倉本の復活

井納、梶谷、戸柱、倉本

2017年日本シリーズにベイスターズが進出した時に右の先発投手の柱としては井納とウィーランドがいました。遊撃手には打てる遊撃手として倉本がいました。そして2016年に入団し捕手としての技術を光山コーチから吸収して一年目からレギュラーとなった戸柱が捕手のレギュラーでした。右翼には梶谷、中堅には桑原がいました。一塁のロペス、三塁宮崎、左翼の筒香と共にしばらくはレギュラー固定かな?とも思いました。ロペスを除けばほとんどが20代半ばから30ぐらいの若さ。1998年のメンバーより少し若い感じでした。ただファンからは倉本の守備範囲が狭い、戸柱のリードが悪いとネガティブなコメントがSNSに悪口のように書き連ねられました。球団編成としても遊撃手、捕手に弱さを感じていたのでしょう。

補強がチームバランスを崩した2018年

守備範囲が狭い遊撃手の対策に阪神で外野や二塁を守ることが多かった大和を遊撃手としてFAで補強しました。守備範囲、肩と全てに倉本を上回り非力な打撃を差し引いてもファンを魅了するものがありました。キャンプでは倉本が二塁に回ると倉本は打撃まで悪くなり、守備も雑になってしまいレギュラーから遠のきます。捕手では2018年途中にオリックスからベストナインにも輝いた攻守に優れた伊藤光がトレードでやってきます。打撃でもいきなり結果を出した伊藤光がレギュラーになると戸柱は二軍に落ちます。戸柱にはチャンスもなくなり、戸柱を育てた光山コーチがラミレス監督の采配に異を唱えシーズンオフに退団します。一方、2018年には外野手らしい外野手として日本生命の神里外野手が加入します。当初はケガで試合に出れない梶谷の代わりの右翼手として出場、そのうち打撃が不調になった桑原に代わり中堅手をこなします。二塁と右翼ができるソトが2018年に加入したことも倉本、梶谷、桑原の出番を奪います。なにしろ本塁打王になったのですから。2019年になっても倉本、戸柱、梶谷、桑原は出場機会が少ないままでした。普通の指揮官ならもう彼らにチャンスは与えないし、彼らもチーム内で目標を失い腐ってしまったことでしょう。

復活した4人とチャンスを与えたラミレス監督

2020年には新たに外野手のオースティンが加入しました。筒香の後釜の左翼手には佐野が主将で4番と言われていました。自ずと2年連続本塁打王のソトは二塁手となり、ケガから復活した伊藤光が捕手のレギュラーであれば倉本、戸柱、梶谷にはチャンスがありません。先発投手も今永、濱口、平良、ピープルズ、坂本、上茶谷と6枚揃っており、そこに実績のある京山や二軍で活躍した中川、阪口が加われば、ベテランの井納にはチャンスがありません。トレード候補という噂もありました。しかしコロナ禍の異例の状態の中で開幕した2020年の公式戦で故障者が多発したり、不調な選手が出たこともあり、桑原も含め井納、倉本、戸柱、梶谷にラミレス監督はチャンスを与えました。特に3割を超える打率で遊撃手として復活した倉本、中堅手で1番バッターとしてフルシーズン活躍する梶谷の復活は素晴らしいものです。選手にバイアスをかけずチャンスを与えることでチームの戦力を維持することができるというのは素晴らしいことだと思います。

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