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やりたいこと

 「やりたいこと」とは、その行為だけを指すものと勘違いしている者が多い。世の中の、立てた目標を達成できない人、つまり「負け癖がついている人」のほとんどがそうだ。その勘違いに気付いてすらいないために、自分のやりたいことが、実際には何を意味しているのかわからず、しょうもない理由で途中で投げ出すことになる。

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 「やせたい」と言う。痩せたいのだから、それはつまり「体重を減らしたい」ということなのだが、その為の運動や無駄な食事を控えることは「やりたいこと」に入っておらず、ただ「体重を減らしたい」だけ。だから、「やせたい」とは言いながら、生活を何も変えない。結果、「やせたいけど体重減らない」と言って挫折する。

 「社長になりたい」と言う。が、やりたいのは「人の上に立って指図すること」でしかなく、その為に客に頭を下げることは「やりたいこと」に入っていない。だから結局、下っ端の時に頭を下げられず、評価もされず、ぐず社員になるか、クビになる。

 「○○になりたい」「学校に通いたい」と言う。ところが、「なった自分」「通っている自分」は想像しているものの、その為にテレビを見ないで勉強すること、人が休んでいる間に努力することは「やりたいこと」に入っていないから、結局、試験に落ちて挫折する。

 「結婚して子どもが欲しい」と言う。が、結婚するために親に頭を下げることや嫁の妊娠中にセックスできないこと、自分の食事を500円に抑えて子どもの食費を作ることも、さらには自分の予定をキャンセルして緊急事態に病院に連れて行くことも「やりたいこと」に入っていないから、嫁の妊娠中に浮気したり、子どもの教育費が出せずに、子どもが「学校に行きたい」と言っても、勉強も教えられず、金も知恵も出せず、子どもが非行する。

 「いや、僕はそんなことにはなりません」と言う。

 が、そういう奴は、理屈でわかっているだけで、その時どんな気分なのかは全く想像していない。

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 「更生したい」とは、山ほどある課題を全てこなしたいということ。

 ところが、それを「やりたい」と言えないならば、「楽しい人生を送りたい」も結局送れない。下手すれば哀れな塀の中の人生になる。

 「努力したくない」ということは「塀の中で生きていきたい」ということだ。

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