年特に聴いた1枚かも。「VTuberって......」みたいな偏見を持たれがちなのでは、と勝手に思っているのですが1度は曲を聴いてほしいです。偏見をぶち壊すような魅力と説得力のある歌声。これも唯一無二と言える力があるなと思います。

SEから始まりアップテンポなロックからバラード、ポップスまでバラエティ豊かな楽曲に前述の唯一無二な歌唱、最後には歌唱する本人を表す曲で締め、と一つの作品として上手くまとまり完成されているかなと思います。ある意味ではわかりやすくてとっつきやすい、キャッチーな1枚でもあるかなと。万人にオススメできる作品です。

meant to be.../Hopeless Rave & to overflow evidence

日本国内の叙情/エモーティブハードコア代表格といっても過言でない2バンドによるスプリット。大好きな2バンドのスプリットということでリリースが発表された時声を出して喜んだような記憶があります。

叙情派ニュースクールを昇華して最早ドラマチックといっても差し支えない独自の叙情サウンドを鳴らすHopeless Raven、ポストロック~激情系ハードコアなどを絶妙に織り交ぜてどこか温かさも泥臭さも感じさせるto overflow evidence、この2バンドが出すスプリット、もう将来伝説として語られるんじゃないかという内容です。格好良くて切なくて激しくて温かくて叫べて泣ける音楽はここにあります。心の隙間を満たす音楽、どうか一人でも多くの人に届けられるべき。聴いてください。

Clothes I Wear for the Space I'm In/Shirokuma

スウェーデンのスクリーモ/ポストハードコア...所謂激情系ハードコア、skramzなバンドの2ndアルバム。このバンドは「なんか名前聞いたことあるなー」くらいでずっと好きだったとかではなく、なんならこのアルバムで初めて曲を聴いたのですがまあ~~~~素晴らしい。ヒリヒリとした緊張感と冷たさ、その中に聴こえる哀しさと熱......と激情系を紹介するのによくある月並みな表現での紹介にはなってしまいますが、とにかくそのクオリティの高さ。これも.........というより結局音楽なんて聴かないとわからないのですが、聴けばわかるってやつです。スルリと耳に入ってそのまま心をぶん殴ってくるかのような。圧倒的美醜。ハマる人はとことんハマるかなと思います。深夜に聴いてほしいアルバム。

KMNVERSE/KMNZ

バーチャルHIP-HOPガールズデュオKMNZの1stアルバム。こちらも「名前は知ってる」「何回か曲を聴いたことある」くらいで熱心に追ってはいなかったのですが、Twitterで見た感想ツイートから興味を持ち、聴いてみたら見事にドハマりしました。

kawaii music~(lo-fi)HIP-HOP......とここらへんのジャンルにはあまり明るくないので適当なことを言えないのですが、それら周辺を織り交ぜたサウンドにクール&カワイイなボーカルを乗せた8曲で構成された1枚。何といっても聴き心地が良い、この一言に尽きます。ずっと聴いていたくなるような。バキバキにノらせるサウンドからメロウ&ノスタルジックなお洒落でアーバンなサウンドに丁度いい(と表す他ない)ボーカル...と間違いのない曲がコンパクトにまとめられていて本当に耳触り・聴き心地が良いアルバムという感想がピッタリかなと思います。これも「VTuberは......」って人にも勧めたい、ポップでキャッチーな万人受けする1枚だなと思います。自分も今後しっかりチェックしていきます。

Nothing Left to Love/Counterparts

カナダの叙情ハードコアバンドの6thアルバム。今年は来日もしました。というかもう毎年してるな。来年も是非来てほしいです。(今年は行けなかったので)

叙情ハードコアと言えば、くらいの間違いのないバンドですがこれまた間違いのない1枚です。過去作含めて1番好きかもしれません。ソリッドなハードコアサウンド&ボーカルに泣きの切なメロディーがこれでもかと詰め込まれたまさにCounterpartsな1枚ですが、これまで以上に静と動というか、1曲ないしアルバム全体としてのメリハリがグッと増したかなと感じさせてくるアルバムでした。1曲に詰め込まれている情報量が結構あり、それでもスッと聴かせてくるのは流石ですね。そしてそれ故に聴くたびに良さが増す作品でもあるかなとも思います。

