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ハアハアヒープリ現行まで追いついたハアハア

 先週の木曜にdiscordで『ヒーリングっとプリキュア』を相互のオタクから改めて推され(それまでも何度か観ろと言われていた)、では観よう、そういうことになった。現行視聴者である女児アニメのオタク達が9話の感想会やってたところにずけずけと首を突っ込み、貼られた画像を見て「この女おれが好きそう」と、あまりに低すぎる感想を書き込んだところ、キュアフォンテーヌこと沢泉ちゆは間違いなくお前の””癖(ヘキ)””であるので観てほしい、と返されたのが発端であった。
 ということで明くる金曜にその現行9話まで全部観た。言い忘れていたが、一応後々ちゃんと追いかけるつもり(つもり)だったので録画だけはしっかり毎週していたのである。その週の日曜、10話もちゃんと観たので晴れて現行視聴オタクの仲間入りを果たす。前々から観てと言われていたのにも関わらず、いざ興味持ったと思ったらなんかキャプ画像に好きそうな女が映っていたからというのを直接の理由にしてアニメ一気に9話観るオタク、コンテンツを真面目に勧めるのが馬鹿馬鹿しいと思われてそう。
 で、感想を是非くれと言われていたのでとりあえず思ったことをスマッホのメモ帳に簡素な文章として並べていたら、Twitterでちょっとしたお気持ち表明ができそうな量(というかスクショにして5枚で普通に単位1ツイート量からはみ出している)になってしまい、流石にこの文量discordに上げるか……?ということでこっちに書くことにした。最近noteを廃墟にしており(パラ3年目の感想記事とか最早サグラダファミリアの様相を呈しています)文章をロクに打っておらずオタクとしての感想の出力部位がなんか腐ってそうだったのでリハビリを兼ねている。まぁ言っても元々こういう場に感想として上げるつもりはなかったので推敲等挟んだちゃんとした文章ではないが……お付き合い頂ければ幸い。

 ヒープリ、とりあえずパッと見て印象的だったのはその素朴さ。ここにきて原点回帰なのか何なのかスゲ~素朴な(←ここでは100%プラスの意味での形容動詞のつもり)作りでやっており、これが良い。なんか鼻につくような成分もなんもない、実にプリキュア「らしい」話作り(やたら偉そうな言い回しを使っておいて実際シリーズ通しでちゃんと観たと言えるのは全体の半分もないので普通に怒られそう)に安心する。
 何が良いって、口当たりはサッパリなのにちゃんと話の要所、勘所を尽くちゃんと抑えていて、しっかり令和の価値観でもってアップデートされた王道をやっているのが……なんというか……偉い……。なんか新たなマスコ一族こと益子くんも令和の新聞部!という感じだった気がする。
 そうそう、今週(10話)は特に、なんか現実が追いついてきてるのもあってかめちゃくちゃ世相に深く切り込んだ回みたいになってて、ちゃんと医療っていうテーマにも誠実に物語をやっていくという姿勢がめちゃくちゃよく現れていたと思う。あの展開、離れていても想いは一つで繋がってるパワーな展開に安易に行かずに、医療モチーフというところに基づいた課題を主人公に見出させて、その上次回に続けたの偉すぎて平伏しちゃうな。主人公にしっかり、今すぐ全部守りたいっていうその真っ直ぐな気持ちを、「間違っていた」って言わせるのが真摯なんだよな~。脚本が……脚本が信頼できる…………。
 実際、変身前のキャラデザが主役も含め全員、例年と比べ実に落ち着きがある(まぁ地味と言い換えてもいい)辺り、地に足を付けた王道を1年やっていくのは作り手の意図するところなのだろうし、そしてその意図した全部がバチバチに噛み合ってておもしれ~~~~~~となっている。

 キャラクターも1人1人素朴ながらしっかりと深みがあって、主人公の花寺のどかの、主役プリキュア特有の献身、博愛精神の動機づけなんかはシンプルに納得いくものかつテーマとも噛み合ってて最高だし見せ方も上手かった。それで本編では仄かな影を見せつつも、あくまでそれを過去のものとして話の中では常に前向きに動かして、なおかつそれをちゃんと活かして周りと反応させていく話作り。9話とか死ぬほど良かったんだよな……。「生きてるって感じ」っていう台詞が、のどかが使う分には毎度毎度前向きに、新たな喜びに触れて嬉しい、生きているのが嬉しいという、めっちゃ眩しい喜びの発露として使われてて良い。口癖のようにそれが使われる度に、こっちはそれが今までは自由にできなかったという事実を意識させられるし、同時に本人が前向きだからこそ、全てが新鮮な体験で楽しく、やりたかったことを今生きているからやれているという、花寺のどかの”生きる喜び”がこっちまで伝わってくるようで……。
 ところで上でも触れたけど10話の反省会、メタ的にはあれを主人公にやらせるのが偉い、と言ったがそもそも話的にはそれができる主人公が何より偉いに決まっているので、結果、その真っ直ぐな志から出た思いを指して「間違っていた」とバッサリやれる花寺のどかへの印象が現時点でめちゃくちゃ良くなっている。医者のプリキュアとして完璧な精神性だ。

