2020年シーズンの振り返り〜野手編〜

 おはようございます。こんにちは。こんばんは。ストロウです。noteを開いていただきありがとうございます。


はじめに

 2020年シーズンのDeNA各選手について振り返りをすると共に、今季へ向けて期待することや課題を執筆していきます。前回の投手編に続き、本稿は野手編になります。

既に2021年シーズンのキャンプが始まっていますが、本稿は2020年の振り返りがテーマのため、キャンプの情報は一切含まれていません。

 本題に入る前に注意点です。

①今年(今季)=2021年として扱っています。

②退団選手も含んでいます。(量は少なくしています)

③特定の選手が嫌いということは一切ありません。

④選手によっては量や内容が異なる場合があります。

 読みにくい部分もあると思いますが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

 では、本題に入ります。


00 宮本秀明選手

打撃:2軍で19年に307打席(チーム4位)、昨年は226打席(チーム4位)に立ち、期待されている選手。フォームがシンプルであり、スタンドへ持っていくパンチ力もある。柔らかさも少し出てきたと感じる。しかし、19年の成績と比べると打率.232→.240、OPS.673→.678、三振率32%→32%、四球率6%→7%とほとんど全ての面で伸び悩んだ1年であった。アプローチの改善が必要である。また、コンタクト力も悪いように感じたため、バットを軽くして操縦性を上げても良いだろう(しかし、持ち味のパンチ力が失われる可能性もあるため、バランスをどうするかが重要だろう。)

守備:外野の守備は見たことはないが、身体能力が高いためセンターを守れる素質はあると感じる。

素晴らしいポテンシャルを持ち合わせているが、年齢・昨年の成績の伸びを考えると今年も”2軍で多くの打席に立たせてじっくりと育成する”という選手ではないように思える。幸いにも1軍に走れる選手が少ないこと、近年終盤の代走が威力を発揮していることから代走兼守備固め、意外性のある代打として1軍に帯同して貢献してもらいたいと個人的には思う。そのためには昨年2軍で65%(15盗塁8盗塁死)である盗塁成功率を上げることが重要である。ルーキー年は1軍で4盗塁(失敗1)であったため、期待している。

0 中井大介選手

打撃:かかと重心になる癖が改善。その影響か対右投手打率(.212→.283)も改善。構えのグリップの位置とトップの位置を少し下げ、今までよりボールを線で捉えることを意識したように見えた。昨年は夏場に一時調子が落ちたが、すぐに持ち直した。19年は.266であった対左投手打率20年は.213に低迷。クロスファイアを多用する日本で逆方向を意識する(インコースを捨てる)アプローチは厳しくなってきたか。また、逆方向を意識し過ぎて詰まることもあり、パンチ力を発揮出来なかった。更に外野が全体的に右に寄るシフトも取られるようになってきた。センターを中心にそこから左右に打ち返すようなアプローチにしていきたい。ランナー有り時ではランナーを進めようと窮屈な打撃になってしまうため、もう少しシンプルな考えで打席に立っていきたい。

守備:安定感、特にスローイングの精度が大幅に改善。守備範囲も狭くなく、肩も強いため、ユーティリティプレイヤーとしての貢献度は非常に高い。

サブプレイヤーとして年々進化している。今年は田中俊太、牧らの加入で例年ほど安泰な立場ではないと思うが、必ず必要になる選手であると感じる。

1 桑原将志選手

打撃: ボールを線で捉えることを意識したスイングに変更。その影響で右方向にも長打が出るようになった。しかし、打球を上げることを意識し過ぎているのか左投手の食い込んでくるストレートに対してはファール・どん詰まりのフライ等打ち損じが目立ってしまった。練習試合の頃のように少し上から球を潰すイメージを持つと良いだろう。現状は右投手の方が打てるが、チーム編成的に左投手を打つことを求められているため、そこを何とかしたい。

守備:打球判断、守備範囲は素晴らしく見ていて驚くレベルである。是非、スタメンで見てみたい守備である。

打撃のスタイル変更は良いことで、目指している方向も合っていると思うが、チーム編成的に”対左投手の代打”で結果を出さないと厳しい。

2 J.ロペス選手

左投手の内角攻め、ストレート対応に苦しんだ。ロペス最大の持ち味である得点圏での軽打や犠牲フライ狙いも打ち損じ等で出来ない場面も目立った。終盤は好成績だったが、ファーストとして見ると打撃成績が厳しかった。

