相場の底を見極める - 投資家が陥りがちな失敗と克服する

相場の動きを捉えるのは初心者にとって大変な難題です。特に「底」と呼ばれる安値水準を見極めるのは非常に難しい課題です。多くの投資家が、大底で買えると思って買うもののさらに下落し、あるいは底だと思って売ったところで反転上昇してしまうという経験をしています。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。


本記事では、投資家が陥りがちな失敗パターンを分析し、それを克服するための具体的な方法をお伝えします。「底」を見極める上で重要なポイントを押さえ、適切なエントリータイミングを見極める方法を解説します。初心者から経験豊富なトレーダーまで、相場の動きを正しく捉えるためのヒントが満載です。

相場の「底」の見極め方

相場の動きを読み解く上で、「底」の存在を正しく捉えることは非常に重要です。しかし、多くの投資家が「底」を見誤り、大きな損失を被ってしまうのが実情です。では、なぜ「底」の見極めは難しいのでしょうか。

「大底」とは何か

「大底」とは、相場が最も安値水準に達した状態を指します。多くの投資家が売り玉を手放し、売り惜しみがなくなった時期に形成されます。この時期は、相場が急落した後の反発局面でもあり、大きな利益を得られるチャンスでもあります。

しかし、ここが「大底」であると判断するのは容易ではありません。なぜなら、この時期は投資家の恐怖感が極限に達しており、誰もが「さらに下落するだろう」と考えているからです。つまり、大底で買いたいと思っても、心理的な抵抗感が大きく、実際に行動に移せないのが実情なのです。

「大底」を見誤る3つの理由

投資家が「大底」を見誤る主な理由は以下の3つです。

  1. 「追っかけ買い」と「追っかけ売り」 相場が上昇傾向にあれば買いたくなるし、下落傾向なら売りたくなるのは自然な反応です。しかし、その時点がトレンドの最終局面である可能性が高く、追っかけるとかえって損失を被ることになります。

  2. レジスタンス/サポートラインの手前でのエントリー 相場にはレジスタンスラインやサポートラインと呼ばれる重要な水準が存在します。これらのラインを意識してエントリーするのは大切ですが、ラインを割り込む直前で順張りでエントリーするのは危険です。

  3. 「大底」への過剰な期待 相場が大きく下落した後、「ここが大底だ」と思って買いに入るのですが、実際にはさらに下落する可能性が高いのです。大底での買いは勇気がいる一方で、失敗すれば大きな損失を被ることになります。

これらの理由から、多くの投資家が「大底」を見誤り、思わぬ損失を被ってしまうのが実情です。では、この問題をどのように克服すればよいのでしょうか。

「大底」を見極める3つのポイント

「大底」を正しく捉えるためには、以下の3つのポイントを押さえる必要があります。

1. 押し目と戻り目に着目する

相場の動きにはN字型の波動がみられます。上昇局面では押し目、下落局面では戻り目が形成されます。大底は、この押し目や戻り目のタイミングで買いのエントリーを検討するのがよいでしょう。

押し目や戻り目は、チャート上のラインを意識して捉えることができます。レジスタンスラインやサポートラインなどの重要水準を意識しながら、それらのラインを意識してエントリーするのがポイントです。

2. 出来高の動きに注目する

相場の底値形成時には、通常大きな出来高が発生します。これは、多くの投資家が売り玉を手放したことを示しています。つまり、この大きな出来高は、相場が大底を形成したことを示唆しているのです。

一方で、出来高が細っている状態で相場が反発しても、底堅さに欠けている可能性があります。したがって、出来高の動きにも注目することが重要です。

3. 投資家心理を読み取る

相場の底値形成時には、多くの投資家が恐怖感に怯えており、売りに走る傾向にあります。このような極端な悲観ムードが漂うタイミングが、大底の形成時期と考えられます。

一方で、相場が反発局面に入ると、投資家の心理も徐々に改善していきます。この心理の変化を捉えることも、大底を見極める上で重要なポイントといえるでしょう。

「大底」を狙うエントリー手法

「大底」を見極めたら、次はいかにして適切なタイミングでエントリーするかが重要です。ここでは、「大底」を狙ったエントリー手法をいくつか紹介します。

1. 押し目買い

相場が急落した後、一時的な反発局面(押し目)が形成されます。この押し目のタイミングでエントリーするのが「押し目買い」です。押し目は、大底の手前での買いのチャンスといえるでしょう。