Shaped by Fire/As I Lay Dying

METALCORE KING IS BACK・・・・・・

AILDが色々なアレコレを乗り越えてリリースした復活作。これまた間違いのないバンドから間違いのないアルバムですね。満を持しすぎ。メタルコアにハマるきっかけとなったバンドのひとつでもあり復活は本当に嬉しかったです。「メタルコアって何?」っていう質問に「これだよ」って聴かせても模範解答なのではないでしょうか。漢臭いシュレッドでメロいリフにブレイクダウン、タフい咆哮スクリームボーカルとナヨナヨしさのまるでないクリーンのカウンター......どこをどう切り取っても100点満点メロディックメタルコア。これを聴いて滾らないのが失礼。汗をかきたくなったら聴きましょう。

aurora arc/BUMP OF CHICKEN

みんな大好きBUMPの3年ぶり9枚目のアルバム。キャッチー、グッドリリック、グッドメロディー。安心感があります。BUMPってとある時期、おそらく6thアルバムのCOSMONAUTの前くらいまではフォロワーを結構生んでいた......というよりかは周りに似たサウンドのバンドが多かったような気がしていて、語弊はあるかもしれませんが、ある意味ありふれた音楽性とも言えたのではないかと思っており、でもそれ以降からは似ている音を鳴らしているバンドが少なくなったような気がしていて。自分のdig不足故に気づいていないだけでいっぱいいるのかもしれないんですが、これだっていうバンドは思いつかないんですよね。それくらいの確固たる存在になったのかなと思っているのですが、そういった存在感をまたしても誇示するクオリティの1枚です。間違いなし。

Beyond Causality/SOLITUDE A SLEEPLESS NIGHTS

日本のメロディックメタルコアバンドSASN通称ソリ男のメンバーチェンジを経ての3rdEP。これも1年を通してよく聴いていました。往年のメタルコア/叙情ハードコアを踏襲した激強リフやブレイクダウンにエモーショナルな泣きメロ、文学的な日本詩ボーカルが絶妙に重なってもう好きにならない理由がない。本当にクオリティーが高い1枚です。ドラマチック。そしてただ既存のジャンルを鳴らしているのではなく全てを上手く昇華させていて、ひとえにメタルコアと言ってもこの音を鳴らしているのってこのバンドしかいなくね?って思うくらいにこれまた唯一無二という言葉が似合うバンドです。似ているバンドがパッと出てこないバンドは素晴らしい。

このEPを出した後に2曲シングルをリリースしていて、そちらもまた素晴らしく、「メタルコア」という音楽を期待して聴くと肩透かしを食らうのかもしれませんが抜群に格好いい「ソリ男の音楽」で必聴です。

と今年の9枚を雑にではありますが紹介してみました。紹介になっているのかもわかりませんが、少しでも気になったら是非ともチェックしてほしいです。

ここからは上記の9枚以外によく聴いたり好きだったりした曲とかアルバムを雑に連ねていきます。こちらも惹かれるものあれば是非チェックを。

The flowers withered,Their color faded away/Fall of Tears

1stEPから圧倒的な進化を遂げてリリースされた2ndEP。現行叙情でも最も先を行っているバンドだと思います。胸が締め付けられる音楽、感情の塊。今年の9枚としては入れてなかったけど今年リリースの音源でもトップレベルで刺さりました。大好きです。

AngelMaker/AngelMaker

今年一番ハマッたデスコアのアルバム。時にはブラッケンドに時にはメロディックにとオタク君が好きなデスコア要素がたっぷり詰まってます。やっぱりデスコアは爆走に限る。

The Correlation Between Entrance and Exit Wounds/SeeYouSpaceCowboy

アメリカのカオティック/メタリックハードコアバンドの1stフル。カオティックながらも叙情性を感じさせる、でもしっかりとハードコアマインドを感じさせる1枚でよく聴いていました。クセになるアルバムです。オススメ。

Clairvoyant/State Faults

アメリカのエモ/スクリーモバンドの3rdアルバム。オルタナやインディーロックなんかの影響も感じる激情的な1枚。心地よい轟音と絶叫。刹那的な冷たさが心の隙間を埋めてくる1枚。

