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今オフのレッドソックスの補強をおさらい(投手編)


はじめに

 昨シーズンは24勝36敗で地区最下位に終わったレッドソックス。球界最高のスター(無論、Mike Troutは除く)Mookie Betts外野手をトレードで放出し、先発投手陣には怪我人続出とファンにとってはつらいシーズンでした。

 迎えた今オフは、同地区のヤンキース、レイズ、ブルージェイスを追いかける立場とあって、プレーオフ争いからは遅れを取っていますが、再建やさらなる主力を手放す立場でもなく、大物はいませんが、いくつかの補強を施して、来季のプレーオフ進出を目指します。


1.先発ローテーション5番手

LHP.Martin Pepez 1年450万ドル+650万ドル

 昨オフに1年650万ドルで加入。不安定なローテーションを1年間(60試合)守り抜いた貢献に感謝。18年FIP6.22と絶不調でしたが、元々は有望株で16年に198.2イニングを投げたことも。ここ2年は防御率4.60前後でローテーション5番手をしっかり守ってくれる選手としてキャリアを送っています。

 オフはオプションを破棄され一旦はFAになる。パドレスなど複数のチームから関心を持たれていましたが、残留を選択した。

 しかし、後に元レッドソックスのエースJohn Lesterがナショナルズと1年500万ドルで合意。正直、Lesterが安すぎるだけですが、「だったらLester獲りにいこうぜ」となって、ちょっととばっちり。ちなみに、チームはLesterにあまり関心はなかった様子。

2.ロングリリーフ+先発投手の保険

SP/RP Matt Andriese 1年150万ドル

 Chaim BloomCEOとはレイズ時代に一緒。先発もリリーフもできる万能型タイプで、ローテーションの健康面に不安があるチームにとっては貴重なタイプ。ここ3年はリリーフ中心だが、150イニングを投げれば出来高を満額クリアとあり、チームは長いイニングを期待している。キャリアベストは127.2IP。

3.先発投手3本柱の一角

Garrett Richards 1年1000万ドル+チームオプション(TO)1000万ドル

 かなり物議を醸した契約。払いすぎという声多数。Eovaldi、E.Rogriguezとの3本柱は怪我さえ、怪我さえなければ十分な陣容となるでしょう。レッドソックスはRichards以外にもCorey Kluberにもオファーをしていたようですが、宿敵ヤンキースにさらわれました。

 どうやらKluberにも来季のTO付きの契約をオファーしていたようですが、Kluber本人が1年契約を望んでいたとも。おそらく、PaxtonやQuintanaも1年契約で復活を期し、再度FAを狙うつもりだと思いますので、2年の保有が可能なRichards獲得に至ったのではないかと思います。

 菅野のポスティングにも動いていたようですが、チームは投手の4年契約提示に難色を示していたとのこと。2、3年の契約を理想としていたようで、Richardsを除くと、Jake Odorizziが候補に挙がっていました。ただ、契約合意には至らず。Odorizzi自身は3年を求めていて、条件は一致していそうですが、金銭面に開きがあったのかどうか。

4.ブルペンの軸となる選手

RHP.Adam Ottavino TR(From NYY)

 宿敵ヤンキースからサラリーダンプ目的で一人のプロスペクトとともに加入。NYY加入1年目の19年は73登板、防御率1.90と活躍。スライダーの威力は素晴らしく三振奪取能力は確かも、代償のコントロール難も。

 チームはブルペン強化にFAのAlex Colomeにも関心を持っていました。Colomeの相場は2年18MMほどとみられていましたので、年平均$9MMはOttavinoと変わりなし。結果的にはプロスペクト1人をセットで獲得できるOttavinoを選択したともいえます。

 どちらも素晴らしいリリーバーで、チームに貢献できる選手です。ただ、仮に夏のトレード市場で売り手となった場合、Ottavinoの方がトレードバリューという観点からは魅力的ではないかと思います。三振奪取能力に優れていますし、Colomeと2年契約を結ぶよりはOttavinoの残り1年を引き取るほうが夏のデッドラインで柔軟な対応ができそうです。

まとめ

 まだ補強に関してはいくつか小さな動きがありそうです、昨夏までチームに在籍したBrandon Workmanとの再合流も検討中との報道もありました。今後の動きを見守り、今季の展望などは書いていきたいと思っています。

 今季はBounce Back候補の先発投手陣がたいへん多く、KluberやLesterなどの実力者ながら昨季のけがや不調だった選手たちもいました。さらに、Julio Teheranなど不振からの復活を期す選手、日本からの復帰を目指すMatt Mooreなど異なるタイプの選手が乱立していて、レッドソックスの獲得候補にも複数の名前が挙がりました。

 Richardsの契約は割高ではありますが、ケガから復活した場合の期待値は高い。16年に肘を痛めましたが、当時は手術をせずに復帰する方法を選びました。しかし、肘の状態は思わしくなかったようで、トミー・ジョン手術に踏み切きました。ここ4年で年平均40.65イニングしか投げていませんが、昨季は短い60試合シーズンでしたが、投げ切って51.1イニングを投げました。なので、右肘の不安が取り除かれたといっても良いのではないかで期待感もあります。


 また、Perezというローテーションを守ってくれる選手とセットで契約したことで、先発投手陣の層も充実しています。そして、Andrieseは役割がどのようなものになるのかは不透明ですが、谷間の先発やオープナー戦略など幅が生まれそうです。昨季デビューし、好印象を残したTanner Houckが5番手から漏れ出る可能性もある陣容となり、なによりもChris Saleの復帰にも期待できます。補強はひとつひとつ意図を感じられるものだと思いますし、Ottavinoの復活にも期待できます。

 現状、ヤンキースやブルージェイス、レイズと渡り合うためには『if』が多いと言っても、伸びしろを感じさせる陣容が必要です。安定感を求めても2019年シーズンのような成績になるぐらいならば、リスクをとるほうがいいと思います。



 それでも、Richardsの契約は高いような気が・・・。出来高契約にはできなかったかな?


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