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チリも積もれば|開幕直前に全選手の展望(投手編)

ご覧いただきありがとうございます。
前回の野手編に引き続き、全投手の展望を書いていきます。

投手

#11 東 克樹

昨シーズン最多勝に輝いたエース左腕。
ゾーン勝負というチームのテーマを最も体現する投手であり、カウントに苦しむことがない。
二年連続で活躍した経験がないため、フル回転した昨季の勤続疲労はリフレッシュできているのか、という懸念は否めないが、球数も少ない投手なので悪循環に陥るとは考えにくい。
今シーズンは開幕投手として、エースとして怪我無くチームを引っ張ってほしい存在。

#13 伊勢 大夢

サイドハンドから放たれる剛球で制圧していくセットアッパー。
しかし昨年は調子を落とし、50.1イニングに登板も指標が悪化。さらに打線低迷の影響から僅差で投げることも多く、結果的に負けが付くこと6敗。
今年も復活を目指して調整を続けてきたが、未だに懸念はぬぐい切れていない状況で、どうにか進化をつかみ取ってほしい。
過去4年で200登板と凄まじい負担がかかっていたのは事実なので、彼の復活のためにも他のリリーフが出てきて分け合えるのが理想か。

#14 石田 健大

FA権を行使したものの残留を決めた左腕兄弟の長男。
昨年は開幕投手を務めるもシーズン通して苦しみ続けた一年となってしまった。
特に1,2回の失点が多く、カウント上でも追い込む前の早いカウントでは軒並み被打率3割を超えるなど、試合単位でも打席単位でも入り方に課題が残った。
一方で今年はフォームの変更が見られ、軸足の踏み替えが最小限で立ち上がった際のバランスが非常に良くなっている。また平均球速の向上も若干あり、ローテ争いを激化させている。

#15 徳山 壮磨

オーストラリア修行を経て覚醒した右腕。
入団から二年間苦しみ期待と現実のギャップに悩まされたものの、今シーズンは飛躍の年になりそう。
オープン戦では球速が150キロ台中盤をマークする速球に加え、スプリット、カーブと全球種が決め球にもカウント球にもなりうる姿を見せつけた。
個人的には以前から真っすぐの強さ自体には期待していたものの、全体的な完成度がここまで来るとは想像していなかった。
今年のリリーフを支えるキーマンとして思う存分暴れてほしい。

#16 大貫 晋一

安定した仕事っぷりで定時帰りの公務員。
昨年はケガの影響で登板数を減らすもWHIP(1イニング当たりのランナー数)は0.98と上々の成績で、まさかの初完封マダックスまで達成。
今年は右のエースとしていつも通り空振りを取りまくり試合を作り続けてほしい。
また、個人的には規定投球回に到達する姿も期待しており、東と共に左右エースの構築なるか。

#17 三嶋 一輝

ダイナミックに腕を振り続けるリリーバー。
難病から復活した昨季は27試合に登板し、シーズン序盤は4試合で3勝を挙げるなど春のチーム躍進に大きく貢献した。
しかし夏場に差し掛かるころに調子を落としたため、疲労との向き合い方が復帰後の課題か。
今シーズンはブルペンの負担を分け合う一人としてだけでなく、ベテランとして若い選手を引っ張っていく姿も期待される。

#18 小園 健太

エース候補として着実に進歩を続ける若き右腕。
身体的な成長の影響で紆余曲折あったが3年目の今シーズンは投げるたびに良くなっていき最終的なローテ争いに残り続けている。
開幕ローテはともかく、今年中の初先発は決定的と思われる。
個人的には以前話した通り、結果だけでなく焦らずに自分の投球を確固たるものにして意味のある一年にしてほしいと思っている。

#19 山崎 康晃

苦しんでも苦しんでも這い上がる小さな大魔神。
昨年は5月以降調子を落とし守護神はく奪という形になったが空振り自体はよく取れておりBABIPに泣かされた一年でもあった。
ただし、コンタクトされた打球が高確率で安打になる点を運だけで片づけるわけにはいかず、そこに対して進化を遂げようとしている今シーズン。
ストレートと大きく落ちるツーシームの二球種だけの「狙いを合わせて強く振りやすい状況」からの脱却を目指して、緩急で奥行きを使うチェンジアップ、横に芯を外すカットボールの習得を目指している。
3次元的な投球術に加えてスリムな体重になったことがどのように転がるかにも期待。

