【東のエデン(2009年〜放送)感想・ネタバレあり】
〈事前知識〉
作者:神山健治、54歳、代表作に攻殻機動隊。
主人公:滝沢 朗(たきざわ あきら) / 他複数日本名あり。セレソンのNo.9。→9はエンジェルナンバーとしてみると、数字の一番最後であるから「終わり」ひとつの「区切り」をも意味する。また主には「聖なる使命」も表す。関係あるかは不明。
ヒロイン:森美 咲(もりみ さき)
絵が三月のライオンだ…!
〈あらすじ〉
100億円を渡され日本を救うゲームに参加させられた12人のセレソン。そのうち1人がサポーターで、残金がゼロになったり規約に違反した人を処分する役割を担っている。誰かはわからない。
主人公は記憶を無くしてホワイトハウスに全裸で放り出されたところからはじまる。
⚠️内容を知らない方・忘れかけている方は〈東のエデンを見進めながらの感想・気になった点のメモ〉を見てからの方が話が入ってきやすいかと思います。
〈劇場版まで見終わって〉
面白かった!!!けど…、これまでたくさん面白い作品を見させてもらったので、その中では真ん中か下の方という評価をしたい。
上が☆5段階評価なら☆4ぐらい。物語だけの評価なら☆3.7ぐらい。
ストーリー的にはコンセプトや話の中心点は陰謀説や政治、日本を良くするためには、というところにありそこは自分の興味関心に近いのでかなりワクワクできた。しかし本質的な細かいところは抽象的に書かれていたのがもったいなく感じた。
他のレビューも見て、放映された当時2009年〜2010年はリーマンショックによる不況と、民主党の政権交代もあり、日本の時代背景ともリンクする作品だったのだろうと思う。
作画やOP,EDも良かった!EDのMVにも目が行って、視覚的にも聴覚的にも素晴らしかった。森美咲のキャラデザが可愛い!みっちょんの声もハマる。独特なストーリー進行も個人的には好きだったし、多くの陰謀説を知っている自分としては「これあれじゃん!」てな感じでたくさん楽しめた。
個人的にはもっとセレソンNo.11について掘って欲しかった。悟っているようなキャラには、なぜその結論に至ったかというバックボーンが気になる。
滝沢くんの1話以前の記憶を思い出す回想シーンも楽しみにしていたので、それもなくて少し残念でした。🙍♂️
物語の内容について、そもそもで言うと黒幕であるアウトサイドの言う「日本を良くしてほしい」の定義がよく分からない。どうなったら良くなったと言えるのか示されていない。結局はアウトサイドのさじ加減なのでは?という疑念が湧いた。
まずアウトサイドの考える「良い日本」とはなんなのか、という点を展開、議論してほしい。
「日本国民が幸せになること」が=「日本を良くしてほしい」なのか、「アメリカの支配から逃れ、自立・独立して自由になること」が=「日本を良くしてほしい」なのか、等々。人によって''得たい感情''や''得たいモノ''、''幸せの価値観''は違うのに、その点をあいまいにしていることが、解釈の余地があって、ゲームをク◯ゲー化させていると思う。だからやはり全てはアウトサイドのさじ加減であり、たまたまアウトサイドと同じ思想になった人が支持される運ゲーなのではないか?と思った。
主人公について。主人公はコミュ力も演説力もあるし、多種類の車の免許を持っていたり、勇気や決断力やカリスマ性などかなりハイスペックに持ち合わせている。
反対に、政治面での無知さや人の感情を置いてけぼりにするシーンが多々見受けられた。
No.1を総理大臣に推してしまうあたり、見る目にも期待できないなぁという印象で、物語を見ていて主人公に賛同することは難しかった。
個人的には、本当だった陰謀説や都市伝説が好きで、それを友人に話したところ勧められた作品だったので、かなり現実と照らし合わせたリアルな視点で見てしまったところが、少し辛口目になってしまった要因に感じる。普通にファンタジーとして1話から見ていたらまた評価は変わったかも。もしくは政治や陰謀説を全く知らなかったらそれはそれで面白そう。
〈テレビアニメ 東のエデンを見進めながらの感想・気になった点のメモ〉
・ホワイトハウスから始まるメッセージ性。
場面はホワイトハウスからスタート。森美咲、全裸の滝沢朗と出会う。ホワイトハウスはアメリカ合衆国議会議事堂を頂点としたピラミッドの外側に隣接して位置する建物。ちなみに議会議事堂を中心に知恵の象徴であるフクロウもある。
ホワイトハウス↓
議会議事堂を中心としたフクロウ↓
議会議事堂を頂点とするピラミッド状の道路とそれに隣接するホワイトハウス↓
敗戦国日本のバックにいるアメリカの大統領をトップとして、その大統領が居座るホワイトハウス。ほぼ何も持たない主人公がそのホワイトハウスから現れる。というのは、なにかのアンチテーゼなのかな…?
・滝沢「どう?グラウンドゼロ」→グラウンドゼロは9.11跡地である。9.11の陰謀説は米国でも1・2を争う陰謀説であり、米国民3人に1人が、細部は違えど、この陰謀説を支持しているという記事もある。
https://www.afpbb.com/articles/-/2823753?cx_amp=all&act=all
・「東のエデン」という言葉について
東のエデン=大学のサークルでありニートの楽園。プログラミングで画像からあらかじめ入力したデータを読み取るシステムを開発、起業しようとしたところ失敗。ここが本当の楽園的な意味?東のエデンが作り出したシステムは大量監視社会の常識化を示唆しているように見える。キャラクター本人たちにそれがプライバシーの侵害であるという認識はない。
東→日本を示している?太陽が登る=始まりの意味も。
エデン→天国、楽園、神話と関係あり?
