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ちぐはぐな愛を知るまでは、不思議したくてまた甘えましょう(21春ドラマのこと)



大好きな作品がたくさんうまれた2021年4月期春ドラマ、忘れたくないのでここに総括します。個人の感想なのであしからず。毎週順位が入れ替わるくらい激戦だったのであえて順位表記してません。並び順がだいたいそんなような感じ。では!



『着飾る恋には理由があって(火・22)』


これがあるから一週間頑張ろう、と思えるドラマがあるクール。しあわせ。大好きな塚原あゆ子監督×新井順子プロデューサー×金子ありさ脚本のトリオがオリジナル作品作るっていうので期待値200からスタートした着飾る恋でしたが、実際それを2000レベルほど上回るドラマでした。たった200でごめんなさい。このお三方といえば、『私結婚できないんじゃなくて、しないんです(2016)』『中学聖日記(2018)』につづきまして、今回が3度目のタッグ。わたしの心に深い傷を負わせたドラマの作り手さんたちです。とくに塚原監督×新井Pのコンビはいわずとしれた湊かなえ3部作を世にうんだ方たちなので、1話が始まらずして既にわたしの最優秀作品賞はこのドラマでした。観てないのにごめんなさい。


なんだかこのドラマの話だけで終わってしまいそうなので話を進めます。着飾る恋の好きなところ、たくさんあるけど、まずはヒロインがかわいくて、かっこいいこと。それから真柴と駿の横並びの関係性。それと、真柴から葉山社長に向いた敬意。これに尽きますね。

真柴ちゃんはとにかく応援したいヒロインだった。だけど応援しなくても自分と周りの人の力で進んでいけるヒロイン。その強さが好き。着飾った見た目ももちろんかわいいけど、仕草、目のお芝居まで完璧にかわいかった。それでいて駿よりかっこいいところもあって。二人の間に何かモヤモヤすることがあっても真柴ちゃんがすぐに解決してくれる。言いたいことはちゃんと伝えて駿にもそれを受け入れるキャパがあって。きっとこれが人生の相方やん・・・とつい思ってしまったし(他局でごめんね青春)お互いがお互いにとってプラスになる存在なんですよね。「あの子がいると頑張れる」ってやつ。8話から真柴ちゃんの部屋が少しずつ整理されはじめること、公式さんも言ってたけど、なんというか、たくさんのもので着飾ってた真柴ちゃんとミニマリストの駿が影響され合ってプラスになるって、いい描かれ方だなって思いました。たぶんそれは、他人に壁を作らないけど時に優しくしすぎてしまうはるちゃんと、人と距離をとるけど誰かとの繋がりを欲してる羽瀬ちゃんの関係性にも通ずるところがあるのかな。

そして、葉山社長。トルコさえ行かんかったら真柴と結ばれたんだろうな。いや、でもトルコに行かずにあのままの関係性が続いてたら、こと恋愛にも発展しなかったかな。そんなことを思いますが、一応わたしも社長派でした。あんなバツイチずるいやろ。でも駿と出会って惹かれてからの真柴ちゃんは、社長に一切の恋愛感情を向けなくなって。そこがこのドラマ好きだな、と思ったところでした。早乙女家に一緒に住むことになってからとか、島に一緒に行ったときとか、駿は焦って敵意向けてたかもしれないけど真柴ちゃんの心は決まってて。ブレない真柴ちゃんが好きだった。一方で、葉山社長には全身全霊の敬意があって、それは最終話までずっと変わらなかったんですよね。最終話直前であんなこと(白パーカーで待ってるりーくんにスローかけてユーミン流したい)があったのに、恋愛のれの字も浮かばないってすごくないですか?頼ったときはちゃんと話を聞いて良い方向に進めるように支えてくれる、大好きで尊敬する社長。真柴ちゃんの中に占める社長の割合はとてつもなく大きいってことが、真柴ちゃんの視線ひとつ、表情ひとつで伝わりました。それでも最後に両想いだったこと告げる葉山社長。このドラマなんなん?