#20 坂本 裕哉

昨年はロングリリーフとしての登板が多く、球速も150キロ以上をマークすることが増えるなど覚醒の片鱗を見せたが結果には結びつかず苦しい1年となった。
特にゾーン勝負をし切れていない印象でボール先行や2ストライク目を狙うカウント球で打たれることが多かった。
ゾーン勝負をするために何が必要かを確立している最中だと思われる。
第二先発も構想にあるチーム状況で数少ないチャンスをものにできるか勝負の年になりそう。

#22 入江 大生

剛速球で制圧していくリリーバー。
追い込めばほとんど打たれない一方でそこに行くまでにランナーを背負ってしまうことが多かった昨年。
8月に怪我のあと、キャンプでもコンディション不良が生じ出遅れとなっている。
復帰を急ぐ必要は無く、シーズン途中で帰ってきてくれれば、という思いと共に本人の意思次第ではあるが先発も視野に入れる調整もありうる。

#24 吉野 光樹

一年のブランクを乗り越えてベールを脱ぐ右腕。
即戦力として期待された昨年はコンディション不良で登板がなく苦しんだ一年だった。
今年もキャンプはスロー調整だったがファームで登板を果たすなど一軍での登板も期待される。
社会人時代のストレートを取り戻すことができればチームの救世主になりうる。

#26 濱口 遥大

緩急と荒れ球が持ち味のイニングイーター。
昨年は開幕から勝てない時期が長く続き苦しむも8月に完投で初勝利を挙げるとそこからは復調。
今年は球速が戻り150キロ近い速球を平均的に投げ込んでおり個人的にも期待値がかなり高い。
昨年の東くらい再ブレイクしてくれるか。

#27 上茶谷 大河

ハマのメタモン。
昨年は谷間の先発に火消しにロングに勝ちパターンに便利屋としてフル回転した。
テンポよく、ちぎっては投げスタイルで見ている側も気持ちのいい投球が続いた。
イレギュラーな状況でこそ輝く柔軟な対応力を評価されているのか、今年も似たような起用になりそう。
森唯斗とのコンビも楽しみ。

#30 三浦 銀二

2人目の三浦として話題になった発展途上の右腕。
昨年は1試合の登板にとどまり上手くいかなかった一年だったが、フォームの変更を試すなどもがいている姿も見られた。
腕の位置を変えて回転数もアップするなど、進化した姿を見られることに期待。

#34 松本 凌人

変則サイドから繰り出される剛球が魅力のルーキー。
しっかりと結果を残して開幕一軍を勝ち取り、シーズン中の勝ちパターン入りも期待される。
サイドスローならではの内外の使い分けはもちろん、変化球と真っ直ぐの質もいい意味で汚く、攻略が難しそう。
まずは怪我なく今年を終えて欲しい。

#35 橋本 達弥

フォークが魅力の大卒2年目リリーバー。
昨年は一軍登板がなく、今年も現在リハビリ組と苦しい状況が続いている。
課題は球速だと言われており、このリハビリ期間を有効に使って焦らず球速アップに繋げて欲しい。

#36 森下 瑠大

打撃も良いプロスペクト左腕。
昨季後半からは高卒ルーキーながらファームでローテーションを回り好成績をおさめた。
球種が多彩でレベルが高く、今年も着実に成長を重ねていくことが期待されるが、もしかすると一軍登板もどこかであるかもしれない。

#38 森 唯斗

常勝軍団から移籍し横浜の地で再起を図るベテラン右腕。
キャリアのほとんどをリリーフで過ごし、100ホールド100セーブを達成しているが、昨季からは先発に転向。
どんどんカウントを取っていくがそこを痛打される場面もあり、進化を重ねていけるか。

上茶谷と な か よ し

#40 松本 隆之介

スケールの大きいプロスペクト左腕。
とにかく三振を取る能力に長けている一方でコントロールが荒れる部分も見られる。
また怪我も多く、その度に身体が大きくなって帰ってきている。
今年も出遅れており、まずは健康体で経験を積んで欲しい。

#41 佐々木 千隼

現役ドラフトで加入した変則軟投派。
21年は 54試合 防御率1.26と活躍したがそれ以降は苦しんでおり新天地へ移籍となった。
今年はオープン戦2登板で失点0と上々の滑り出しを見せており、課題だった奪三振についてもある程度取れている。
ロングリリーフを含めて上茶谷に近い起用法が予想される。
出場曲が夜のハマスタに最も合うであろう選手。

