見出し画像

「我ら人民 (Wir sind das Volk!)」のプレイ方針に関するメモ

War-Gamers Advent Calendar 2024の一環として執筆しました。
本記事はタイトル通りプレイ方針に関する考察がメインであるため、ルールやカードの詳細についての説明は省いたり簡略化したりしていることにご留意頂きたい。

勝利条件について

WsdVでは以下のいずれかの条件が満たされることにより勝敗が決まる。

  1. 時代の終了時の最終ステップにて相手に4つの抗議(MP)マーカーが置かれていると、自分が勝利

  2. 社会主義者キューブ(soc)を、
    a) サプライが枯れた状態でサプライから取る行動をするとき、東側勝利 b) ボード上に1つもない状態でボードから除去する行動をするとき、西側勝利

  3. 時代の終了時処理にて、東側が外貨不足あるいは警察コストによるインフラ(道/工場)の破壊要求数を満たせなければ、西側勝利

  4. 勝敗がつかないまま4時代目が終了すると、東側勝利

西側プレイヤーが致命的なミスを犯し続けない限りは1の条件での東側勝利は実質不可能なため、事実上の東側勝利条件は2の社会主義勝利か、最後まで生存勝利の二択となる。

コラム: 4つの抗議マーカーを置くということ

(東独に)4つの抗議マーカーを置くためには最小で16個の不満キューブが必要であることは自明である。では最大で何個必要なのか?
7*3+3*2 + 4*1 = 31個が正解。つまり最小数のほぼ倍を置かなければならない。
ゲーム開始時に東側には18個の不満キューブが置かれているので、追加で13を載せる必要がある。
各時代に生活の質の差による攻撃機会が6回あるということを意識し、相手の不満キューブ数の収支を意識しよう。(6回の内訳=西ベルリン2回、その他の国境4州が1回ずつ)

また、実際には社会主義者キューブや警察によって「後出し」で不満キューブが削除されてしまう。
社会主義者キューブ/警察が1個があるだけで、必要最小不満キューブ数は16個→20個になってしまう。

WsdVにおける「戦略」

(個人的な)結論から述べると、WsdVには定石と呼べるような戦略は存在しない。WsdVは個別の状況において最善を判断していくゲームである。
一方でおおむねこの時代にはこれくらいを目指したい、という方針はある程度立てることができる。(後述)

場のカードか手札のカードか

各時代前半の初手プレイヤーは前ラウンド終了時により多くの国際評判(prestige)を持っていた方、時代後半の初手は前半ラストカードをプレイしなかった方のプレイヤーである
各時代の前半後半にカードはそれぞれ7枚オープンされる。当然、初手で7枚から選択できるほうが後手で6枚から選択するよりも原則として強い。
また、オープンカードが多いほど、手札からカードをプレイするアクション(=場のカードを減らさない行動)の価値は下がる。手札からプレイするのは、場に弱いカードしか残っていない状態が望ましい。
時代前半の後手プレイヤーは、後半で初手を取るために前半ラストカードのプレイは避けたい。そのためには前半で初手プレイヤーと同じ枚数の手札カードを使用する必要がある。

以上を踏まえて、自分が時代において先手の場合、以下の流れでカードを使っていくことが標準的と考えられる。(もちろん、状況によってはより優れた流れは存在し得る)

場に1枚だけが残るまでオープンカードをプレイ→手札から"強い"カードを0~2枚プレイ(後手が合わせてくる)→最後のオープンカードをプレイ→時代後半は後手としてプレイ

後手が手札プレイを合わせてこない場合、後半の先手を取れる。
後手が手札プレイを合わせてくる場合、後手の手札も強ければイーブン。後手の手札が弱ければ有利を取れる。
したがって、この流れは理論上ほぼ「損をしない」といえる。

*なお、ここでいう手札カードの強弱の基準はおおむね以下の通りである。
とても強い = 強さ4以上の相手イベント、強さ3以上の自分イベント
強い = 強さ3以上の相手イベント、強さ2以上の自分イベント
弱い = 強さ2以下の相手イベント、強さ1のイベント

