最後のコンビニ
人類、滅びかけである。
レジでお金を払う人間などいなくなり、コンビニはその機能を完全に失っていた。
まだ使える商品が残っている店舗はあるだろうか…。
俺は疑い半分で、目についたローソンに入ってみた。
「らっしゃっせ~」
明るい店内。充分な品揃え。床にモップをかける店員。数人の客。
嘘だろ。
俺は久々のコンビニを満喫する。
よく分からない新商品のお菓子もかごに入れる。肉まんだっておでんだって買う。お弁当も温めてもらう。
「ありがとうございました~」
廃墟となったローソンのロッピーでは、ローソンが正常に営業を行っていた当時のCMが流れていた。
俺はそのCMを見ながら、涙が止まらない。
俺たちの町のほっとステーションはどこにあるのか。
どうすればいい気分になれるのか。
「あなたとコンビに」と言ってくれる、あの身近な暖かさはどこにあるのか。
人類、滅びかけである。
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