#42 アンドレ ジャクソン

髭と長髪がトレードマークの力強い右腕。
MLB時代はスターター、リリーバーどちらもこなしていたが、横浜では先発ローテの軸としての活躍が期待される。
オープン戦やファームでの調整登板では150キロを超える真っ直ぐとチェンジアップを中心に三振多く四球少なくという理想的な投球を見せ続けている。
順当にいけば裏ローテの頭としてチームを引っ張っていくと考えられる。

#43 深沢 鳳介

リハビリに入ったプロスペクト右腕。
昨年はファームで最もイニングを投げた投手であり、高卒3年目の今シーズンは開幕ローテ入りも期待されていた。
しかし肘の張りからトミージョン手術を選択し、長いリハビリに入ることが決まった。
コントロールに優れており、どの球種も武器になるため、リハビリ期間にビルドアップして帰ってきて欲しい。

#45 森原 康平

綺麗な直球とスマイルが武器の万能リリーフ。
昨年はヤスアキに変わりクローザーを務めると最終的には17セーブをあげてチームをギリギリで踏みとどまらせた。
今シーズンは痛打される場面が目立っており、さらには四球や暴投もあり、不安が残るためできる限り楽な場面から調整して欲しい。
笑顔を取り戻せるか。

#46 石川 達也

奪三振率で圧倒する左腕リリーフ。
昨年は28試合に登板し防御率1.97と活躍するも今年はここまで少し不調気味。
空振りが取れておらず勝負が長引く場面も見られ、懸念が残る。
本来の力を発揮できれば貴重な左のリリーフとして大車輪の活躍間違いなしなだけに焦らず調整して欲しい。

#48 京山 将弥

肩が非常に柔らかく鞭のようなピッチングを見せる右腕。
若くして一軍勝利をあげたものの伸び悩み、最速155キロもコントロールに苦しむなど発展途上。
定期的にフォームを見直しているのか投げない時期があり、トライアンドエラーを繰り返し続けている最中だと思われる。
個人的にはなんとか報われて欲しい上、徳山と同じくリリーフにおけるキーマンであるとも思っている。

#49 JB ウェンデルケン

大きな身体から見た目通りの豪速球を繰り出すブルドッグ。
昨年は加入一年目ながら61試合で防御率1.66と大活躍、いなければゾッとする存在に。
非常に高い空振り率を誇りバットに当てさせないという武器があり、今年も不安多めなリリーフの中では比較的順調な調整が出来たと思われる。
YouTubeも期待。

#53 中川 颯

芸術的なフォームでアウトを積み重ねるサブマリン右腕。
昨年はオリックスの育成として好成績を残すもチーム事情からか支配下に上がれず、支配下で高校時代に慣れ親しんだ横浜が契約したという形になった。
今年はここまで、ポイントをずらして打ち取るピッチングで活躍を続け開幕ローテが決定的。
ただ、今まではリリーフが多く長いイニングへの耐性がどれだけあるのかという点は懸念があり、第二先発案も彼を中心に生まれたものだと推測される。
なにより楽しそうに野球をやっているのでこのまま一年間頑張って欲しい。

#54 石田 裕太郎

コマンド能力の高い地元出身ルーキー右腕。
ストレートの回転も良く、内外の投げ分けが非常に優れているというここまでの印象。
素材型と思いきや今年中に一軍登板がありそうなくらい完成度が高く近い将来のローテ入りにも期待。
ベイスターズファンを公言するルーキーが増えている喜び。

#56 高田 琢登

未だ悩み中の若手左腕。
怪我への不安や制球面の課題を持ち続けており、プロ入りからずっと苦しみ続けている印象。
昨年のウィンターリーグには手応えを感じていたようなので、なんとか今年方向性が定まって進化していくことに期待。

#59 平良 拳太郎

昨年復活を遂げた変則ウチナーンチュ。
今年はローテーションの軸として一年フルで回る姿に期待。
武器としては2種類のスライダーの使い分けで、どんどん打ち取っていくテンポの良さ。
今年は無双する可能性も大いにあると思っている。

#62 ローワン ウィック

加入一年目、捕手→外野手→投手という異色の経歴のリリーフピッチャー
昨年はMLBで64試合に登板するなど活躍を見せており、NPBでも勝ちパターン付近での起用になりそう。
武器は平均150キロを超える綺麗なストレートで、ゴリ押しする姿に期待。