3 梶谷隆幸選手

昨年は逆方向への打撃を徹底した。それにも関わらず、長打力が落ちなかった。インコースにもツボがあり弱点が少ない打者になった。夏場以降は身体のキレがあり、盗塁数を稼いだ。センターも問題なくこなした。

4 伊藤裕季也選手

打撃:昨年は2軍で開幕から不振に陥った。その後、復調したが19年の成績と比べると、打率.241→.248、OPS.712→.703、IsoP(長打率−打率.).172→.122、四球率7%→10%、三振率20%→22%とトータルの成績では軒並み下がってしまった。しかし、1軍では少ない打席数ながら打率.286、OPS.804と一定の成績を残した。三振しないように追い込まれてからは引きつけていたが、引きつけ過ぎでファールゾーンにしか飛ばないように感じた。タイプ的にはフェアゾーンにも飛ぶようなアプローチをしたい。元々ストレートに非常に強い反面、変化球に脆かったが、アプローチの変更等で改善してきているように思える。また、インコースが苦手のため(?)ベースから離れて立っている。そのため、右投手、そして横の揺さぶりへの対応が鍵を握るだろう。

守備:チームでも上位に入る強肩が武器。昨年は守備範囲、捕球、球際の強さ等多くの面で良くなった。守備機会をあまり見たことがないため断言は出来ないが、打撃型セカンドとしては十分だろう。

打席での立ち位置的に右投手より、対左投手の方が良い成績が残せるように思える。ストレートへの強さは長所であるため、ここは失って欲しくないと感じる。今年はソトがファーストに回ることによってセカンドは流動的な起用になると思われるため、ある程度1軍で出場して欲しい。

5 倉本寿彦選手

打撃:引っ張り方向に強い打球を打つ長打路線からコンパクトに広角に打つ路線に戻し復調。長打路線を目指していたことで、甘い球は長打にすることも出来た。速いストレートに力負けすること、インコース捌きが苦手なこと、逃げる球の対応が上手いことから右投手より左投手の方が相性が良い。ただ、課題の速いストレート対応も140キロ後半までは対応出来るようになり、ストレート打率は.316と高い数字を残した。また、四球も増え一昨年まで通算で4%だった四球率は昨年7%に上昇。疲れてくると露骨に悪くなったため、スタミナ面が課題か。

守備:ここ数年で1番良いと感じた。他のショートと比べると守備範囲は少し狭いが、本人比では広くなり、その他のプレーも良かった。

ショート、サードだけでなく、セカンドも守れると本人にもチームにも大きいだろう。体の動きが逆なため、18年のコンバートは手応えなしに終わったようだがセカンドの守備自体は良かった。攻守共にスタミナ面が課題か。

6 森敬斗選手

打撃:昨年は207打席に立ち、打率.210、7盗塁、三振率23%と高卒1年目としては一定の成績を残した。1軍でビエイラの速球を逆方向のフェンスまで飛ばす等しっかりと強く振れている。キャンプ時と比べるシーズン終盤は打球に角度が付くようになった。今年は全ての面で成績を上げていって欲しい。

守備:広い守備範囲と強肩が武器。しかし11失策と確実性に課題が残った。9月、10月は失策数が減っているため、今年に期待したい。

トッププロスペクト。1軍では良い打撃を見せたものの対左投手を始めとした打撃、守備はまだまだ課題がある。2軍でしっかりと経験を積んで成長して欲しい。

8 神里和毅選手

打撃:キャリア初の打率3割台のフィニッシュ。序盤〜中盤はストレート対応に苦戦。その影響でストレート打率は19年の.260から.225に悪化した。また、3本塁打を打ったものの、”甘い球でも”やや詰まり単打になる等長打力も少し物足りないと感じた(詰まりながらもヒットにする技術は必要なため、詰まることを否定している訳ではありません)。一方で、対左投手では外角低めを追いかけ過ぎないアプローチを導入し、19年の打率.248、三振率32%から打率.315、三振率28%に改善した。また、外角の球に対してはちょこんと当てて逆方向にヒットを打つ技術を習得し、外角の打率も上昇した

