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2024年第45週厚労省定点分析と評価・第46週直近予測と2024-25冬季12th Surge早期警戒情報(休日補正による訂正版)

1.基本情報

今回の定点は、2024年45Wであり、

診断日 11/4~11/10
接触日 10/30~11/6頃
報告医院数(速報値) 4,946

である。45Wは、文化の日振替休日によって休日効果の補正を要する

医療機関あたり定点値 北海道~神奈川県
医療機関あたり定点値 新潟県~三重県
医療機関あたり定点値 滋賀県~山口県
医療機関あたり定点値 徳島県~沖縄県

2.概況と2024-25冬季12th Surge早期警戒情報

42,43W定点分析で予測した通り北海道、東北、甲信越、北関東で定点の下げ渋り、下げ止まり、反転上昇が多勢を占めている。これは、24-25冬季12th Surgeの兆候である。

北海道では、高い定点Baselineから12th Surgeが始まっている蓋然性が高い

東北北から南へ高い定点Baselineから11th Surgeから12th Surgeへの移行が広がっている。

北関東、甲信越でも定点Baselineの底打ちが現れており、南関東にも広がりつつある。

外気温が下がれば暖房の為に窓を閉める。とくに公共交通、幼保学校といった日本における感染連鎖の中心では窓閉めと換気の不活発化が急速に進み、感染性エアロゾルの滞留からの感染機会が増加してゆく。

外気温と空調、換気の関係が日本における夏季、冬季季節性COVID-19 Surgeの大きな要因となっている。これは、日本において相変わらず旧態依然とした既に世界の医学・医療では否定されている飛沫感染限定説教条となっており、空気感染対策が事実上なされていない為である。

東海では、静岡県が南関東に連動して状態が悪化しており、東側半分は時間切れが近い西半分は、減衰継続中である。

北陸3県、関西、四国、九州では、下げ渋り、下げ止まり、反転上昇が広範に生じているが、まだ12th Surgeまで時間があり、過半数で医療機関あたり定点1.0を割っている。しかし、熊本県、愛媛県、奈良県、石川県など斑状に状態の悪い県が存在する。

山口県を除く中国4県、とくに岡山県、広島県では、43W~45Wにかけて11th Surgeの収束が終わりて定点値が底打ちする兆候を示している。

沖縄県は、44Wに反転上昇し定点1.0を越えたが、45Wに大きく減衰した。沖縄県のCOVID-19政策は、非科学的で国内でも最悪のものであるが、亜熱帯海洋性気候であるため冬季は、空調の必要が低く、換気が活発であり冬季Surge開始は12月状中旬と遅く規模も小さい

定点1.0未満の府県は、下記15府県であり、44Wの14県より増えたもののの、予測より明らかに少ない。42W,43W定点からの直近予測では、福井県、滋賀県、三重県を結ぶ線より西側では、45W迄におおくの府県が定点1.0を割り込む見込みであったが中国、東海の減衰が大きく遅れている。

富山県
福井県
京都府
大阪府
和歌山県
鳥取県
山口県
徳島県
福岡県
佐賀県
長崎県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄県

「45Wまでに関西以西では3年ぶりに「ある程度安全な状態」となる可能性がある」と予測していたが、45Wまでに中四国が大きく遅れている。沖縄、九州、関西では、予測通り過半数で「ある程度安全な状態」となっている。

今後、岐阜県三重県、滋賀県、兵庫県、香川県、愛媛県、高知県、(東京都)定点1.0を割り込む見込みであるが、最大で23都府県と半分以下に留まる見込みである。これは、21年秋季には大きく劣るものの苛烈な診療抑制政策下にある事を考慮しても22年秋季以降、最善である。

一方で北関東・甲信越・東北・北海道では、例年並から例年より思わしくない水準で底打ちし、12th Surgeが始まる。

45W各都道府県の警戒水準 北海道~三重県
45W各都道府県の警戒水準 滋賀県~沖縄県

現在、KP.3.1.1が、米欧に比して6~8週間遅れで増勢し、関東を筆頭に東日本では支配株となっている。但し、KP.3.1.1は、既に減衰過程に移行しており、北海道など例外を除きKP.3.1.1が大きなSurgeを生じる可能性はなくなっている。

KP.3.1.1のKP.3.3に対する優位性はあるが、11th SurgeでKP.3.3に大多数の人間が感染した為にKP.3.1.1はKP.3への感染獲得免疫によって阻害されておりかつ9月10月は1年間で最高に換気が活発であったため例年同時期通り成長が阻害されたと考えられる。

KP.3.1.1に次いで日本株KP.3.3が欧州に持ち込まれKS.1.1と組み替え体となったXEC*が国内でも米欧に8週間程度の遅れで検出数が急増しておりその高い成長優位性からまもなく支配株化する。

