にっき(ゲムダン外伝、アニメの感想)

ゲームダンジョン外伝に行った

 アドベンチャーゲームと学生ゲームオンリーイベント。あまりノベルゲームやらないのでいろいろ知ろうとしてみるかあと思って行ってみた。
 チケットは無料だけど定数があって、予約だけで満員だった。インディーのビジュアルノベルってまだそこまでの人気は無いと思うのだけど、いっぱいお客さんが来ていて、盛り上がりを感じた。インディゲームという発達途中のジャンルに参加できてうれしい。

 ビジュアルノベルってほとんどプレイしないんだけど、物語をベースにした作品をどう伝えるかいろいろな工夫があることが知れてよかった。学生作品も刺激になった。

 ゲームイベントでは「こうしたらいいのでは」的な感想言うの罪みたいな風潮があるけど、本当にそうかな?とずっと思っている。お金かけたり、がんばって設営したりして、その結果ほめあってもあんまり得がないんじゃない?なれ合いの価値って150円くらいでしょ(?)。
 インディゲーム界隈って「必ずホメてくれる人」と「雑なアンチコメをばらまくネットのレビュー」の割合がかなり多い気がする(感覚ですし、ほかの創作ジャンルと比して多いのかはわかんない)。
 後者が多いからこそ前者や「イベントでは傷つくかもしれないコメントはやめましょう」みたいなルールが生まれるのかなとも思うが、じゃあマトモなフィードバックはどこで受けられるのだろうか?
その場で数分プレイした感想がまともなフィードバックと呼べるものな可能性は低いけど、そういう機会をシャットアウトするのはトータルで損な気がする。

 俺は大勢の倫理に従うが、今後インディゲーム業界(界隈?)はいい感じに成長してくれるのだろうか…?まあイベントはとても良かったです。

 あとは最近見たアニメの感想

『ロボットガールズZ』


 2014年に配信された作品で、マジンガーZシリーズをメインに東映のロボットアニメを美少女化したギャグ・下ネタアニメ。ほんとうにハマった。
 一話10分未満でテンポもめちゃくちゃ良いとか、作画がかわいい上に良く動いて楽しいとか良質なギャグアニメ。そのうえでマジンガーやゲッターロボなどの原作をいじったネタがいろいろ出てくるんだけど、かなり雑に、不義理に使っているのがとても良い。

https://youtu.be/Zbj9NPycnSA?si=bK2W0zhStBC9LJKv

 すばらしいOP映像だけでも見てくれ。ロケットパンチではなくロケットパンチラ!

 私は昨今のいろいろリメイクされる流れを全否定はしないんだけど、なんか愛が重いよね…。原作や第一作をリスペクトして、最新技術で丁寧にリメイク!みたいなの。やってもいいけどそんなに制作リソースをさかなくてもいいでしょ…、って思っちゃう。うる星やつら4クールもやったのとか信じがたいね。
 なんかそうなっちゃうとアニメって伝統文化というか、もう成熟されきって後は継承するだけの文化なのかなって思いますよ。

 その点ロボットガールズZはとても良かった。エロネタやネットミームを使ったりする同人誌的な悪ノリがこそばゆい(苦手な人はとことん苦手かも)けど、昔のアニメに対するリスペクトなんてそれらと同程度の扱いでいいんだよ。原作知らなくても面白い!というか俺も表層的なことしか知りませんが面白かったです。
 2期まで見通しても普通のアニメの6話分くらいしかないので見てください。サブスクはユーネクストくらいしかありません!

『変人のサラダボウル』

 ラノベ原作アニメ。なんだが、かなり異質な作品だった。
 美少女・萌えキャラはいっぱい出てくるんだけど、女子高生は出てこず、小学生・20歳のセクキャバ嬢・30代の探偵などがヒロインです。
 逆異世界転生ものでもあるけど、そういう要素を大して引っ張らない。いろんな要素で楽しませてくれる作品で、とても懐の深い作品だと思った。作画がゆるいのも逆にかわいい。
 特にカルト宗教をギャグ的に扱ったのはすごい。インモラルだけど、俺はめちゃくちゃ面白かった。
 どうすごいかというと、カルト宗教によって家庭を壊された人が暗殺を図るシーンがある。なので安倍昭恵は見ないほうがいいと思う。

『終末トレインどこへいく?』

 とても良い作品だった。謎の技術でおかしくなったあとの世界で旅をする話。監督は水島努。どうしたらこんな設定が思いつくんだ?というような意味わかんねえ世界設定がスゴイのだが、そこで銀河鉄道999的な王道のロードムービーが展開される。
 ストーリーとしては「壊したものは戻らない(けど、新しくやり直すことはできる)」というテーマが友人同士の関係性の話として、世界全体の話として両義的に描かれる。
 主人公たちの人間関係は12話できれいに収まるんだけど、「謎の技術」に関しては何もわからないまま終わる。
 主人公たちはただ友達を取り戻す旅をしたので世界の謎についてわからないのは自然だ。尺的にもそこをスルーすることで見やすい作品になっている。しかし、どこかアクセルを踏みきれなかったんじゃないかという印象が残る。

