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シャドールのプレイング理論詳説

こんにちは、案山子と申します。
まず初めに、今回の投稿は自分が執筆したものではなく、代理投稿であることを断っておきます。
書き手は僕のシャドールの師匠であるNさん(@yatsushiro)で、内容はタイトルの通りシャドール全般にかかわるプレイングの話題です。
僕の書いた駄文とは一線を画する濃密な内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

※追記(2022.3)
この内容は2020年4月頃の遊戯王OCGを前提にしたもので、やや情報が古い点等も含みます。本記事の内容を大幅な追記等でアップデートした最新版noteがNさん直々に投稿されていますので、本記事に興味を持って開いていただいた方には、そちらへのアクセスをおすすめしています。

以下、Nさんの執筆した原文ままです。

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私は「神の写し身との接触」という融合魔法が登場した9期からシャドールを愛用しており、最近では昨年12月に構築済みデッキ『リバース・オブ・シャドール』が発売されてから、シャドールに興味を持つ人が増えたように感じて嬉しく思っています。
そんななか、シャドールはプレイングが難しいとよく言われる割に、回し方の理論のようなものを目にした記憶がないなと常々思っていました。
そこで、言語化して整理する意味も込めて、私なりのシャドールの理論を書き出してみることにしました。
とてつもなく長いですので、コロナウイルスによる外出自粛中の暇つぶしにでもしていただけると幸いです。

今回は、シャドールというギミックを回す上での理論についての話ですので、特定の構築や展開例などは出てきません。
また、繰り返しを避けるために一般的なカード名の略称や以下の呼称を用いています。
下級シャドール:メインに入るシャドールモンスター
融合シャドール:エクストラに入るシャドールモンスター
単純妨害:アポロウーサなどの直接チェーンして発動を無効にするタイプの妨害
NS:通常召喚
SS:特殊召喚
EX:エクストラデッキ
cip効果:召喚・特殊召喚時の効果(Comes Into Play)
pig効果:墓地に置かれた時の効果(Put Into Graveyard)

前半はシャドールに明るい人であれば当たり前だ!と思うような基礎的な知識から始まり、後半になるに従って言語化困難なややこしい話になっていくので、ご興味のある部分だけ読んでいただければと思います。
シャドールカードそれぞれの効果の説明はしていませんので、ご了承下さい。

1.シャドールの基礎

シャドールをシャドールたらしめるパワーカードとして
・影依融合
・神の写し身との接触
・エルシャドール・ミドラーシュ
・エルシャドール・ネフィリム

の4種類が挙げられます。
(最近出た影依の偽典については後述します。)

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まずはこれらのカードの強み・注意点をよく理解し、うまく使いこなすことがシャドールの基礎となります。

① 影依融合(シャドール・フュージョン)
デッキ融合の条件を満たせば、これ1枚でNS権を使わずに融合シャドールを盤面に出しつつ、そのcip効果・素材2体分の効果を一度に起動できる破格のパワーカードです。
また、「1ターンに1枚しか発動できない」というテキストであるため、発動無効をもらっても2枚目が使えることも強さの1つです。
加えて、融合シャドールのpig効果によりこのパワーカードを回収し、何度も打ち込んでいけることがシャドールというテーマの大きな強みです。

一方で、いくつか注意点もあります。
1つ目に、影依融合は発動無効には強いのですが、「発動」が通ってしまうと2枚目は使えないことが挙げられます。
そのため、効果のみを無効にする灰流うららは最も打たれたくないカードです。
2つ目として、効果にチェーンしてEXからSSされたモンスターが相手の場にいなくなり、手札融合を強要される、あるいは最悪の場合不発になってしまう可能性があることにも注意が必要です。