相手が手札を合わせてきて、後半にこちらが後手になった場合。
後半に相手が手札を切ってきても、オープンカードを使い続ければよい。
こちらは既に前半で相手より1回多くアクションを打っている (基本的には前半4-3、後半3-4のアクションとなる)。後手のこちらの手番で後半が終われば、時代を通したアクション数の優位は維持されたままである。

各時代の目標

大前提として、時代が進むごとに想定される状況数が増えていくため、ここで記す目標の重要度はゲーム序盤ほど信頼性が高い。
*なお、この記事では以下3つのトラックを上から国際評判トラック、外貨トラック、社会主義トラックと称し、各トラック上のマーカー位置を左から-6 ~ +6で表記する。

時代1
西側
国境州すべてに生活の質 (SoL) 1レベル。
国際評判は0以下。社会主義は+4以下。
国内に抗議マーカーなし。

東側
3つの州にSoL 1レベル、優先すべきは基本的にMV, Bra, East-Berの3州。
国際評判+1以上。外貨0以上。社会主義+3以上。
社会主義+5以上の場合は社会主義勝利ルートも現実味を帯びる。

時代2
西側
国境州すべてにSoL 2、その他州にSoL 1。
国際評判0以下。外貨0以下。社会主義3以下。
国内に抗議マーカーなし。最低輸出工場レベル3。

東側
時代1で社会主義+5以上だった場合、社会主義+6。
そうでなければ、
全州にSoL 1。ベルリンの壁を建築。
国際評判-1以上 (壁コスト込み)。外貨+2以上。社会主義+4以上。

時代3
西側
全州SoL 2以上、西ベルリン SoL 3。
国際評判-2以下。外貨0以下。社会主義3以下。
国内に抗議マーカー1個以下。最低輸出工場レベル3。

東側
社会主義ルートの場合、社会主義+6。これを満たすためであれば時代イベントも発動可。
そうでなければ、
全州にSoL 1以上。時代終了時の外貨状況を想定し、ペナルティ無しでおける限界の-1程度の数を配置する。
国際評判-2以上。外貨+2以上。社会主義+4以上。
西のBayern州に抗議マーカー。あるいは、Nr-Wf州に抗議マーカー+工場破壊。

時代4
西側
ここが一番難しい。相手の最大の弱点を考え、それを突く。
相手がSoLを多く配置していれば、最低輸出工場レベルを4にしつつ外貨トラックをマイナスにもっていき、SoLを廃棄させる。
社会主義トラックは-1以下にすべき。社会主義者の配置/除去は各時代の最後に行われるため後出しじゃんけんができる。
国際評判は0以下であればどうでもいい。
直接不満を配置するカードもどんどん使っていくこと。逆に、建築は避けるべき。

東側
外貨トラックをできるだけ維持しつつ、SoLを配置。外貨不足ペナルティの2~3回は甘んじて受けよう。
不満を直接削除できるカードイベントはできる限り発動する。
SoLももう置けず、イベントもなければ不満を取り除く基本アクションも選択肢に入る。
壁崩壊の時代イベントは原則として使用しないこと。(それにより勝利が確実になるときを除く)

リソースとしての不満


対戦型ゲームにおいてはよく「体力はリソース」ともいわれる。残りHPが100%であろうが1%であろうが勝利条件を満たせばゲームには勝利できるので、0%にならない限りにおいて体力を犠牲にして、ハイリスクハイリターン行動をすることは合理的である。
WsdVにおいては不満が「体力」と近い意味合いを持つ。
4つの抗議マーカーが置かれない限りにおいて、不満は単なる新規建築ブロッカーでしかない。
むしろ、4つの抗議マーカーが置かれない限り、国内の不満は多い方が良いともいえる。
なぜなら、敗北に結びつかない不満キューブが実際に意味しているのは
- こちらに不満を置くという相手の行動が無駄であったこと
- コスト(不満)を払ってリターンを得るイベントの、コストを踏み倒したということ
であり、どちらもあなたにとっては大きなアドバンテージであるからだ。

最後に


自分の文章を書くという行為をほとんどしてこない人生を送ってきたためか、拙い文でしたが最後までありがとうございました。
WsdVは以下のWebサイトにてオンライン対戦が可能です。お相手は随時募集しておりますので、コメントあるいはX: bdgparado までご連絡ください。
http://play.boardgamecore.net/

いいなと思ったら応援しよう!