 第一話で、世界がおかしくなる展開が描写されるのだけど、そこで悪役の口から「技術的に後れを取った日本が挽回するチャンスとして7G(セブンジー)技術を作ったのだ!」みたいなことが語られる。あ、舞台は近未来です。
 つまりここでは「失われた技術大国・ニッポンへの幻想」というのが戯画的に使われている。さらに単に取り戻そうとしても無理だよって含意がある。私はそこに失敗した東京オリンピックや失敗しつつある「2025年の大阪万博」を連想したし、「クレヨンしんちゃんオトナ帝国の逆襲」を思い出しもした(水島努さんはオトナ帝国の演出(助監督的な立場)です)。
 まあその連想が正しいかはさておき、ただ女子高生の楽しいロードムービーをやりたかったらそんなノイズみたいな設定を入れる必要はない。だからそこにはいろいろな意思があるとは思う。だけど、やりきらなかったよなあという感じがある。

 終末トレインは角川資本なんだが、ご承知の通り東京オリンピックの贈賄で会長の角川歴彦が逮捕された。そういうところから、「日本を取り戻す!」的イデオロギーに対する批判が行われたらとても画期的だったと思う。まあ私は行われたと思っているので個人的な評価はとても高い。

『逃げ上手の若君』1話

 中先代の乱を描いた作品(たぶん)。鎌倉幕府最後の執権の嫡子である北
条時行ががんばる姿を描いたジャンプ連載の歴史漫画のテレビアニメ版。
 やたらみんながエロい絵を描いていたけど、本当に良いキャラデザだった。時代劇アニメって撮影処理(編集効果)をいっぱい入れてセルっぽくない雰囲気にすることが多い印象があるけど、本作はキャラに関してはアニメらしい鮮やかな塗り分けを基本に表現しているのがうまくハマっていると思った。

 さて、話について。一話見た後に原作をネットで3巻ぶん読んだけど、歴史と違うところが多すぎてどういう気持ちで見たらいいのかわからなかった。
 足利尊氏をすごいキャラとして描くのはいいんだけど、事実関係からしてけっこう違うし、歴史研究とも違うのはもちろん太平記とも違うので何を頼りに物語を読んだらいいのかわからない。
 たとえば「織田信長と対峙した影の英雄」の物語とかよくあると思う。そこで史料のない主人公側をどんなに想像で書いてもいい。だけど信長のほうを「平民から成りあがった苦労人」として描いたら「誰?」ってなるでしょ。足利尊氏について(ざっくり言って)そういうことをしている作品かなと思いました。(話が進むと神の力とかファンタジックな設定がでてくるらしいけど、そちらではなく序盤の描写です)
 さらにアニメではより時代劇的な味付けが入っている。なんと高氏(尊氏)による寝返り・鎌倉攻撃について「主君殺し」というセリフが使われる。鎌倉御家人ってそういう言葉で語れる関係ではないはずだ。もし形式的な上下関係を重視するなら、自分より上位の公卿を殺しまくって天皇を島流しにした北条家こそ最悪の奸臣では…?

 でもそうなるのもわかる。元弘の乱って流れが複雑だし、その後の南北朝動乱もクソややこしい時代だし、そこに介入する存在としての北条時行ってわかりにくいし。バッサリ嘘で切ってやらないと子供でも楽しく読める漫画にならないとは思う。うーんでも、「鎌倉幕府は尊氏によって滅ぼされた」って書いたら中学受験でもバツだからな…。


『銀河英雄伝説 わが征くは星の大海』

 銀河英雄伝説のOVAシリーズをちまちまと見続けています。面白い回は本当に面白いね。
 本作(わが征くは~)は銀英伝アニメシリーズで最初に公開された劇場版。時系列的にも最初の重要エピソードではあるが、原作は本伝終了後に書かれた外伝らしい。ややこしい。なのでどのタイミングで見ればいいのかわからなかったが、OVAを13話まで見たタイミングでなんとなく見た。
 話はとても良かった。60分の中に今まで見た銀英伝が凝縮されていると思った。特筆すべきは将官と兵卒の間の階級差と、それを越した将兵の信頼関係が描かれる点で、とても良い。そしてなによりラインハルトとヤンがお互いの名を口にするところ…!こらこら~!ホモすぎるだろ~!!!(いつの腐女子?)

 作画は劇場版ということで期待したのだけど、そうでもなかったな。1988年公開なので「オネアミス」の後なんだけど、爆発がめちゃくちゃショボかった。ポコポコンって真っ白な円がはぜる感じ。監督は石黒昇さんなんですけどね。
 「トップをねらえ!」や「オネアミスの翼」で増尾昭一氏がケレン味と重厚感を両立した爆発(増尾爆発)を生み出し、それが広まっていくことで日本のSFアニメでは美しい爆発(ばかり)が進歩していく(と認識している)のだが、まだ1988年だと増尾爆発は増尾昭一くらいしか描けない時代か~と思った。
 当時だと金田系のアニメーターはいっぱいいたと思うのだが、そういうちゅどーんって爆発ではないのはよかったと思う。
 あとメカデザインはいいんだけど、なんか線が太かったり斜線で影描いたりしててやぼったい絵が多い。クラシックを流しまくる映像の繊細な方向性と合ってないと思った。これが1988年か~。

 一方OVA版の終盤はデジタルアニメで明らかに色味とかダサいので、銀英伝シリーズってアニメの技術の変化に翻弄されている気がしないでもない。それに比べると最近やっているリメイク版シリーズはもっとちゃんと統一感が出ているんだろうね。でも俺は未成熟な技術の中で紡がれたサーガに魅力を感じます。

 ともかく、本作は銀英伝の序章としてかなり良くできていると感じるので、とりあえずこれだけで見てみるのおすすめです。




にょ