XEC*は、既に全国から常時検出されている。9月中旬までは2件であった事からもその成長速度の速さが際立っている。

春季のXDQ Surgeと同じくKP.3.1.1による明示的なSurgeは生じず、11th Surgeの減衰を妨げるという影響を生じている。

12th Surgeとしては、北海道・東北では10月下旬から、多くの地域では11月中下旬以降からXEC*が12-1st Surgeを生じる。

東大医科研佐藤研などの報告では、XEC*は、KP.3免疫の回避能力がKP.3.1.1などより高いとされる。現在の日本での環境にXEC*は強く適合していると考えられる。

3.休日効果補正の導入について

厚労省定点は、一週間当たりの定点医院での集計であり、休診医院が大多数を占める祝祭日による休日の追加によって一週間の診療日が減少するため、定点数値が10~20%の過小評価となる。
これは、成長率評価・予測を大きく狂わせ且つ、影響が長期に及ぶ。
これを補正するために下記の通り休日効果補正係数を導入した。

定点値×7/(7-n)×0.9 n:祝祭日によって追加される休日日数

1)土曜日が祝祭日の場合は、影響が5%前後であるため無視している
2)0.9は、救急外来、休日外来、休日当番医院の効果を経験的に数値化したアドホックな係数である
3)数値化が困難な年末年始と盆休みについては補正をしていない
4)岸田ドクトリン本格化の23年19W以降について補正している
5)2類であった23年18W以前の定点試行期間(全数からの換算)については補正の要がない
6)地域による補正係数の違いは無視しているが、概ねあっている

現時点では、年末年始とお盆休みについては、変数の定量がが困難であるため休日効果補正を行っていない。これは、休日診療当番医院の代休が前後に週間に分散する為もあり複雑すぎるためである。

土曜日休日については、土曜日午前中診察としている個人開業医が休診となるが、定点への影響は軽微であるために現在は補正していない。

4.倍加・半減期の導入について

当初より懸案事項であった定点の倍加・半減期を導入した。
直近値、二週間移動平均値、4週間移動平均値で倍加・半減期を評価しているが通常は、休日効果補正後の定点二週間移動平均からの倍加・半減期を用いている

定率変化を継続するとして倍加・半減期の3.3倍が、10倍または1/10になる所要期間である。

日本においてSurgeの収束期間は3ヶ月前後であり、半減期が3.5Wより長ければ一桁減衰できず、収束不全となる。減衰期間全体での平均半減期が3Wより短ければ4半減期で1/16の減衰となる。平均半減期2.5Wならば12週間が4.8半減期で1/28となる。

収束不全の場合、Baselineは、Surgeが繰り返されるたびに上昇してゆくこととなる。

5.厚労省定点検出下限値

医療機関あたり定点値の検出下限は、報告医院数の逆数である。

検出下限 0.002~0.040

但し、検出下限値に近づくと精度が非常に低下する為、実用検出下限値は、目安として検出下限の10倍である。

実用検出下限(目安) 0.02~0.4

多くの都道府県で検出下限は、0.015~0.025に集中しており、実用検出下限は、東京・大阪などの例外を除き0.3程度と考えれば良い。

このため人口の少ない県では、定点0.8を割り込むと急減してゆくように見えるが、実際には定点観測の定点過少からの感度不足である。同様の効果は、2021年秋季の全数把握において全国で見られた。

6.厚労省定点の注意事項

厚労省定点は、発表日前の月曜日から日曜日までの1週間集計である。

故に発表日時点で5~11日遅延している。

さらに接触日を基準とすると発表日時点で9~16日遅延している遅行指数であることを念頭に置く必要がある。

加えて23年5月、23年10月、24年4月にCOVID-19医療制度が診療抑制へと大きく変更され、とくに24年4月変更では極めて苛烈な診療抑制制度が導入されている為、厚労省定点自体が連続性のない指数であることを前提におく必要がある。

現在、診療抑制政策による統計のゆがみを補正する係数を検討中であるが、現時点では、厚労省定点値をそのまま用いている。

現時点で換算係数は、2倍から5倍と見込んでいる。地方・都道府県ごとに医療体制がことなり、地域ごとに換算係数は異なる。

定点飽和点から評価したCOVID-19医療体制は、明確に西高東低であり、九州が最も頑強である。最弱は、東京都・周辺県である。

定点医院数について2023年からの評価を行ったところ、24-33Wなど盆休み等では定点の減少が著しく、2024年32Wと33Wでは-8%と同等の減少であった。

定点は、事後遡及してかなり大きな修正が入っており、速報値のみでは正確性を欠く。感染研発表のやや遅れた週報が暫定確定値となるが、これも確定値は言い切れない。

7.二週間気象予測(気象庁より)

気温は全国で44W,45Wと例年より低め推移であった。46Wは、例年より暖かいが、47Wは寒くなる。この寒暖の周期が短縮しつつ、本格的な冬となる。

47W(11/17)以降は、山陰、北陸、東海・近畿の内陸部、北陸、北関東、東北、北海道で急速に冷え込み、終日暖房必要気温となる地域が大多数となり、時間切れである。

寒冷な地域では、終日暖房気温となっており東日本では、換気が強く抑制され12th Surgeの成長に好条件となっている。

西日本の温かい地域では、11月中下旬まで日中空調不要温度となる見込みで、多少の猶予が残る。

気象庁2週間気温予測より



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