伸びのあるボールを投げる

お断り

今回の記事の中には一部の方に不快な印象を与える記述がございますことを予めお断り申し上げます。あくまで1ファンの私見ですので科学的根拠や歴史的史実に裏付けられた記述でないことをお詫びいたします。

スピードガンのマジック

スピードガンが日本に初めて伝わったのは、1976年(昭和51年)秋のことです。翌年より木庭教がスカウト活動で用いるようになり、1979年(昭和54年)には全球団に広まりました。この頃からスピードガンでは150km/h出ているのに伸びがないので打たれる投手などが徐々に現れました。2006年頃からスポートビジョン社の開発した「PITCHf/x」という投球解析装置がMLBの本拠地に配置され、3方向から投球を解析するこの装置の導入により、球速に限らず投手のリリースポイントやボールの回転数、変化球の曲がり具合、落差などを解析することが可能となり、スピードガンの問題点であった機種や設置場所による精度の違いを克服しました。ドップラー・レーダーを利用して投手のリリースポイントと、そこからのボールの移動速度やボールの回転数、回転速度を計測して「ボールの伸び」を解析する装置がデンマークのトラックマン社によって開発されベイスターズも使用しています。回転数が多く、縦回転のボールが打者から見ると伸びがあるボールと言われます。プロの投手の直球は、ホームベースまでに平均で約17回転ですが、20回転以上する投手もいます。進行方向に対し、斜めに回転している場合は伸びません。回転軸が一定でない投球は力のないボールになります。

サイドスロー、アンダースローの利点

サイドスロー・アンダースローは、回転の傾きが大きくなります。傾きが大きくなれば、キレのいいシュートボールになります。サイドスローやアンダースローの投手がいると相手打者からするとボールの質が変わった投手と対戦することになり、慣れるのに時間がかかります。

空気抵抗と重力で初速より終速が遅くなる

投手の手からボールが放たれた瞬間から空気抵抗と重力でボールは力を失っていきます。そのため現実には浮き上がるボールとか伸びがあるボールというのは存在しません。ただし、ボールの縦回転数が多いと空気抵抗に対しては浮力が生じるために打者の想像以上に手元でボールのスピードや高さが落ちないため、打者からすると浮き上がったように感じてしまいます。打者と言うのは投手の手からボールが離れた瞬間、ミートポイントでどの位置にボールが来るのかを想像してバットを振ります。ボールを絞って、「このコースのこの球種を打つ」とヤマを張るなどという打者がいます。こういう打者が投球に対して振り出す準備が早くなるので、スイングを開始する時間を早めることで物理的にスイングパワーを上げることができるので強い打球を打つことができます。一方で投手がボールを投げてから対応する打者は始動が遅くなる分パワーレスになり、投球に負ける可能性が高くなります。

ベイスターズの先進的取り組み

ベイスターズではトラックマンやラブソードなどの計測機器をNPBではいち早く取り入れ、専門のデータ解析部隊を複数名抱えてコーチ陣にもデータ解析が得意なコーチを多く採用しています。投手でいえば「スピードが遅くても縦軸回転が多く、打者の手元で伸びるような投球」ができるような指導をしたりしているようです。打者についても手元まで投球を見極めても強くボールをヒットできるスイングプレーンを作る練習をしたりしています。これによってヤマを張ったものと多少違ったボールでもヒットができるような練習をしているようです。こういった投打の科学的解析を用いた練習によってベイスターズが黄金時代を迎えることを楽しみにしたいです。

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