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インドラマユの生命樹文様「Kayu Gorda」

インドラマユはチレボンから50kmほどの距離にあるジャワ海に面した町です。バティックの製作をしているのはPaoman地区。住民の男性の多くは漁業に従事し、奥さんたちは時間があるときにバティックを描いています(専業の人もいます)。

インドラマユのバティックは抽象的な形状が特徴。今回、ご紹介するのは「Kayu Gorda」と呼ばれる生命樹文様です。太い幹が唐草状に繋がっていく力強い流れ。空間に描かれている動物や魚、鳥の形状も面白く、ダイナミックかつユニーク、大好きな柄のひとつです。

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画像はカインパンジャン。インドラマユで下絵とイセンまで描いてもらって、パチェ工房でテンボックをして染めたもの。水色から染はじめ、パープル、青、濃紺と色を重ねてみました。

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涼し気な色でワンピースなどにすると良さそうですね。

おなじ文様でサルン。これもテンボックと染はパチェ工房で。

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これは、一度、濃紺に染めてSoganという技法で蝋をわざと壊し、一部を伏せてから薄い茶色にそめたもの。。。。。さらに蝋落としをしてから太い幹の部分とKepala(画像左の部分)の一部を蝋で伏せて全体にベージュをかけたものです。その後、蝋落とし。面倒ですね、こんなややこしいことをやっているのはうちの工房くらいです。

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幹の白とベースのベージュ色のコントラストが特徴です。染め分けをすると幹の形状が際立ちます。

次は、バッグ生地です。素晴らしすぎて縫製できないまま仕舞い込んでありました。

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マチ部分がついてます。インドラマユの熟練職人・アアットさんに下絵を描いてもらって、パチェ工房でイセン、テンボック、染までしたものです。ただ、このままバッグを作ると木がひっくり返ってしまうなぁ。

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イセンはチレボンの職人が描いているのでまた違う感じです。

最後は最近作ったミニスレンダンと呼んでいる小品です。小さなタペストリー。これも下絵とイセンはインドラマユ、テンボックと染はパチェ工房。

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太い幹はKayu Gorda文様と同じです。動物などの構成要素をちょっと変えてもらいました。アマビエとペンギン、、、鳥(Lokcan)の尾はアマビエの足に合わせて3本です。職人さんは「今まで見たことのない面白いもの」と喜んで描いてくれました。10枚ほど限定で作成し、現在工房でいろいろな色に染めています。画像は薄い緑から赤、臙脂に染めていったもの。

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Kayu Gordaとはなんぞや? 現地の職人さんに聞いてもはっきりとは分からないのですが、ジャワ海の海岸沿いに群生するBakau(マングローブの木)であるという説もあるそうです。

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