.../Elle

アメリカのエモバイオレンスバンドの2nd。聴くのはこのアルバムが初めてでしたが素晴らしかった。どこか知的さを感じさせる洗練された感情の嵐。調べれば名だたるバンドのメンバーから構成されているそうで。しっかりとチェックしたいと思います。

A Different Shade of Blue/Knocked Loose

アメリカのメタリックハードコアバンドの2ndアルバム。正直あまりしっかりチェックしておらずアルバム自体もそこまで聴きこんではいないのですが、来日時に観たライブでガッツリ持っていかれました。ひたすらヘビーでソリッドでグルーヴィ。血管ブチギレサウンドといったらこれという1枚。

Orange Juice/And Protector

無骨で泥臭く、クールでどこか温かいAnd Protectorらしさがたっぷり詰まった2ndアルバム。相変わらずグッとくる音を聴かせてくれます。晴れた日の夕方に外を歩きながら聴きたいアルバム。大好きな曲の通り抜けるオレンジが再録されたのも嬉しかったです。

ミツバチ/Le☆S☆Ca

今年はEP4.0に始まりナナシスも大きく動いた1年だったなあと思います。音源としてもAXiSや777☆S、七花少女とCASQUETTE’Sのスプリット、そしてQoPのフルアルバム......と他にも盛り沢山でしたがやはりLe☆S☆Caのこの1枚は取り分け大切な1枚なのではないでしょうか。贔屓目なしに名曲。とにかく聴いてほしいです。

余談ですがナナシスの楽曲がサブスク解禁されたことでこうやってカジュアルに紹介ができるのはとてもいいことですね。

思い出は山中で澱む/braqkotone

ノスタルジック叙情/激情ハードコアな山形braqkotoneの待望のアルバム。まさに”郷愁”という言葉が詰まったような、情緒を感じさせる1枚。何となく寒い時期に聴きたくなります。

Everlasting/Haze/The Last November

国内メタルコアでもトップレベルのクオリティのサウンドではないでしょうか。ドラマチックな叙情性が魅力的。掲げたメロイックサインが降ろせない。

CULT/DUSTCELL

MisumiとEMAからなるユニットDUSTCELLが発表した1曲。とにかくボーカルが好きです。多く語るのも野暮なのでとにかく聴いてほしい。クールなデジタルサウンドにクールなボーカル、とことんクールでハマること間違いなしな1曲。今後のリリースにも期待です。

ガチで恋するお前らへ(feat.うごくちゃん)/Neko Hacker

Kawaii Future Rockを鳴らすNeko Hackerがリリースした1曲。頭を空っぽにして聴くと幸せになれます。溶けろ。

ノリにノってるユニットのひとつだと思うので今後の動きにも注目です。

他にも確実にいっぱい色々聴いていてオススメしたいのですが量的にも丁度良さげですしこれ以上は単純にしんどくなりそうなのでここら辺にしておこうかなと思います。気が向いたら適当に追記するかもしれませんが多分しない。

今年の9枚と題打ってまとめつつ他のお気に入りもさらっていきましたが、正直そこに大した差はなくて、選んでいた時の気分なんかに左右された結果なのでそんなに大層な感じではないということを汲んでもらえればと。今9枚を選んだら多分違う結果になっている。カジュアルにいきましょう。

こうやって自分でまとめたものを改めて眺めるとやはりそのバンド・アーティストらしさというか、何度も使ってきた言葉ですが「唯一無二」と感じさせる作品は特に印象に残りますし好きになりますね。

そして自分はこうやってその年に出た新譜を総括するのに向いていない音楽の聴き方をしていることも改めてわかりました。そんなに新譜を追わずに元から好きなバンドの旧譜をよく聴いていることの方が多いんですよね。結構振り絞って書いていた感じがあります。夏とかなぜかずっとGalileo Galilei聴いてたもんな。でも楽しかったのも事実なのでまたこうやって紹介なんかができたらなと思います。自己満足で書いていることですが、1人にでも読んでもらえて気になるものが見つかればそれはとても素晴らしいことだと思うので。

というワケで今年の9枚+αでした。重ね重ねになりますが少しでも気になるものがあれば是非是非チェックしてみてください。素敵な音楽で生活を満たしていきましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?