② 神の写し身との接触(エルシャドール・フュージョン)
何の制約・コストもなく、通常の融合と同様に手札・場から融合できる速攻魔法であるこのカードも文句なしのパワーカードです。
シャドールの基本的なプレイは全てこのカードに詰まっていると言っても過言ではありません。
セットしておいて相手ターンの妨害として使ったり、バトルフェイズに使って追撃をしたり、無限泡影などの妨害や除去にチェーンして使うことでサクリファイス・エスケープをしたり、雷神龍-サンダー・ドラゴンの破壊効果など直接チェーンしなければ発動できない効果に割り込んだりと、どれも覚えておいて損はない柔軟な動きを可能にしてくれる1枚です。
もちろんシャドールネーム持ちなので、融合シャドールのpig効果で何度も使い回すことができるのも強みです。
影依融合とは異なりうららによる妨害を受けないことも強みです。
こちらも「1ターンに1枚しか発動できない」テキストです。

③ エルシャドール・ミドラーシュ
簡易融合-ディンギルスや天底の使徒など様々な方法で出張されてきたことからも分かるように、破格の制圧能力を持った意味不明なパワーカードです。
相手のSSにチェーンして出せば実質的にSSを封殺するだけでなく、なぜかカード効果で破壊されないため、戦闘で処理されなければモンスターを用いた展開をほぼ完封できます。
シャドールにおいては、たとえ戦闘で処理したとしてもpig効果で後続の融合魔法を回収されてしまうため、相手からすると非常に厄介なカードです。
シャドールにおけるミドラーシュの役割はあまりにも多岐に渡り、ミドラーシュを正しく使えるかがシャドールをうまく回せるかに直結していると言えます。
詳しい使い方は後述します。

④ エルシャドール・ネフィリム
服役中は「ネフィリム返しておじさん」が大量発生するほど、シャドールには欠かせない元禁止のパワーカードです。なぜ今3枚使えるんでしょうね。
cip効果でデッキ内の全てのシャドールカードに触れるだけでなく、SSされたモンスターとの戦闘ではほぼ無敵であることから、シャドールにおける突破力を担う1枚です。
また、「光属性」で「ATK2800」であることも強さの1つです。
デッキ融合する際に、光属性には墓地で強力な効果を発揮するカードが多いため
(例:妖精伝姫-シラユキ、黄金郷エルドリッチ、閃刀姫-ロゼなど)、存在自体が強力であるのに加えて、3回のダイレクトアタックでライフカットできることが重要です。

注意点としては、突破力の源である破壊効果が強制であるが故に、破壊効果の発動タイミングが選べないことです。
雷神龍の破壊耐性を起動してアドを稼ぐためのエサとされてしまったり、古のミラーマッチではシェキナーガでネフィリムを攻撃して処理するという方法が取られてしまったりしていました。
9期の頃はネフィリムを素材に森羅の守神アルセイや神樹の守護獣-牙王を出していましたが、11期の現代ではそんなことはしなくなりましたね。


2.融合による妨害のケア

シャドールを使う上で最も基本的なプレイングの1つは、融合時の下級シャドールの効果と融合シャドールのcip効果でチェーンを組むことで、妨害をケアする動きです。
しかし、チェーンの順番は常に同じでよいわけではなく、自分のリソース・盤面・公開情報などからケアすべき妨害を考え、適切なチェーン順を選ぶ必要があります。

今回は、ファルコンを素材としてネフィリムを融合する場合を例として、ケアしたい誘発・単純妨害とチェーン順の組み合わせを見てみます。
・幽鬼うさぎをケア → ネフィリムをチェーン1
状況|他に手数がなく、ネフィリムを失うと盤面処理がままならない
・屋敷わらしをケア → ファルコンをチェーン1
状況|盤面に余裕はあるが、後続のリソースが厳しい
・灰流うららをケア → ネフィリムをチェーン1
状況|ネフィリムのcip効果でタッチしなければならないカードがある
※影依融合が通っている場合、そもそもうららは持たれていない可能性が高いですが、接触で融合した場合や公開情報に影依融合以外の融合魔法がある場合は、うららの有無が判断できないためケアを考える必要があります。