・東のエデン的日本の縮図
内定試験に落ちてその会社の部長から牛丼をかけられる森美咲。アガリを決め込んだ大人達という東のエデン的な日本社会の縮図を表している?
・No.11の善悪論
No.11白鳥・ダイアナ・黒羽の善悪論の展開。黒い羽は悪魔を表している?飛翔能力、ジェイスを使った?念力あり。「どんな正義の味方だって世界の半分しか味方にならない」という話はフェイトやバビロン、風の谷のナウシカでも語られている善悪論。少ししか話していないので違うかも、真意は読めない。
・板津好きだわ
板津の陰謀論を陰謀説と表現するところが好き。
・アウトサイド=阿藤才蔵=ゲームの黒幕。戦後日本の運輸業を押し上げ日本のフィクサー(支配者)の1人と言われるほどの権力を持つ。
・100年前からあるAIが世界を裏から操っていると示唆された描写があり(サイコパスと同じ?)。ナンバー10は明日ミサイルを10発打とうとしている。(ナンバー10は悪魔に乗っ取られているように見える)両親が過労死で亡くなり、2人を追い込んだ日本の自己責任論に対して不満を口にする。
・森美咲の予測する事のあらすじ。
ナンバー10がナンバー1とナンバー2と組んでミサイルを発射、ナンバー9だった滝沢はジュイスを使ってそれを阻止。その後避難民に対しての誹謗中傷や、ミサイルに対してなぜ知っていたのか?という疑惑が膨れ、滝沢が自分が犯人だと話して怒りを自分に向けさせ2万人のニート(避難民?)をドバイに移送。その後病んだナンバー9は記憶を消してリスタート。
・ナンバー1、自己責任論を展開しナンバー10を裏切る。トカゲの尻尾切りをする。
・ナンバー10(?)が指定した60発のミサイルは違うミサイルで撃ち落とすというような方法で阻止された。その際2万人のニートの意見をジュイスが統括する形で解決策を編み出すよう滝沢朗が指示。
・滝沢が残りの資金を使って王になることをジュイスに希望し、それを承諾。ここでストーリーは終了する。
〈劇場版 東のエデンを見進めながらの感想・気になった点のメモ〉
・滝沢に会うためにアメリカへ飛んだ森美咲。トランクにはなぜか銃器が。またもやパスポートと滝沢のケータイを紛失。
・オープニングで立っているビルは多分グラウンドゼロ?(9.11跡地)
・ケータイを遠隔操作して盗聴するシーンがあり。板津「FBIあたりで普通に使われてるらしい」(本当だった)→2013年スノーデン氏の暴露と重なる。
・森美咲に銃を持たせ厄介ごとに巻き込んだのはナンバー6、それを助けたのはナンバー11。ジュイスも日本ではほぼなんでもできるが、海外だと行使力も高くないようだ。
・ナンバー11のジュイスが「受理されました」ではなく「受理しました」と言う。
・ナンバー11「どうやらあなた(ナンバー9)の守護天使ではいられなくなったみたい」
・ナンバー1によりミサイルでジュイスが破壊される。ナンバー11と、ナンバー12、ナンバー2、がジュイスを使えなくなる。
・政治思想の絡み合い。右派vs左派的?
・滝沢「他のセレソンとも協力できたらもっとすげぇアイデア集まったんじゃねえか?」No.1「そこは私も、負けず嫌いなのでね」→えっ、No.1器ちっっさ…!!!笑
・滝沢「もののべさんが総理大臣になってよ」→いやどうしてそうなった?笑 ワイの大好きな板津を引き殺そうとした上に自分の仲間であったNo.10を裏切るようなやつに総理大臣にはなって欲しくない。笑
・No.1「国民というのは1億人のエゴイスト集団だ。」--「今や総理大臣など、ただの生贄に過ぎない」→🤔
・No.1「まず第一に国民に気づかれないように自由を奪う」→や、1番やめてほしい、。教育・開発、あとメディアに力を入れて理解してもらおうというところに力を注いで?と思う。
・「俺は金は払うよりもらう方が楽しいって社会の方が健全な気がするんだけどな」→それはその通りよなと思う。
・滝沢の全国に向けた演説に対して→抽象的すぎるかなぁ。これからしたいことはわかるけど本質的に何が言いたいのかよく伝わらなさそう。
・アウトサイド「日本人が好む坂本龍馬も…」→や、坂本龍馬は他国から武器もらって内戦を成功させた男だと思っているから別に好きじゃない。中央銀行システムを導入したのも、武士道があからさまに悪用されたのも、近代天皇制が始まったのも明治維新からであると思っているから、全然好きくない。嫌いとかでもないけれど…!
・アウトサイド「だがこの国の本当の救世主は日々をコツコツと生きた名も亡き者たちであり、結果一敗地にまみれて去った歴史の敗者たちだ」→🤔
・100億円で日本をよくして欲しいと言われたらどう使う?という作品からの問いかけ
・劇場版第二部について。クライマックスなだけあり多くの登場人物の本心が語られており付に落ちる感覚は面白かった。ただ、作者の伝えたいメッセージの深みといったものはあまり受け取ることができず少し物足りなく感じた。とはいうものの、実際にある陰謀説や政治を取り入れるアニメというのは少ないし、自分の興味関心ともリンクしていて、見てよかった作品だった。
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