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今オフのレッドソックス補強おさらい(野手編)

 投手編に続いて、野手編もやります。とりあえず、今オフの主な加入選手と退団選手を一覧にしてみました。

(IN)
OF.Hunter Renfroe 1年310万ドル
UT.Enrique Hernandez 2年1400万ドル
UT.Marwin Gonzalez 1年300万ドル
OF.Franchy Cordero ←KC Andrew BenintendiとのTR
(OUT)
OF.Andrew Benintendi →KC Corderoらとの交換
UT.Jose Peraza →NYM マイナー契約
IF.CJ Chatham →PHI 金銭トレード
OF.Jackie Bradley JR はて、どこへ?
2B.Dustin Pedroia 引退 お疲れ様でした。

 Pedroia、JBJ、Benintendiと人気者選手との別れが多発。Mookie Bettsのトレード放出を含めて、BloomCBOの風当たりは強くなりそうな気もします。ただ、純粋な戦力補強の観点から見れば、今オフは比較的やりたいことが出来たのではないでしょうか。予算内で補強ポイントを逃さずに動ければ、結果はどうあれ一定の評価はされて良いだろうと思います。

 昨オフの動きと比較してみても、内野のUT選手として、Marwin Gonzalez(通称MarGo)(1年300万ドル)はPeraza(1年285万ドル)よりも安い契約でまとめられました。年齢はPerazaの方が5歳若いですが、その分実力はMarGoが勝ります。同様のことはRenfroe(1年310万ドル)とPillar(425万ドル)にもいえ、こちらは先ほどとは違い、Renfroeの方が実績よりも伸びしろを感じさせます。

 Enrique Hernandez(通称Kike)はPedroiaに代わる正二塁手候補といっても、Pedroiaはケガで昨季プレーはしていません。今年で30歳を迎えますが、レギュラーとしての役割を求められる環境でさらなるステップアップに期待したいです。また、KikeのムードメーカーぶりはPedroia含めて、JBJやBenintendiがいなくなったチームの雰囲気を明るくしてくれるでしょう。

 Benintendiがこのようなトレードによりチームを去る未来は、ドラフト入団時からは想像もできませんでした。ただ、Bloomを招聘した以上は、「今と将来のバランスをとるチーム編成」を支持するしかありません。今季もプレーオフを狙える戦力を整えつつ、来季以降を見据えたチーム強化は、今オフも変わらないテーマの一つです。

 それにCorderoのポテンシャルはかなり楽しみです。まずは1年間健康体を維持することだけを願っています。

 では、1人1人をまとめていきます。

・Hunter Renfroe 1年310万ドル

 昨オフにSDからTBへとトレードされて、オフにTBからノンテンダーとなりFAで加入。17~19年の3年間で計85本塁打を放ったパワーが魅力で、強肩が光る守備もメジャー有数。2020年は打率.156とスランプを経験。

 キャリア通算打率.228同出塁率.290と確実性と選球眼に課題がある。とはいえ、キャリア通算の対左腕の四球率15.7で、同対右腕の四球率6.8と比べて倍以上の違いがあり、右投手への対応次第で変わる可能性があると期待したい。

Renfroeがフェンウェイ・パークで活躍することを願って。

・Enrique Hernandez 2年1400万ドル

 常勝ドジャースでスーパーユーティリティーとして確固たる立場を確立。復帰したCora監督とは同郷プエルトリコ出身の縁がある。

 打撃は思いっきりが良く、パンチ力を発揮。四球率が7.8から4.1へと減少した点が気になる。Renfroe同様に左投手相手に力を発揮し、OPSは対右にくらべて.147も上昇する。

 ただ、レッドソックスではもちろん、ほかのポジションを守ることもあるだろうが、2Bのレギュラーとして定着する可能性もあり。その2Bでは19年のDRS13、ショートシーズンの20年は8と好守を発揮していて、固定した場合、名手になるのではとひそかに期待。しかし、打撃成績自体は3BやSSを守っていた方が好成績。

・Marwin Gonzalez 1年300万ドル

 HernandezとともにMLBを代表するスーパーユーティリティー。OPS.906を記録した2017年はサイン盗みの結果ともいわれていて、Cora監督とはその当時アストロズのヘッドコーチと選手の縁あり。

