ベイスターズバント問題

久々に勝った

2021年4月28日はベイスターズが今季5勝目をあげました。巨人の高橋投手も5勝目ということでベイスターズに並びました。4点リードの5回1アウト1,3塁で先発京山から平田に変えた三浦監督の采配がはまりました。ファームでは27日にロメロが好投、28日は今永が7回100球を投げました。選手も揃いつつあります。三浦監督になってバントが多くなったといいますがリーグでは27日現在では犠打数14で4位タイ。そんなに多いわけではありません。バントについて考えてみました。

バントは確率の悪い手段

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無死一塁よりも1死一塁の方が得点確率が落ちるというデータからバントは得策ではないというのがだんだん定説になっています。同点の九回裏のような、とにかく1点が欲しい局面ではどうでしょうか。特定の状況から少なくとも1点が入る可能性を「得点確率」と呼びますが。14~18年、NPBの無死一塁からの得点確率は40.2%でした。1死二塁からだと39.4%。無死一塁からの送りバントは、1点を取る確率も下げてしまうことになります。野球アナリストの蛭川皓平氏は著書「セイバーメトリクス入門」の中で18年の菊池涼介(広島)の成績に基づいて算出した結果を紹介しています。この年の菊池は打率2割3分3厘、13本塁打、送りバントは30でした。菊池が無死一塁から強攻する場合、得点期待値は0.807でした。一方、バントをした場合(5回中4回成功と仮定)は0.639。これほど打率が低い打者でも、バントは得点期待値を下げてしまうのです。蛭川氏は強攻とバントの損益分岐点を「打率にして1割3厘」と結論づけています。18年のNPBで100打席以上立ち、この数字を下回った野手はいません。

バントの効用

バントの効用としては無死一塁で次の打者が強行してダブルプレーになったら批判されるとか最悪のシナリオから心の安定を求めるという効果が一番となります。行動経済学の知見によりますと、人間は手に入るかもしれないものよりも、失うかもしれないものに目が向き、失うことに対して必要以上の嫌悪感を抱く傾向があるのです。ラミレス監督のデータを重視した前向きな言葉にベイスターズファンが嫌悪を向けたのも失うかもしれないものに囚われて動きが取れなくなる人間の特性なのかもしれません。もう1つ効用としてあるのは相手チームの特に投手に対してバントシフトで前進させて疲れさせるという効用です。これは牽制球をたくさんさせることにも同様の効果があります。三浦監督は投手なのでこういった過去の体験からバントが好きなのかもしれません。

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