このように、現在の状況に合わせてケアするべき妨害に適したチェーン順を組み、妨害をケアしていくという細かいプレイの積み重ねも重要です。


他によく遭遇する妨害として、エフェクト・ヴェーラーや無限泡影があります。
これらは効果の発動に直接チェーンする必要がないため、チェーン順ではケアすることができません。
このことから、見えない妨害を警戒する場合、cip効果は妨害を踏みやすいことを頭に入れておくとよいと思います。
例:リザード素材でネフィリムを融合。相手の手札にうらら、ヴェーラーがある場合
チェーン1ネフィリム → リザード、ネフィリムの両方の効果が妨害される
チェーン1リザード → ネフィリムの効果のみ妨害を受ける

今回は下級シャドールと融合シャドールのcip効果を例としてチェーン順について考えましたが、下級シャドール2枚についても同様の考え方をします。
また、先攻でアプカローネを融合する場合にも、チェーンの最後にアプカローネ自身を対象としてcip効果を使用することで、上記と同様の誘発ケアができることは覚えておいて損はないと思います。(そのままアプカローネを壁にしてエンドするのでない限り)


単純妨害とは質が異なる妨害として、原始生命態ニビルや増殖するGがあります。
まず、Gのケアについて考えます。
シャドールは融合魔法から強いモンスターを展開する性質上、Gを打たれても融合シャドールをSSした際の1ドロー+αで止めてターンを返すことができます。
例として、
「ネフィリムの融合を狙って影依融合を発動 → Gを発動された」
という場合を考えます。

① 偽典 or 接触を構えてターンエンド_1
素材にリザードやヘッジホッグが含まれている場合は、
ネフィリムを融合して偽典 or 接触を墓地に送る + ヘッジホッグからビーストをサーチ
→ ビーストをセットして偽典 or 接触を回収
とすることで、1ドローのみで相手ターンミドラーシュを構えられます。

② 偽典 or 接触を構えてターンエンド_2
素材がへっぽこな場合でも、
ネフィリムを融合して偽典 or 接触を墓地に送る
グラビティ・コントローラーをSSして偽典 or 接触を回収
とすることで、2ドローで相手ターンミドラーシュを構えられます。

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③ 偽典 or 接触を構えてターンエンド_3
素材にウェンディが含まれており、相手がPSYフレームギア・γを警戒してウェンディ効果にGを発動してきた場合、
ウェンディ効果でヘッジホッグをSS + ネフィリムの効果で聖選士を墓地に送る
→ 聖選士の墓地効果でヘッジホッグをリバースする
→ 偽典 or 接触をサーチ
とすることで、1ドローのみで相手ターンミドラーシュを構えられます。

④ 融合先をミドラーシュに変更してターンエンド
ネフィリムやヘッジホッグに当たるうらら・ヴェーラーなどを警戒するのであれば、Gの発動を確認してから融合先をミドラーシュに変更し、1ドローのみでターンを返すことも可能です。
あんまり強くないです。


次に、ニビルのケアについて考えます。
シャドールはテーマ内でモンスター効果による妨害をガンガン構えていくことができないため、展開の途中でアポロウーサを出してニビルをケアするといった芸当が難しいです。
先攻展開でニビルを踏むことはあまり多くありませんが、ライフカットしにいく際のメインフェイズ終了時にニビルを踏む可能性は大いにあるため、以下のような無効以外の方法でケアする必要があります。

① メインフェイズに出すモンスターを4体までに抑える
当たり前ですが、メインフェイズの展開を抑え、バトルフェイズに入ってから接触で融合して打点を追加することにより、ライフカットの際のニビルをケアします。

② 融合の余力を残しておく
隕石が墜落しても更地になるわけではなく光属性のトークンが残ることから、発動可能な融合魔法を手札に温存しておくことで、トークンをネフィリムに変換して盤面を再構築します。

