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ドミニカ国内の施設訪問&見学

私は2月から3月にかけてドミニカ共和国(以下、ドミニカ)へ行ってきました。
まず、私が何を目的にドミニカを訪問したかと言いますと「野球を通して相互国間の友好関係を築く」という目的の元、外務省の広報文化外交の一環である「中南米対日理解促進プロジェクト」というプロジェクトの一員として訪問しました。数回の記事の投稿で私の経験を紹介させて頂きたいと思います。

この記事では、ドミニカ国内の施設訪問&見学で学んだことについてまとめています。

1. 青年大臣、大使館を訪問

我々は、バルカセル青年大臣、牧内ドミニカ大使を表敬訪問し、ドミニカに関する基礎知識などを学びました。現在のドミニカが抱える教育や環境の問題などを共に考え、意見をぶつけ合いました。環境問題については、日本も抱えており、各企業、各人それぞれで、地球全体で考えなければならない問題であることを痛感しました。

また、ドミニカでは野球が国全体に与える影響がいかに大きいかを知りました。その内容については後に説明します。

2. ドミニカ野球連盟を訪問

ドミニカ野球連盟では、多くの展示品を閲覧することでドミニカ野球の歴史を知ることが出来ました。ここで我々を案内してくれたのは元日本ハムのエリック・アルモンテ氏、元西武、オリックスのエステバン・ヘルマン氏でした。このお二方は、現在ドミニカ野球連盟の理事を努めておられます。ドミニカはMLB全30球団のアカデミーを国内に持ち、これまでMLBの舞台に約1000人を送り込んだ、いわばMLB選手養成国であることを彼らの説明や多くの展示品の数々から実感しました。

また、なんと連盟に隣接しているスタジアム(エスタディオキスケージャ)に無理を言って入場させて頂きました。エスタディオキスケージャは国内最大級(約11,000席)の収容人数であり、主にウィンターリーグで使用される球場です。また、ここはかつて筒香選手が所属したチーム(エスコヒード)の本拠地です。ここで私はヘルマン氏本人の前でオリックス時代の応援歌を熱唱し、喜んでいただきました。

ドミニカで冬にしかプロ野球が行われないのは、MLBとの兼ね合いがあるからだそうです。やはり、MLBがドミニカ野球界で最も重要なカテゴリーであることを感じますね!

では、続いては国内にあるMLB野球機構について書いていきましょう。

3. MLB野球機構を訪問

ドミニカにおいてMLBは約7600万ドルの経済効果があるといいます。MLB野球機構では、将来的にMLBへ送り込む有望な選手や現役選手、引退後の選手のサポートのみならず、社会貢献活動なども実施しています。主なサポート内容は、アメリカで通用する為の英語教育、薬物対策、安全運転教育、暴力抑制、情報教育などです。何故これほど教育を重視しているかというと、ドミニカの野球選手は幼少期からあまり十分な教育が受けられていないからです。これは貧困層が貧困脱却を目指して野球に取り組むことが背景にあります。このことから分かるように、野球さえ上手ければ将来的にアカデミーで十分な教育が受けられるという事実があります。現役選手に対しては薬物使用後のアフターケアや銀行口座の作成(ドミニカではBHD銀行がMLB全選手の口座を、一括で管理、後に詳細を説明)を行っています。引退後の選手に対してはセカンドキャリアに関する取り組みもしています。

ドミニカでは16歳7ヶ月という年齢がキーポイントになっています。

この年齢はというと、野球少年がMLB球団と契約が出来るようになる年齢です。ここを目指してドミニカの野球少年たちは日々練習に取り組んでいるというわけです。MLBでは若ければ若いほど評価をされるので、ドミニカでは選手らの早熟化が起きています。そんな中、年齢をサバ読み、より若く評価をしていただこうとする選手がいますが、その不正を取り締まっているのがこのMLB野球機構です。このように様々な役割を果たし、これまでに約1,000人、毎年アカデミーの約4〜5%の選手をMLBに輩出してきました。

4. BHD銀行訪問

この銀行は前述した通り、全ドミニカ国籍のプロ野球選手の口座を開設し、一括で管理しています。また、いきなり大金を手にする選手に対して教育支援も行っています。例えば、貧困脱却を目指して野球に取り組んできた選手が16歳7ヶ月の時点で2億円で契約したとします(現地では本当に2億円で契約している選手がいました)。すると、この選手はサポートなしではその大金を何に使い、月々にいくらの買い物をすれば良いかなど検討もつきません。こういった選手にお金の使い方を教育するみたいです。

展示室にはサミー・ソーサ、アレックス・ロドリゲス、アルバート・プホルス、ペドロ・マルティネスなどそうそうたるメンバーの展示品がありましたが、もちろんゲレーロ氏のユニフォームも展示されていました。

5. JICAドミニカ訪問

JICAドミニカでは、駐在員の方からドミニカの情勢に関する講話を聞くことができました。やはりこれまでも述べたように、教育格差や環境問題についての内容が多く、早急に取り組むべき問題だなと感じました。

日本からはこれまでに34名が青年海外協力隊として派遣されています。主に農業支援の為の派遣が多いですが、体育教育の支援もこれまでにあったようです。現在はコロナという事態で渡航が困難になっていますが、近い将来協力隊としてドミニカに再び訪れたいと発言するメンバーもいました。ぜひ実現してほしいですね。


6. Uリーグ施設訪問

Uリーグというのは、中高生を対象とし、教育とスポーツを融合させた教育をしている組織です。ドミニカでは、元々富裕層は勉強をして野球をせず、貧しい家の子供は教育をまともに受けられないまま野球をするといいます。そんなぶんかがあるなか、ここは教育とスポーツの両立を目指すという国内では稀有な施設です。ここに通う子供たちは比較的裕福な層の子供が多いようです。我々は授業に潜入し、実際に授業を受講してきました。この日の内容は数学、社会、英語などで、英語はレベル別にクラス分けがされていました。個人のニーズに合わせた教育もされていて素晴らしいと思いました。

様々な施設を回ることで徐々にドミニカのことがわかってきました。もちろん住んでみないと分からないことも多いでしょうが、今回は限られた時間の中で多くの機会を得ることができたので良かったです。

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