#64 中川 虎大

威力の凄まじいストレートと落差の凄まじいフォークが武器のリリーフピッチャー。
例年、奪三振率が高く四球も多かったが、昨年はその点も改善傾向にあった。
今年は今のところ被打率が高く、開幕一軍は逃したが、調子を整えてリリーフに合流して欲しい。

#65 宮城 滝太

昨年プロ初登板を果たした期待のホープ。
元々は多彩な球種を持つタイプだったが、プロ入り後は球速が一気に伸びていまや150キロを平気で出す。
奪三振率が非常に高く、大きく崩れる想像ができない。
今年も早い段階での一軍合流が待たれる。

#69 アンソニー ケイ

見た目は東、登場曲は今永とすでに愛されそうな新加入投手。
真っ直ぐの強さはもちろん、食い込むカットボールも持ち合わせており右打者を苦にしないサウスポーとして活躍しそう。
貴重な存在としてマルチに躍動して欲しい。

#101 草野 陽斗

伸び代十分の育成投手。
球速や制球が急成長している最中で、大化けするための準備中と言える。
着実にレベルアップを重ねて一軍で見られることが楽しみ。

#102 清水 麻成

身長とポテンシャルの高い高卒ルーキー右腕。
バランスの良さと手足の長さを見出され、目標は火の玉ストレートらしい。
まずは体重増加、身体作りの一年になるか。

#105 ウィルニー モロン

彗星の如く加入した育成投手。
メジャー経験はないが、くせ球と落ち球が武器とのこと。
まだまだ情報が少なく今年一年間で彼のことを知っていきたい。

#106 渡辺 明貴

若くして国内外問わず渡り歩いて横浜にたどり着いた苦労人。
強いストレートと鋭いフォークを武器にゴリ押していくスタイルはリリーフでの活躍を期待させる。
2年目の今年は一軍のオープン戦でも登板しアピールに成功。
早いうちに支配下、そしてNPB初マウンドが見られそう。
ちなみに山本祐大とはBC滋賀時代のチームメイト。

#107 ハンセル マルセリーノ

ジャパニーズドリームを目指して3年目の右腕。
2002年生まれと非常に若く、身体能力を活かした投球は伸び代だらけ。
今年はキャンプ一軍スタートと着実にステップアップしており、将来のクローザー候補として期待。

#108 今野 瑠斗

将来のローテーション入りも期待される高卒2年目育成投手。
昨年は18歳ながらファームで打者30人を被安打2に抑えるなど希望に溢れている。
変化球が多彩なため、身体が出来てスピードがさらに上がってくると非常に楽しみ。

#109 ジョフレック ディアス

オトコハダマッテナゲルダケを受け継ぐ男。
高い奪三振率を誇り期待値がとても高かったがトミージョン手術でリハビリ期間を長く過ごした。
それでも復帰した昨年は、身体もさらに大きくなりパワーアップした姿を見せ、今年はキャンプも一軍スタート。
支配下もそろそろ狙えるであろう存在で一軍リリーフに加わってきて欲しい存在。

#110 アレクサンダー マルティネス

2メートル近い高身長の新加入投手。
現地でのトライアウトを経て加入しておりそれ以前の情報が少ない投手。
主要なプロリーグの在籍経験が無いようで、モロンと同じく彼をよく知っていきたい一年。

#111 堀岡 隼人

育成、戦力外、育成と苦労を重ねて横浜にたどり着いたパワーピッチャー。
プロ入り直後は打たせて取るタイプだったが、成長過程で球速がアップし、強いストレートと、フォークを武器にスタイルチェンジ。
今年は一軍のオープン戦でアピールに成功したと言え、早期の支配下登録、一軍登板に期待。

#122 庄司 陽斗

ウッディを自称する大卒ルーキー左腕
真っ直ぐの強さとチェンジアップを武器に高い奪三振力を誇り、一年目ながら支配下登録は常に視野にある投手。
濱口に例えられることが多いタイプだが、リリーフも含めてよりマルチに活躍の場が得られそう。


終わりに

以上、全選手今年の展望でした。
野手に比べると現段階で苦しんでいたり、懸念が拭いきれないまま開幕を迎えている選手が多いのは事実。
それでもイニングは消費しなければならない中で助け合うことがどれだけできるのかが課題になりそうです。
一方でそんな中でも進化しようと、もがく姿勢が多く見られるのも事実。
多くの選手が報われる一年になって欲しいと思います。

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