③ ミドラーシュを利用する
通常のデッキであれば、ニビルをケアするためには4体までしかモンスターを展開できません。
しかし、シャドールではミドラーシュを5体目として出すことで、ニビルをケアしつつもう1体モンスターをSSできるため、実質6体までモンスターを展開できるようになります。
が、要求値が高いのでほぼやりません。

④ 偽典 or 接触で妨害を構える
追加で打点を用意するのが難しい場合は、ライフカットを諦めて隕石墜落後に偽典 or 接触を構えることで、次の相手ターンをミドラーシュでやり過ごします。
これが最も実戦的でよくやると思います。


3.先攻展開について

Gケアの部分でも述べましたが、シャドールが基本的に先攻で目指すのは偽典 or 接触を構えてターンを返し、相手ターンのSSにチェーンしてミドラーシュを成立させることです。(+テーマ外出張で置ける妨害)
自分のターンにミドラーシュを成立させた状態でターンを返すのは、泡影・壊獣・精神操作などで簡単に返されてしまうほか、相手に自由なSSを1回許してしまうため明確に弱いと言えます。
一方で、相手ターンにミドラーシュを成立させる場合にも注意点はあります。
以下に代表的な3つを挙げておきます。

① チェーンに乗らないSSを無理にケアしようとしない
パンクラトプスのようなチェーンに乗らないSSをケアするために、相手の盤面が空の状態でミドラーシュを成立させるのは避けた方がよいです。
自分のターンにミドラーシュを成立させる場合とほぼ同じ状況になってしまうのはもちろんのこと、ミドラーシュの融合素材とした下級シャドールの効果がγを踏むことで、ミドラーシュがドライバーに簡単に処理されてしまう可能性があるためです。

② 必ずしも偽典 > 接触ではないことを意識する
相手のデッキにツインツイスターやコズミック・サイクロンなど、フリーチェーンで偽典を処理できるカードが採用されていた場合、偽典ではそもそもミドラーシュが成立しません。
相手のデッキタイプに応じて、そういった危険性がある場合は接触を構えるなどの工夫が必要です。

③ 不要不急の下級シャドールの効果発動は自粛する
これは最近になって注意しなければならなくなったポイントです。
相手のSSにチェーンしてミドラーシュを成立させた後に、素材となった下級シャドールの効果を不用意に発動するのは避けた方がよい場合があります。
発動しなければリソース的に損をする場合が多いので悩ましいですが、三戦の才によりミドラーシュが処理されてしまう可能性があることを念頭に置いた上で、それが致命的かどうかを考えて効果発動の可否を決めた方が安全です。

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4.盤面の捲りについて

シャドールは一般的に盤面の捲り性能が高いデッキだと言われますが、その捲り性能の高さを支えているのは影依融合です。

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デッキ融合が通った場合の圧倒的なパワーは最初に書いた通りで、単純に考えても、影依融合が通るだけでチェーン1ドラゴン、チェーン2アプカローネ、チェーン3ウェンディとすれば、2500のモンスターを立てながら直接チェーン不可の魔法・罠1枚破壊と盤面1枚無効が成立します。
影依融合からネフィリムを出せば、素材とした光属性の効果やクロシープなどのリンク召喚を絡めることで、ワンショットキルや流行りのドラグーンの突破も簡単にできます。
このように、通るだけでゲームエンドと言っても過言ではないパワーカードをテーマ内に擁しているため、如何に影依融合のデッキ融合効果を通すかが盤面を捲る上では重要となります。

最初に書いた注意点も考慮し、デッキ融合効果を通すためには、
・影依融合の発動回数が相手の妨害回数を上回る状況を作ること
・影依融合を打つ前になるべく入念にうららを踏んでおくこと
・効果にチェーンしてEXからSSされたモンスターがいなくなり、手札融合を強要あるいは不発にされる要素がないかを入念に確認すること
といった点が重要です。

暴走魔法陣や1枚ハリファイバー関連のカードがよくシャドールと組み合わせられているのは、それらに盤面を返す能力があり、うららを踏みやすい性質を持つからというのも理由の1つです。


