そつがない野球

そつとは?

三浦監督はそつがない野球をやりたいとのことです。ラミレス監督も元々は凡事徹底のもと基本的なことを見落とさない野球をめざしていました。「そつがない」という言葉には、「手抜かりがないこと」や「落ち度のないこと」という意味があります。仕事などをテキパキとこなし、手際よく無駄やミスもなく作業をする様子などに用いる言葉です。「そつ」には「無駄なこと」や「手抜かり」という意味があります。そこに「ない(無い)」をつけることで、無駄や手抜かりがない状態を表しています。

なぜそつがない野球ができないのか?

そつがない野球の対極が大味な野球なのでしょう。川崎時代の大洋ホエールズの野球に使われていた言葉です。1980年に就任した土井監督がそつがない野球を目指して走る野球を試みました。しかし盗塁は失敗するし、自軍は走られ放題になるという始末でした。1982年に就任した関根監督は巨人流の練習を大洋のメンバーに課します。それまでキャンプでほとんど行われていなかった投内連携などを午前中の練習メニューに取り入れ、選手の意識改革を図りますがベテランは付いて行けず脱落していきます。1985年就任の近藤監督は走る野球を課しましたが実はあまりそつがない野球とは言えない盗塁版の大味野球でした。1987年就任の古葉監督、1990年就任の須藤監督、1993年就任の近藤昭仁監督と3監督連続で連係プレーなどを徹底する監督が10年に渡り続いたことでようやく選手たちにそつがない野球の意識が付いてきました。しかしそれは93年から00年まで優勝を含む中でレギュラーが固定されていたことからチームの中で継承されませんでした。2001年に就任した森監督がそつがない野球の一番の実践者といえるのですが、彼の野球が難しすぎて当時の選手はおろかコーチにも理解できないという事態がベイスターズからそつがない野球を遠ざけます。現在も20年前のショッキングな出来事の影響が残っているのかそつがない野球を徹底できないように見えます。

ラミレスが諦めた

DeNAが親会社になってから中畑監督一生懸命チーム作りをする中で基本にあったのは巨人の野球だと思います。しかしベテランは他球団の主力を煙たがられて放り出されたメンバー、ルーキーも素材型という中でそつがない野球を意識をさせるのが精一杯でした。ラミレスも監督になった当初「凡事徹底」とコーチの指導にも細かくチェックを入れて選手にどういう意図で練習をさせているのか?その練習が試合でどう活きるのかを見ていました。ただ結果を早く出すという意味合いからデータを駆使して、そつがない野球ができなくても選手の組み合わせで勝つという野球に早々にチェンジしてしまいました。そのためアバウトな野球をしていても勝率5割前後は勝てるというチームが出来上がってしまいました。

選手を揃えなくてはいけない

そつがない野球をやるには選手の意識を変えなくてはいけません。2008年のドラフトで1位早大松本、3位横浜商大山崎、4位早大細山田と大学全日本メンバーを獲得したことがあります。彼らはアマチュアトップクラスのそつがない野球をやっていましたが、当時のベイスターズは彼らの野球を消化できるメンバーがいませんでした。彼らが中心になってチームを引っ張れば違っていたのかもしれませんが、結局3人をチームの中で活かすことはできず、彼ら自身も年々プレーが雑になっていきました。そつがない野球ができる野手をドラフトで積極的に獲得し、その選手をチームの中心に据える覚悟を決めればベイスターズもそつがない野球をできるようになるかと思います。


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