伝統的建造物の継承について

今日、銀行の担当課長と打ち合わせを3時間もした。以下、僕の勘違いもあると思う。

僕は伝統的建造物を買おうと思っている。その為の借り入れの相談。
既にOKを貰っている銀行もあるのだが、より良い条件を期待していた。
普通のビルを買うのでは無いので、今までのノウハウ以上に複雑な事があり、一つひとつクリアにしている状況で購入が決まっている訳でもない。あくまでも前向きに検討している段階。

不動産売買は土地価格と建物価格に分けられる。建物は築年数が経てば価値が低くなるが、築100年を超えれば価値が無いことは理解しているが、伝統的建造物はどうなのか?勝手に潰したり色を変えたり出来ないとか、修繕は行政がやってくれるのか?固定資産税はどうなるのか?などがビルの売買とは違い、その部分を確認している段階。

結論として、伝統的建造物とは言え、建物の資産価値はゼロ。
では家賃を貰える場合はどうなのか?収益が出る場合は、価値があるのではないのか?

銀行としては同じくゼロ。
伝統的建造物で無くても、投資先として収益あるのであれば、その範囲で検討。もらえる家賃ー毎月の返済が出来ればその範囲という事。ただし、経年劣化や庭部分の補修、例えば配管などが壊れた場合のリスクも織り込んで欲しいとの事。

これは、伝統的建造物の継承は出来ない事を意味しませんか?

はい。そうかも知れません。

このような価値のある物件は、希少なので、前向きな話は出来ませんか?

希少では無いです。多くの同じような物件あります。不動産仲介も売れないのが分かっているので相手にしません。銀行としては、そのような物件を知っていますが紹介などは出来ません。

今後の世界情勢や金利などもストレスとしてください。

人口減や円安、金利の上昇などをストレスとすると、日本国内で新しい事をやるのは難しくなるが、その中でもリスクが高いのではないかという見立て。

そもそも不動産の継承は、親から子供への相続が理想だが、相続税の関係や、外国人が所有していたので(地に根差す意識が低い)、やむなく、相続放棄をしたりしたのも良く聞く。

何?なに?そうすれば、伝統的建造物の継承は出来ないの?

今の税制、銀行の立場では、そうだと思います。よっぽど余裕があり、遊んでいるお金が無いと難しいし、遊んでいるお金をこれに入れる会社も少ないので、継承されず、どんどん無くなっているのが実情です。

でも、事業として家賃を貰える場合はどうなのですか?価値の無いものから家賃を貰っている事になるのですか?

修繕や保持にかかるコストで消える可能性が高く、ストレスもあります。

固定資産税が不要として行政が大事にしてるのでは無いですか?

売りたいけど売れないだけです。

つまり潰れていくだけですか?

その方向です。

なるほど、最盛期には、300棟ほどあり、観光地として賑わいもあり、収益もあったが、今は約20棟と一気に減っているのが理解できる。

そして地域として、伝統的建造物保存地区として認定されているので、この地区の商業ビルなども、同じような縛りがある。

なるほど。
文化を残す大事さと市場原理と税制の戦いみたいなもので、完全に文化を残すという価値観は消えていっているのか?と考えている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?