5.ミドラーシュの使い方

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先述の通り、シャドールにおけるミドラーシュの役割はあまりにも多岐に渡ります。
効果で破壊されないSS封じの制圧モンスターとして使用したり、pig効果でリソースを回収したり、超融合で相手の闇属性モンスターを吸収したり…と、テキストを読むだけでも色々な役割を持っていることがわかります。
そんなシャドールの要であるミドラーシュですが、「制圧能力を持った置物」としての役割以外にも、重要な役割が大きく2点あります。

1つ目は、相手のバトルフェイズを消費させるという役割です。
効果破壊耐性持ちをSS回数1回で除去するのはそう簡単なことではありません。
そのため、ミドラーシュの突破は基本的に戦闘を介したものになります。
遊戯王はルール上、1ターンにバトルフェイズが1回しかありません(当たり前)ので、
ミドラーシュを戦闘で突破する=そのターンはそれ以上ライフカットされない
ということになります。(バーンダメージによるワンキルなどは別)
この特性を活かせば、ミドラーシュを利用して相手のライフカット速度をこちらでコントロールすることができます。
ライフカット速度をコントロールすることで、「リソースはあるのにワンキルされて負けた」という状況を減らし、相手をこちらが意図したゲーム速度に引き込みやすくなります。
このように相手のバトルフェイズを流すのもミドラーシュの大きな役割の1つです。

2つ目は、相手ターン中に再構築可能な制圧モンスターという役割です。
ミドラーシュの打点は正直高くありません。
普通に疾風の暗黒騎士ガイアに殴り負けてしまいます。
そんなミドラーシュですが、相手ターンでも簡単に複数回出せるという制圧モンスターとしては珍しい特性を持っています。
例えば、除去されてしまったリリーサー付きクラウソラスや、効果を無効にされたクリスティアなどを相手ターン中に再度成立させることは非常に困難です。
一方ミドラーシュは、接触・偽典・聖選士などにより簡単にフリーチェーンで成立させることができます。
この特性を活かすためにミドラーシュを成立させる手段を2通り用意しておくことで、無理にミドラーシュを戦闘や除去から守らずともその制圧能力を相手に押しつけることができます。
このように、ミドラーシュを無理に守らずとも、戦闘によりミドラーシュが突破されたメイン2の相手の展開に合わせて2体目を成立させることで、強力な制圧能力を発揮させることもミドラーシュの重要な使い方の1つです。


6.ゲームメイクについて

ここからの話は、シャドールのプレイが難しいと言われる原因となっている部分だと思います。
私自身も言語化するのが難しくまとまりがない文章になってしまっているかもしれませんが、ご容赦下さい。

さて、シャドールを使う上でのゲームメイクについての話です。
シャドールには決まったプレイ・目指すべき盤面・明確な勝利パターンがありません。
それは、シャドールが持つ
・膨大なリソース(半無限リソースを含む)による持久力
・影依融合というパワーカードによる突破力
・下級シャドール、融合シャドールの効果と使い方の幅広さによる対応力
に起因しているものであり、相手に合わせた最適なゲームプランをその都度考えなければならないからです。

そこで、相手のデッキは何か、初手5枚 or 6枚にあるカードは何かといった情報を基に
① リスクを冒してでも隙をついてワンキルを狙う速いゲームプラン
② 融合シャドールを横に広げていき、アド差で確実に詰める中速のゲームプラン
③ ミドラーシュの制圧効果を押しつけて圧殺を狙う遅いゲームプラン
④ 半無限リソースで相手を捌きつつ、デッキの要をエリアル等で弾くことでじわじわと詰めていく超鈍足のゲームプラン
といった取り得るゲームプランを考え、どのプランを取ると勝てる確率が高いかを最初に考える必要があります。
このゲームメイクを間違えると、例えば、
「速いゲームを想定して動いたのに遅いゲームになった結果、リソースが枯れて負けた」
「遅いゲームを想定して半無限リソースを構えにいったら、妨害が不十分で瞬殺された」
などの悲惨な事件が起こってしまいます。

