解析入門I - 実数の連続性3


この記事は解析入門I (杉浦光夫 著)の読書ノートです。


ここでは区間縮小法を示そう。まずは区間という概念について説明する。

$${a, b \in \mathbb{R}}$$に対して$${a \le b}$$が成り立っているとするとき、次のような定義を行う。

  • $${[a, b] \equiv \left\{ x : a \le x \le b\right\}}$$を有界閉区間という

  • $${(a, b) \equiv \left\{ x : a \lt x \lt b\right\}}$$を有界開区間という

  • $${[a, b) \equiv \left\{ x : a \le x \lt b\right\}, (a, b] \equiv \left\{ x : a \lt x \le b\right\}}$$を半開区間という

  • $${(a, +\infty) \equiv \left\{ x : a \lt x \right\}, (-\infty, b) \equiv \left\{ x : x \lt b\right\}}$$を無限開区間という

  • $${[a, +\infty) \equiv \left\{ x : a \le x \right\}, (-\infty, b] \equiv \left\{ x : x \le b\right\}}$$を無限閉区間という

  • 上記に$${(-\infty, +\infty) \equiv \mathbb{R}}$$を含めて、区間という

この区間の概念を用いて、次の区間縮小法を示そう。次のような性質である。

有界閉区間の列を$${(I_n)}$$とする。これが単調減少、つまりすべての$${n}$$に対し$${I_{n+1} \subset I_n}$$が成り立つとき、次を満たす。

  1. 共通部分には実数が存在する。つまり$${\cap_{n \in \mathbb{N}} I_n \neq \phi}$$

  2. $${I_n = [a_n, b_n]}$$とおいたときに$${\lim_{n \to \infty} (b_n - a_n) = 0}$$ならば、共通部分は一つの実数$${a}$$を決定する。つまり$${\cap_{n \in \mathbb{N}}I_n = \{a\}}$$である。さらにこのとき$${\lim_{n \to \infty} a_n = \lim_{n \to \infty} b_n = a}$$が成り立つ

$${(I_{n})}$$が単調減少するという仮定は、次と等価。

$$
a_0 \le a_1 \le \cdots \le a_n \le b_n \le \cdots \le b_1 \le b_0
$$

つまり、$${\{a_n\}}$$は上に有界な単調増加列、$${\{b_n\}}$$は下に有界な単調減少列であることがわかる。したがって

$$
a \equiv \lim_{n \to \infty} a_n = \sup \{a_n\},\ b \equiv \lim_{n \to \infty} b_n = \inf \{b_n\}
$$

が存在する。すべての$${n}$$に対し$${a_n \le b_n}$$だから、$${a \le b}$$を満たす。さてここまで述べてきたことからすべての$${n}$$に対し$${a_n \le a \le b \le b_n}$$であるから、$${[a, b] \subset I_n}$$が成立する。すなわち$${\phi \neq [a, b] \subset \cap_{n \in \mathbb{N}} I_n}$$である。

いま、$${\cap_{n \in \mathbb{N}} I_n}$$の任意の元を$${c}$$とすると$${a \le c \le b}$$だから、すべての$${n}$$に対して$${a_n \le c \le b_n}$$も成立する。よって$${0 \le c - a_n \le b_n - a_n}$$である。これと$${a_n \le a}$$であることから

$$
0 \le c - a \le c - a_n \le b_n - a_n
$$

がすべての$${n}$$に対して成り立つ。仮定より$${\lim_{n \to \infty} (b_n - a_n) = 0}$$なので、$${c = a}$$を得る。これは$${\cap_{n \in \mathbb{N}} I_n = \{a\}}$$を意味する。

$${[a, b] \subset \{a\}}$$がわかったのだから$${b = a}$$であり、$${\lim_{n \to \infty} a_n = \lim_{n \to \infty} b_n = a}$$が言えるのである。


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