ただし、押し目買いにも注意が必要です。押し目のタイミングを逸してしまうと、かえって高値掴みになってしまう可能性があります。そのため、チャートの動きと出来高の推移を慎重に見極める必要があります。

2. 戻り目買い

相場が大きく下落した後、一時的な反落局面(戻り目)が形成されます。この戻り目のタイミングでエントリーするのが「戻り目買い」です。戻り目は、大底の直前での買いのチャンスと考えられます。

押し目買いと同様、戻り目買いにも注意が必要です。戻り目のタイミングを逸してしまうと、再び下落に見舞われる可能性があります。ここでも、チャートと出来高の動きを慎重に分析する必要があります。

3. ボリンジャーバンド活用

ボリンジャーバンドは、相場の変動幅を示す指標です。相場が大底を形成すると、ボリンジャーバンドが収縮する傾向にあります。

したがって、ボリンジャーバンドの収縮局面でエントリーするのが「ボリンジャーバンド活用」の手法といえます。バンドの収縮は、相場の変動幅が小さくなり、安定化しつつあることを示しています。

ただし、ボリンジャーバンドだけでなく、他のテクニカル指標とも組み合わせて判断することが重要です。単一の指標に頼るのではなく、複合的な分析が必要不可欠です。

「大底」を見極めるためのチャート分析

「大底」を見極めるためには、チャート分析が欠かせません。ここでは、代表的なチャート分析手法をいくつか紹介します。

1. ダウ理論

ダウ理論は、株式市場の3つの主要な動きを分析する手法です。トレンドの確認、相場の反転点の判断、投資家心理の把握などに役立ちます。

ダウ理論では、株価指数の推移を3つの局面に分けて分析します。「一次(長期)トレンド」「二次(中期)トレンド」「三次(短期)トレンド」です。この3つのトレンドを組み合わせることで、相場の動きを的確に捉えることができるのです。

2. フィボナッチ分析

フィボナッチ分析は、数列の特性を利用して相場の支持・抵抗水準を特定する手法です。フィボナッチ数列には、黄金比率(約61.8%)が含まれており、この比率を利用してサポートやレジスタンスラインを引くのがポイントです。

相場の反転局面では、フィボナッチ水準付近で買いや売りのチャンスが訪れることが多いため、この分析手法は「大底」を見極める上で有効活用できます。

3. チャートパターン分析

チャートパターン分析は、過去の相場動向を参考にしながら、未来の相場展開を予測する手法です。代表的なパターンには、ダブルボトム、ヘッド&ショルダー、三角持ち合いなどがあります。

これらのチャートパターンは、相場の反転局面や底値形成を示唆することが多いため、「大底」の見極めに役立ちます。ただし、単一のパターンだけでなく、複数のパターンを組み合わせて判断することが重要です。

「大底」を見逃さないための心構え

最後に、「大底」を見逃さないための心構えについて述べます。

1. 恐怖心に惑わされない

相場が大きく下落した局面では、多くの投資家が恐怖感に囚われがちです。しかし、この恐怖感が強すぎると、「大底」での買いのチャンスを逃してしまう可能性があります。

冷静な判断力を保ち、恐怖心に惑わされないようにすることが重要です。テクニカル分析やファンダメンタルズ分析を活用し、客観的な判断基準を持つことが肝心です。

2. 小額からスタートする

「大底」での買いは勇気のいる行動ですが、それだけに失敗すれば大きな損失を被る可能性もあります。そのため、最初は小額から始め、徐々に投資金額を増やしていくのがよいでしょう。

少額からスタートすれば、失敗しても大きな影響は受けません。徐々に経験を積み重ね、自信をつけていくことが重要です。

3. 損切りラインを設定する

「大底」を見極めるのは難しいため、エントリー後に相場が逆方向に動く可能性もあります。そのため、あらかじめ損切りラインを設定しておくことが重要です。

損切りラインを設定しておけば、大きな損失を回避できます。無理なエントリーは避け、冷静な判断力を保つことが肝心です。

以上のように、「大底」を見極めるためには、相場の動きを冷静に分析し、適切なエントリータイミングを見極める必要があります。初心者から経験豊富なトレーダーまで、本記事で紹介した手法を参考にしながら、相場の変動に対応していきましょう。

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