また、シャドールというデッキはその性質上、プラン毎にデッキ内の別のカードを使うのではなく、同じカードをプラン毎に異なった使い方で使うため、ゲームの途中でのプラン変更が困難です。
例えば、
・速いゲームであればファルコンは2回素材になる下級シャドールとして使うが、
遅いゲームであればリソースの要として使う
・融合シャドールを横に広げる場合はアプカローネを偽典の素材として除外してもよいが、
遅いゲームであれば何度も蘇生し下級シャドールの効果を使い回すのに使う
・ワンキルを狙うのであれば聖選士の墓地効果を展開のために使うが、遅いゲームであれば
回収可能な蘇生札という半無限リソースとして使う
など、同じカードでもプラン毎に使い方が異なります。
そのため、シャドールを適切に動かすためには
① 自分の構築で取り得るプランを整理する
② 各プランにおける下級・融合シャドールの役割を理解する
③ 各相手に対して、どのプランを取ると勝率が高いのかを整理する

これらのポイントを経験から身につけることが重要です。


7.リソース管理について

サンダードラゴンの「雷獣-雷龍融合」やオルフェゴールの「ディンギルス-スケルツォン」のように、昨今の遊戯王に蔓延している簡単な無限リソースがシャドールにはありません。
一応、聖選士とネフィリムで無限リソースのようなことはできますが、罠が絡むため自ターンでの能動的なアクションが難しいこと、トロイメア・ユニコーン1枚でサイクルが崩されてしまうことから、使い勝手がよい無限リソースとは言えません。

そのため、シャドールはデッキ・EXのリソースの総量を管理しながら戦う必要があるわけですが、先述の通り、同じカードをプラン毎に異なった使い方で使うことから、プラン毎にリソースの総量が変わることになります。
また、プラン毎に異なった使い方をすれば、同じカードであってもそこから引き出せるアドバンテージや対応力が変わってきます。
以上のことから、シャドールのリソースを適切に回すためには、
① 各プランにおけるリソースの総量を把握する
② それぞれの使い方ごとに、下級・融合シャドールから引き出せるアドバンテージ・対応力を理解する
③ 1つのプレイから得られるアドバンテージ・対応力と、リソース総量に対して消費するリソースの割合とのバランスを考える

ことが重要です。
もっと簡単に言えば、「無駄遣いをしない」「出し惜しみをしない」プレイをプラン毎に選択ことができれば、シャドールのリソースを最適に回すことができるということになります。


というのが、これまでのシャドールのリソース管理の理論でした。
しかし最近になって核兵器が投下され、若干事情が変わりました。
影依の偽典です。

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このカードは1枚で妨害・除去・リソースが完結しているだけでなく、疑似サーチ・サルベージも可能であり、これにさえ触っておけば大体なんとかなってしまうという超パワーカードです。
が、それと同時にシャドールのリソース管理の難易度を跳ね上げたカードでもあります。

これまでのシャドールは基本的に手札・場・墓地でリソースを回すデッキであり、
除外=リソース管理の外に出る行為でした。
一応、エリアルで除外ゾーンを利用できないこともないですが、リバース効果の起動とアプカローネや聖選士によるエリアルの再利用は全てのステップにタイムラグがあり、サイクルとして回すのは正直現実的ではありません。
偽典は、そんな除外ゾーンにシャドールモンスターを送り込むことで融合するカードなので、当然何を除外すればよいのかは慎重に選ばなければいけません。
また、墓地からの除外なので、除外するカードを慎重に選ぶ必要がある=墓地に送っておくカードも慎重に選ぶ必要があるということです。
これにより、次に融合魔法を使うまでに偽典をx回起動する
→ 除外してもよい=リソース的に優先度が低いシャドールをx枚墓地に置いておく
というプレイが必要になってきたため、リザードの使用難易度および各シャドールモンスターの優先度判断の難易度が跳ね上がりました。
(偽典からネフィリムを出しても妨害にならないので、ネフィリムを出す余裕がある場面を期待してプレイするのは危険です)