 そんで、おれが顔を見て視聴を決めた女こと沢泉ちゆ君なんですが、なんか思ってたよりめちゃくちゃしっかりした女で想像を超えてきた。相互のオタクの一人からは、おれが南みれぃ好きだから真面目な女という文脈でも推されたのだが、普通に南みれぃの55301倍性格が良さそうなんだよな。というか沢泉ちゆ、心技体全部高水準でビビる。完璧の女では。8話がちょうど個別回といった感じだったが、やはりわざわざ「自分との戦い」である陸上部として設定されてる辺り、自己で完結できるからこそ人に手を差し伸べられる女、なんだよなぁ……
 ところで8話なんだが、作り自体は実に王道で(高跳び、絵面がなんかのメタファにするのに便利すぎて多用されがちなので好き)、その上、戦闘の中でなんか跳ぶことで事態の打開があるんやろなぁ……という期待を完璧に裏切らず、結果腕組みして満足気に頷きながら視聴したのだが、それはそれとしてその回のテーマに対する話の純度の高さにはビビらされた。「自分との戦い」と据えた通り、マジで一貫してその通り、「ライバル校の選手」が結局話の中で特に触れられることなく、マクガフィンから出ることなく終わったのがポイント高い。あの話におけるライバル選手はちゆのイップスを引き起こす要因になっただけで本筋には特に関係ないんだよな……。そんでラストの象徴的なジャンプを、3人だけの大会で締めたのが実に綺麗で最高だ。応援2人と、選手が1人。あくまで自分が跳べるか跳べないかという話で、それを応援してくれる仲間がいるだけというミニマルな構図。終始ちゆがライバル選手の記憶を超える、ではなく「自分の限界を超える」ことを目標にしてるのが一貫性!という感じだ。
 なんか8話が挫折の話かと思ったら結局一切ブレずに友達に支えられながら一人でやりたい事をぶち抜くという話だったし、沢泉ちゆという女は現状強すぎる。相田マナとかそういう感じではなく1人の人間として地に足をつけた範囲内でとても強い。素朴に強い。最早クソみたいなダジャレに弱いという点くらいでは存在が硬すぎて一切傷がついていないまである。プリキュア素スペック最強リセマラランキングがあったら多分割といい位置に付けるだろう。

 そうそう、平光ひなたに関しては正直視聴前はまったくノーマークだったし、なんなら1話のOPで「なるほどこういうキャラ一人はいると嬉しいよな~」と適当に分かった気になっていた。浅すぎる……。ひなた君……マジでこんな好きになるとは思わんかった……おれは今年のプリキュア3人全員がマジで好きや…………
 平光ひなた、この手の女(こういう当てはめ行為が視野を狭くするわけだが……)にしては珍しく異様に自己評価が低いのが味わいだと思っている。自分ができないこと、駄目なところを自分自身でよくわかっているからこそ出る味だ。自分が周りを見ないで先走るところがある、と自己を分析し、それを欠点だと思っている女であるが故に、実のところ誰よりも周囲に気を配っているっぽいんだよな……。それは全く矛盾しないというか、視野が狭いからこそ周囲をよく見ようとしている、そういうパーソナリティが成立する。のどかがちょっと無理してるのを見逃し反省する一方で、そもそも発端として、のどかの過去を思いやり、写真を撮るのを目的に強引にコトを進められる女……。9話の「私はいつも周りが見えない」という嘆きとそれを否定する2人の友達、何より「そんなことはない」ということをラストのやり取りがこれ以上なく裏付けてるのが良いんだよなぁ……。自分の周囲に気が行き届かない事が多いからこそ、周りをよく見ようとしていて、だからこそ気付けることがあるというこのキャラ造形!長所は短所の裏返しとかそういう単純な作りではなく、短所を気にする精神性に由来する行動がそのまま長所となる構図……というか4話を見るに誰かの為に何かをしたいという気持ちが先走ることで視野が狭くなり、それを反省して、何かできることを……という循環があるのか(卵が先か的な話っぽい)……何にせよ平光ひなたというキャラクターの深みの象徴と言えるし、こういうとこをちゃんとやることでキャラにリアルな人間が宿る。

 あと、触れておかないといけないんですがビョーゲンズも実に古式ゆかしい3バカなんだけどなかなか油断ならないところを見せてくれるというか、10話、ここにきてちょっと「オッ」とさせられましたね。いつも通りの腑抜けた会話からそのままシームレスに病原3体一斉単独行動に繋がって、話の重要な局面、始まって以来の大ピンチになってるのがよくできてる。あれ、別にプリキュア打倒の為に結託したわけでもなく勝手に動いたらたまたまタイミング合ってプリキュア目線ではえらいことになったというのがまた……たまたま噛み合ってえらいことになったというのは、つまり向こうが本気出してプリキュア狙いで潰しに来たら、という余地のようなものがあるわけで、愉快な悪役ながら普通に脅威だよな……とここで改めて認識させておく意味でも良い。何より普通にハラハラさせる展開なんだよな。ええ悪役やで。

 総じて、話もキャラもどこか懐かしいような王道をなぞりつつ、手抜かりなくディテールを詰めることで深みを伴った令和の新王道作劇という感じで、噛みしめるように味わっており、メ~~チャクチャ楽しみに観ている。9話みたいな素朴で深い深いうまあじがある回をあと100話くらい見たいと素直に思えるし、10話ではシンプルに話にドキドキさせられ目が離せない。既に大概仲がよろしいが、3人の関係性にも注目して1年視聴を続けていきてぇと思っている。やっぱプリキュアの、プリキュアありきでスタートする関係性というか、”プリキュア”を共有することで関わりが生まれ友達がスタートするやつ、マジで良いんだよな……

 以上感想、勧めてくれたdiscordのオタクに感謝。次のおはなしも楽しみやね!(女児)

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一人のオタクを作品視聴へと至らしめた名画春。
いや改めて見るとしみじみ良くないですか?至尊……

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