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半導体業界のこれまでとこれから

皆さまこんにちは。

今回は半導体業界のこれまでとこれからということで、自分の中での復習も込めて書いてみようかなと思います。僕自身勉強不足の部分もあると思うのでそこはご容赦ください(* > <)

さて、そもそも半導体とは何ぞや?という方も中にはいらっしゃるかもしれませんので少し説明をしたいと思います。

半導体とは一定の電気的性質を備えた物質です。物質は電気(電子)を通す「導体」と電気を通さない「絶縁体」。そして、ある条件によって電気を通す「半導体」に分かれます。

例えば金、銀、銅のような導体は抵抗が低く、電気を通します。一方でゴム、ガラス、セラミックスなどの絶縁体は抵抗が高く、電気が通りにくい性質があります。これらの中間的な性質を備えるものが半導体です。

では何故この半導体が私達の生活に必要なのでしょうか。あまり関係がないのでは?と思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。実際には多くの電化製品、あるいは交通や通信などの社会インフラに半導体が利用されており、半導体は私たちの暮らしに欠かせない存在となっています。

例えば、エアコンには温度センサーが使われていますが、そのセンサーは半導体で出来ています。炊飯器がおいしくご飯を炊けるのも半導体で火力をきめ細かく制御しているからです。パソコンを動かすCPUも半導体です。その他、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、テレビ、洗濯機、冷蔵庫、LED電球など、さまざまなデジタル家電製品に半導体は使われています。こんなにも多くの半導体が私達の生活に密着しています。どうでしょう、少しは身近に感じられましたでしょうか。

ではここから世界の半導体市況の話に入りたいと思います。

世界半導体統計(WSTS)によれば、半導体の市場規模は2017年に前年比21.6%増、2018年も同15.9%増と驚異的な成長を遂げたが、2019年は同2.6%増に留まると見ています。半導体市場調査会社各社の2019年予測も前年比5%増から1%減までばらついており、WSTSの予測もそれらの中間に位置していることからも分かるように、メモリバブルが去ってしまった今年の成長率は1桁台の下のほうというのが大方の見方のようです。

そしてここでも影響が出てくる米中問題なわけです。米中貿易摩擦やハイテク覇権争いの影響は不透明で、半導体産業の今後の動向予測を難しくしています。しかし短期的には景気の落ち込みはあるものの、長期的に見れば、半導体は今後も成長を続けていくという見方もあります。

ではこのような状況下で、2019年の半導体業界の設備投資はどうなるのでしょうか?

SEMI(国際半導体製造装置材料協会)によると、2019年の地域・国別の半導体製造装置投資額について、韓国がメモリへの投資抑制により前年比35%減となるのとは対照的に、台湾がプロセスの微細化を目指したファウンドリによる投資の復活で同20%増となるとみており、全体としては2017年レベルとなると予測しています。

SEMIの2018年夏の予測では、2019年の中国における半導体設備投資額は180億ドル程度にまで増加するとしていたが、今回の予測では投資額を2018年並みにまで引き下げ、中国の半導体投資ブーム到来を2019年から2020年へと1年先送りする修正をしました。この結果、2019年の韓国、台湾、中国の設備投資額は、ほぼ拮抗することになりそうで、2019年の半導体産業設備投資総額は前年比4%減の600億ドル弱となる見込みとなっています。

ではそんな中、日本はどうなるのでしょうか。

SEAJ(日本半導体製造装置協会)によると、2018年度の日本製半導体製造装置は前年度比11.1%増の2兆2696億円、FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置は同9.8%増の5400億円となる見通しで、両者の合算値は同10.8%増の2兆8096億円となるとしています。

また、2019年度は半導体製造装置において、上半期に投資のけん引役であったメモリへの投資が慎重になるとの見方が示されており同0.5%増の2兆2810億円にとどまるとするほか、FPD製造装置についても、2018年の反動や、第6世代(G6)基板の有機EL向け投資が進まないこともあり、同16.7%減の4500億円と予測。そして2020年度は、半導体、FPDともに投資が復活するとして、半導体製造装置が同7.0%増の2兆4407億円、FPD製造装置が同6.7%増の4800億円と予測しています。

それぞれについてもう少し細かく見ていきたいと思います。

2018年度の日本製半導体製造装置の販売高(海外拠点を含めた日系企業で製造された半導体製造装置の国内および海外での販売額の合計)は、3D NANDとDRAMを中心としたメモリメーカーが投資の牽引役となり、前述のとおり前年度比11.1%増の2兆2696億円となる見通しです。2019年度は前半にメモリ向け設備投資が抑えられるが、年度後半、特に2020年1~3月期からの回復が見込まれており、2020年度に再び成長軌道に戻るとの予測となっています。