偽典の扱いに関しては、特に低速のゲームになればなるほど如実にミスの影響が出てきます。
一方で、中速以上のゲームではカードパワーで誤魔化されてミスに気付きにくいため、偽典の使い方に慣れるには経験を積んでいくほかないのかなと感じています。
また、偽典を連打すると打てる融合魔法の回数が著しく減っていくことにも注意が必要です。


8.各対面へのプレイ(おまけ)

いわゆる「環境デッキ」に対して、シャドールギミックを用いて取るべきプランと勝ち筋について触れておきます。
ただし、ギミック外出張による対応は考慮していないこと、相手の採用カードによっては取るべきプランが変わりうることはご了承下さい。

vsサンダードラゴン

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誘発が多いことから隙をついたワンキルが通りにくく、また雷劫や雷龍融合の存在からミドラーシュによる圧殺も狙いにくいため、融合シャドールの横展開で圧力をかけていくことになります。
心がけることとしては、
・融合体に対する偽典が最強なので、早期に偽典にタッチする
・エリアルのpig効果で雷龍融合を執拗に除外する
・ネフィリムの強制破壊効果をアド稼ぎに利用されないように、アプカローネに変換する
・破壊耐性や除去を無視するために、アプカローネと聖選士のサイクルを早期に成立させる
などです。
超雷龍のサーチ封じはシャドールギミックにはほぼ刺さりませんが、ギミック外出張に刺さることが多い点は注意が必要です。

vs転生炎獣

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とにかくミドラーシュを立てれば何をしても大体勝てます。
ミドラーシュをスマートに超えるためには、Jジャガーにスピニーのパンプを乗せるぐらいしかないので、
・接触、偽典、聖選士などを構えておき、メイン2でミドラーシュを再構築する
・エリアルのpig効果でJジャガー(とロアー、ガゼル)をさっさと除外する
などを心がけます。
もしエグリスタを採用しているのであれば、偽典からエグリスタを出しているだけでゲームが終わります。
ネフィリムが効果破壊と戦闘破壊でベイルリンクスを貫通するので、盤面処理が苦にならない点も有利なポイントです。

vsオルフェゴール

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オルフェゴール・トロイメアを介した墓地肥やしにより簡単にミドラーシュが突破されてしまうため、狙うのはミドラーシュによる圧殺ではなく、メイン2でミドラーシュを再構築して展開を牽制 → 返しでワンキルという流れです。
・ゼロヴォロスの直撃を受けると盤面を形成できずワンキルされてしまうため、マスカレーナがいる時のプレイには注意を払う
・ワンキルが難しい場合は、エリアルとアプカローネのループで執拗に墓地のカードを除外し続ける
これらの点を心がけます。

vs閃刀姫

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ミドラーシュの刺さりが悪く、妨害が多いことからワンキルも狙いにくいため、融合シャドールの横並びかリソース戦を狙っていきます。
脅威なのはドラグーンとウィドウアンカーなので、超融合や影依融合x2など、ドラグーンを突破できる札が用意できるまではミドラーシュでアナコンダの成立を妨害し、処理札が準備でき次第さっさとドラグーンを出させて処理することでリソース戦へと持ち込みます。
先に成立しているドラグーンに対してもミドラーシュの破壊耐性を利用してライフを守り、処理札を引きにいきます。
一方で、その動きをウィドウアンカーが邪魔してくるため、接触などでウィドウをかわしつつ、エリアルのpig効果で他の魔法ともども優先的に除外するのが理想です。
閃刀リンクモンスターが出てくる都合上デッキ融合が通りやすいため、狙ったプランをとりやすいとも言えますが、体感ではドラグーン+ウィドウかウィドウx2が通ると負けます。