 昨シーズンはOPS.606と不振だったが、18,19年はOPS.730台。バッテリー以外の全ポジションをこなせる選手としては十分すぎる打撃成績。そのUT性能は、19年にRFをレパートリーに加え、昨季は2Bをメインにこなすなどチーム状況に応じてこなせる監督にとってはありがたい存在。SSは19年の9イニングのみで年々プレイ機会が減少傾向にある。

・Franchy Cordero TR←KC 90万ドル

 Benintendiのトレードで加入した1人で、彼の代わりにLFを担うことになりそう(おそらく、MarGoと併用)。ケガに悩まされメジャー4年間で95試合の出場のみだが、ポテンシャルの高さは高く評価されている。

 ケガと同様に課題となるのが打撃の粗さで、通算三振率34.9%。20年は16試合ながらも三振率9.5%に抑えたが、改善の傾向となるか。

 ただ、打球方向をみると、Pull%39.0、Cent%39.0と通算が同じで、「センター返し中心の打撃」と言えなくもなく、強引に引っ張りすぎない点は打撃の粗さとはあまり結びつかない(ただ、逆方向への打撃は少ない)。

 また、昨季はGB%61.8と打球角度も上がらず、通算で見てもLD%21.4、GB%48.6、FB30.1%となっている。これは、Yandy Diaz(TB)がブレイクした2019年の割合ともよく似ていて、生粋のパワーと合わされば、かなり楽しみ。

2021年の展望

 補強を踏まえた今季の布陣をまとめたいと思います。

打順
1.CF Alex Verdugo L
2.3B Rafael Devers L
3.SS Xander Bogaerts R
4.DH JD Martinez R
5.C Christian Vazquez R
6.RF Hunter Renfroe R
7.LF Franchy Cordero L
8.2B Enrique Hernandez R
9.1B Bobby Dolbec R 

 1番から4番までは不動のメンバーとなりそうです。JD MartinezやDeversは前年に比べると成績は平凡でした。Bettsの退団で打線のバランスも崩れて、チーム全体に影響した感じがしました。2017年のDavid Ortiz引退時にも通ずる気がしますが、今回はJD Martinezのような大物選手の獲得とはいきません。

 ただ、Verdugoはリードオフの役割をしっかりとこなしていると思いますし、まだまだ伸びしろもありますので、上位打線は本来の力を発揮してくれると信じています。そして、Vazquezはすっかり中軸に名を連ねる選手になりました。個人的には6,7番を打てる打線だと理想と思いますが、昨季の成績なら心配はありません。

 問題は新戦力3人が揃う下位打線ですが、パワーは十二分にあります。DalbecとCorderoの並びがかなり心配ですが、ただ、Dalbecは三振も四球も多く選べる選手ですので、つながりをもたらすことはできそうです。

 まだ不安も少なくないですが、不振の場合はChavisとMarGoの起用が増える予想で、Vazquezも一塁起用ができ、その場合は昨季.341と当たりに当たったPlaweckiの打撃にも注目です。

ベンチの野手は3人?

今オフの補強については見ていきましたが、補強以外にもチームに変化がありそうです。

 通常は野手の控えを4人、ブルペンに8人の投手を登録しますが、チームは野手を1人減らすことを検討しているようです。

 確かに、Kike とMarGoのスーパーユーティリティーコンビを要する豪華な布陣であり、Christian Arroyoも内野の複数ポジションをこなせる選手です。捕手のKevin Plaweckiを入れ、MarGoとArroyoでベンチ3人となっても、どのポジションであれ埋め合わせができることは確かです。しかし、3人しかいないと重労働だなと思います。完全な休養日を1人でも作ると、その日は2人しかベンチにいないのと同じですから。

 ただ、DH制のあるア・リーグですから、ベンチから選手を出場させる機会が毎試合のようにあるわけではありません。もちろん、DH起用で負担を減らすこともできます。その場合は、Martinezが外野を守ることもあるでしょう。

 どうであれ、1年間ベンチ3人で回すわけではないと思います。あくまでも選択肢の話ですので。Michael Chavisもいますし、Jeter DownsやHudson Pottsのお披露目も楽しみにしています。

最後に

 新戦力(Renfroe,Cordero)のポテンシャルにワクワクしつつ、実績十分のユーティリティーマン(Kike,MarGo)たちの柔軟性をもたらし、プロスペクト(Downs,Potts,Durrun)の昇格と未来に期待できるオフになりました。

ということで、今季のロスターにも満足しつつ、来季以降にも非常に楽しみです、ということになります。

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