また、日本市場については(外資系企業の日本市場での販売高含む)、2018年度は、3D NANDやDRAM、イメージセンサ向けに高水準な投資が継続し、同19.8%増の9748億円と予測。2019年度は一部の設備投資の抑制もあり、横這いの9748億円としているが、2020年度は各社ともに積極的な投資姿勢を再開するとの期待から同7.0%増の1兆430億円という予想額となっており、実際に日本市場単独で1兆円を超えれば、2007年度以来、13年振りのこととなります。

続いてFPD産業です。韓国、台湾、日本の大手パネルメーカー各社は2017年第2四半期(4~6月)の平均10%をピークに、営業利益率を低下させてきたが、2018年第2四半期にようやく下げ止まりの兆しを見せてきました。

中小型パネル市場は、2018年の初頭からスマートフォンの有機EL化が一気に進むものと見られていたが、価格が高いこともあり、販売面で計画通りに進まず苦戦が続いています。有機ELパネルの供給に関しては、Samsungを中心とする韓国の既存工場の生産能力だけで相当部分をまかなえる状況にあるといえます。

また、大型パネル市場は、2018年より中国における第10.5世代(G10.5)ガラス基板向け設備投資が本格化しており、その規模やスケジュールの大きな変更も無く、2018年度前半は9月までの実績値として前年比約2割増となっているとのことで、日本製装置としても前回予測を上回る数字を達成しました。このため、2018年度の日本製FPD製造装置についても上方修正がなされ、2019年はその反動が大きく出る見通しだが、2020年度までの3年間の市場金額の合計値はこれまでの見通しよりも増額されています。

このため、日本製FPD製造装置販売高(海外拠点を含めて日系企業の国内および海外市場でのFPD製造装置の販売額総額)に関しても、2018年度は韓国を中心としたG6有機EL向け投資の延期による売上高の減少があったものの、中国のG10.5液晶パネル投資がほぼ予定通り行われため、前述のとおり、同9.8%増の5400億円という予測となっています。

また、これからの伸びとしてパワー半導体も面白いのではないかなと思います。パワー半導体は、高い電圧、大きな電流を扱うことができる半導体です。

省電力性が求められる、ハイエンドのコンシューマエレクトロニクス、無線通信、電気自動車、グリーンエネルギー、データセンター、産業用および民生用IoTなどのアプリケーションに対するエネルギー効率のスタンダードが厳しくなるにつれて、パワー半導体の重要性が高まってきます。

SEMIが公開した世界のパワー半導体に対する生産能力および工場数に関するデータ(EPIとLEDを除く)によると、今後、パワー半導体の生産能力は毎年順調に増加し続け2022年には月産660万枚に達するほか、工場数も、2019年から2020年にかけて急増しピーク時には335工場程度まで増えると予測しています。

後はアメリカのSOX指数も半導体関連を触る上で外せない要素となります。SOX(フィラデルフィア半導体株)指数とは米国のフィラデルフィア取引所が発表している指数です。半導体メーカーや半導体製造装置メーカーなどの銘柄で構成されるており、日本の半導体関連株にも大きな影響を与える指数です。

ここ最近でSOX指数は過去最高高値を更新したものの、高値圏ではありますので注意は必要かと思います。

もともと、変化の激しい技術革新の影響を受けやすい半導体業界は、製品の入れ替わりとともに需給バランスが崩れやすく、好不況を繰り返す(このサイクルのことを「シリコンサイクル」と言います)といった特徴があります。昨年、半導体売上の増勢に陰りがみられた時、市場では「シリコンサイクル」が減速局面に移行したとの見方がありました。一方で、今回のサイクルは、「スーパーサイクル」(従来のサイクルを飛び越えたサイクルという意味)であり、足元の調整は一時的なものとの楽観的な見方も根強くありました。
今後については、再び米中の通商協議の進展に先行き不透明感が拡がったり、ハイテク摩擦への警戒感の 強まりがみられるような場合は、需給への悪影響などを通じて、短期的に半導体売上の成長に下押し圧力がか かる可能性が考えられます。

以上のように、業界全体としては2019年は少し落ち込むものの、2020年には回復傾向にあるのでは、という見方が多くなっています。

所感としても、今急いで半導体関連を買わなければならない、というようなことはないのではないかなと思います。

小型の個別銘柄においてはその限りではないところもあるとは思いますが、半導体関連を触ることがあるならば業界全体の状況を頭に入れておいても損はないかと思います。

長くなってしまいましたが、以上で半導体業界のこれからとこれまでを終わります。

読んでいただきありがとうございます(*> ᴗ •*)ゞ




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