『大豆田とわ子と三人の元夫(火・21)』


これもすごい。大好きな坂元裕二脚本に思わぬサプライズゲスト・オダギリジョーさま。おもろうないわけがない。軽快な会話劇だしお洒落で明るいOSTなのに、扱った中身はセンセーショナルなものばかりで。終わってみればたった1クール、たった10話に思えませんでしたね。

好きなところを簡潔にまとめると、まず名前。八作、鹿太郎、慎森。唄、かごめ、小鳥遊、松林さんまで好きでした。まえに坂元裕二さんが、雑誌ユリイカの対談で「名前はすごく考える。脚本を書くとき、毎回登場人物の名前を書いてからしか台詞は書けないから」みたいなことをおっしゃってたのがすごく頭に残ってて。個人的にわたし、作品の登場人物の名前にすごく目がいく人間なので、そういう意味でもこのドラマは楽しくてしようがなかったですね。

それから親友・かごめの死を淡々とこなした大豆田とわ子。身近な人なら身近な人ほど、悲しんでるひまもなくたくさんしなきゃいけないことがふっかかってくるんですよね、こういうときって。なので気持ちはだいぶ後からついてくる。小鳥遊さんにかごめの話をしたとき、とわ子は初めてその気持ちを共有できた気がして。その感覚ちょっとわかるな、なんて思いました。あともうひとつ。かごめのことをとわ子と同じように知っていて、とわ子と同じように好きだった八作とは、ずいぶん後になるまで彼女の話をすることができなかったんですね。あのとわ子と八作とかごめの関係。言い方ちがうのかもしれないけど、きっと死ぬまで、それ以降も、ずっと続くものなんだろうな。とわ子と三人の元夫が別れても一緒に生きていくみたいに、あの3人もまた別の輪の中で、離れても一緒に生きていくんだろうな、と思いました。それにしても小鳥遊さんって恋。いや愛。



『コントが始まる(土・22)』


これもすごい。何がすごいって今このタイミングで、同世代の売れっ子実力派5人が集まって群像劇をするってことがすごい。なおかつ、脇を固める役まで売れっ子主役級揃い。なおかつ、策士で頭がよすぎる脚本。最終話まで泣いたり笑ったり、なんというか良い疲れがどっと出るような人生を味わったドラマでした。

こんなに考えこまれた脚本なのに逆に脚本の影がみえてこないところが、このキャスト陣とんでもないんですよ。怖い。とくにやっぱりあのマクベスの3人、1話から最終話までずっと、台詞をしゃべってる感じがまったく一度も1ミリもしなかったですね。どういうこと、これドラマでしたよね?あのお三方、けっこうな頻度で作戦会議をしていたらしく、それだけ役者さんにとっても難しい作品だったんだな・・・と思いました。

ドラマを観ながら時系列を追いかけるうちに、まるで自分もマクベスやその周りにいる人たちとの思い出を追体験しているような、ちょっと不思議な感覚になりました。それくらい思い出の積み重ね方が丁寧で。どうか今からでも、マクベス終わらないでくれと願うばかりでしたね、気づいたら。人生休むことも悪くないし、その休みの間に出会える人もいて。出会う人で人生って大きく変わる。動き出そうとすることでまた人生が変わる。結局自分の人生に負けとか失敗とかないんだよねってことを教えてくれるドラマでした。

追記、このドラマはHuluスピンオフ『マクベスの23時』まで抜かりなく面白かったので未視聴の方はぜひ。マクベスの3人が本編のド真面目なシーンをイジって再現してたり、ツボの浅い中浜さんがみられたりするのでお値段以上です。たぶん当初は15分枠だったんでしょう、最初のほうは15分前後の尺なんですが、じりじり延びて最後はなんと28分尺です。



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そのほか、王道ラブコメ『レンアイ漫画家(木・22)』とか『ドラゴン桜(日・21)』『コタローは1人暮らし(土・23:30)』も好きでした。

恋愛ドラマのターンだった春ドラマから一転して夏ドラマは医療もの、警察ものが多いんですかね!視聴率戦争だ。わたしが個人的に楽しみにしてるのは『ナイト・ドクター(月・21)』『TOKYO MER(日・21)』『ボクの殺意が恋をした(日・22:30)』あたりです。でもプライム帯はとりあえず全部観ます。そうだ、あと『にぶんのいち夫婦(水・0:40)』『ただ離婚してないだけ(水・0)』『サレタガワのブルー(火・0:59)』の深夜不倫ドラマ3連発もわりと楽しみですね・・・『にぶんのいち夫婦』はもう始まってますがけっこう好きです。


ともあれ傑作揃いだった春ドラマのみなさん、ありがとう。主題歌のみなさんもありがとう。ちぐはぐな愛を知るまでは、不思議したくてまた甘えましょう。





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