vsオルターガイスト

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隙をついたワンキルか相手が一切モンスターに触れない事故以外の勝ち筋がありません。
ワンキルも誘発と罠でほぼ通らず、シルキタスによるバウンスで融合魔法の回収ができない上、マリオネッターによりヘクスティアが墓地を経由する都合上、そもそもデッキ融合すら通らないためリソースを回収する手段がなく、中速以下のゲームになると勝ち筋はほぼ消えます。
・マルチフェイカーにチェーン接触ミドラーシュでマルチフェイカーを無駄打ちさせる
・エリアルのpig効果でオルターガイスト罠(特にマテリアリゼーション)を除外する
このあたりが噛み合えば一筋の光明ぐらいは見えますが、まあ厳しいです。
超融合でシルキタスが吸収できないのも致命的です。(風の融合シャドールなんていましたっけ?)
シャドールギミック外の出張カードはこの対面を見るために採用するといっても過言ではないぐらい、ギミック内では不利がつきます。

vs Pデッキ(セフィラ、エンディミオン、魔術師など)

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ミドラーシュの刺さりが悪いため、狙うのは隙をついたワンキルになります。
誘発が少なく、デッキ融合もそこそこ通るため狙ったプランはとりやすい一方で、相手の火力がとんでもないので、如何にライフカットされないようにバトルフェイズを浪費させるかが鍵になります。
・アプカローネ+ミドラーシュなどによりライフを守る
・グラマトン、サーヴァント、魔法都市をアプカローネで無効にする
・採用しているのであればエグリスタによりP召喚を牽制する
などがポイントですが、いずれもその場しのぎなので、なるべく早期決着を心がけたいです。

vs罠ビート(サブテラー、トリックスターなど)

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これらのデッキをひとまとめにするのは違和感がありますが、「神や超融合が大量に搭載されておりライフカット速度もそこそこ速い低速ビート」として理解して下さい。
EXからモンスターが出てくることが少ないため、デッキ融合は期待できません。
また、妨害が多いためワンキルを狙うのが難しく、ミドラーシュは刺さらず、融合シャドールを横並びすると超融合が直撃するため、必然的にリソース戦を仕掛けることになります。
・アプカローネと聖選士の半無限リソースサイクルを早期に成立させる
・アプカローネのcip効果で要となるフィールド魔法を無効にし、pig効果でドラゴンを使い回すことで丁寧に後ろを剥がす
・融合シャドールのcip効果をチェーン1とすることで通告の直撃を避ける
・接触、偽典、聖選士を駆使して相手のワンパン圏内に入らないようにライフを守る
などを心がけます。
発動無効に強い融合魔法が展開手段であるため、相手の神は致命傷にならないよう立ち回ることができます。
神を2発以上打たれた場合は相手のライフが大きく減っているはずなので、ETに持ち込むのが確実です。
出張パーツとしてこちらもトリックスターを採用しているのであれば、ライトステージで丁寧に後ろを剥がしながらリソース戦に持ち込めばほぼ勝てます。
偽典の登場で多少マシにはなりましたが、リグリアードが重いためサブテラーはかなり苦手です。


あとがき

大変な長文を読んでいただきありがとうございました。
長々と書きましたが、シャドールの敗因のトップは「融合できないこと」です。
(シャドールを使っている人であれば皆さんわかると思います)
融合魔法がない or 素材がない のどちらの場合もあり、これはプレイを工夫しようがどうにもならないため、まずはなるべくそうした状況が起こらない構築を練るべきだと思います。
その上で、この文章に書いてあることが何か1つでも参考になればと思います。

シャドールのプレイングについて、知っていることを全て書くぞ!と意気込んで、言語化が難しい部分も何とか書いてみました。
書き終わってみれば、知っていることの7割ぐらいは書き出せたかなと思いますが、具体的な場面を経験しないと分からないこともたくさんあると思います。
ぜひ、シャドールを回して色々な場面を経験し、その奥深さの泥沼に一緒にハマりましょう。

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