守備:広い守備範囲と強肩が武器。しかし、球際に弱く、イメージが悪くなってしまいがちである。

昨年は盗塁成功率88%と上達。走れる選手が少ないだけに走塁面は期待したい。ハードな打球を打つタイプのため、足の速さの割には併殺が多い。今年は”ストレートを強く叩いて長打を打つ”ことを期待したい。

9 大和選手

打撃:休み休み起用したことにより、キャリアハイを達成。身体の回転で打つタイプのため、身体のキレが重要で疲れてくると不振に陥るタイプである。また、バットを寝かせた影響(?)で、外角へのバットの出し方、対応が良くなったように感じる。また長打も増え、4本塁打を記録した。インコースに長打のツボがある。ただ、左投手相手にはインコース、低めの対応に少し苦戦したか。

守備:思ったより守備範囲が狭くなりショートのレギュラーとしては少し苦しくなってきた。昨年はセカンドとしても起用され、滑らかで美しい守備を見せた。センターも守れるユーティリティ性があるため、このユーティリティ性を最大限活用していきたい。

打撃は不思議なタイプで意外性がある。守備はセカンドを中心に、柴田や倉本の調子を見ながらショートを守るのが良いか。また、神里の次に続く候補がいまいちだった場合はセンター起用も頭に入れると良いか。

10 戸柱恭孝選手

打撃:昨年はストレートに力負けする場面が減った。右投手のストレートに力負けし、フェンス前で失速すること、左投手の外角を上手く合わせてヒットに出来ることから近年は対左投手打率>対右投手打率になっていたが、昨年は逆転。ただ、打率は.212に終わってしまった。フライを上げて長打狙いという打撃スタイルであり、その結果、昨年の本塁打数、飛距離に繋がっていると思うが、打率を追い求めるならライナーを意識した方が良いだろう。また、ストレート一本狙いの時にストレートを一発で仕留められると良いだろう。

守備:昨年はスローイングの精度が良くなり、盗塁阻止率.352を記録した。肩は元々悪くないため、スローイングが安定してくれば高い数字を出せるだろう。シーズン序盤〜中盤はブロッキングに問題があったが終盤には改善。1年間良い状態を維持することが鍵。フレーミングも非常に安定しており、特にベースの一塁側と低めに強みを持つ。

打撃の内容は以前より良くなっている。確実性を上げていきたい。守備は1年間安定させたい。

23 T.オースティン選手

打撃:方向問わずスタンドにぶちこむ怪物。外国人にしてはリーチが短いため、外角スライダーに届かないという弱点があるが、リーチが長く、外角にも届くソトとタイプが違い良いバランスを取れている。インコースは得意ではないが、並の外国人選手よりかは上手い。高めもしっかり叩け、空振りはあまりしない。得点圏では、軽打を意識し、変化球にもついていける厄介さも持ち合わせる。力強さと柔らかさをしっかり両立出来ている。ストレートに強いが、一本狙いという極端なアプローチはしないこと、日本野球に適応するため変化球を意識したことにより、ストレート打率は.316と”イメージよりかは”高くない。場面によって極端なアプローチをしても良いと感じる。

守備:足が早く守備範囲は広い。肩は強いが、スローイング精度は良くなく、打球へのチャージも早くないため、進塁を許すことが多い。舐められ始めてるため、どこかで一回アウトにしたい。また、フライ処理が良くなく、あまり外野に慣れていないように感じた。どこかでフライ処理をミスる場面も出てくるのではないかと思う。

ダイビングした際や雨の試合の走塁で違和感を訴える等やや怪我しやすい体質ではある。日本の球場にも慣れてきたと思うため、昨年のようなフェンスに激突して1ヶ月以上戦線離脱ということはないだろう。100試合前後は出場してくれると思っている。

29 伊藤光選手

打撃:少し踏み込んで打つことから19年は真ん中〜外角の対応が良く、インコース、特に食い込んでくる左投手の球の軌道には苦戦した。しかし、昨年は外角を引っかける場面が目立ったと共に、内角〜真ん中はバットが内側から出て上手く対応出来るようになった。その結果、19年対右投手打率>対左投手打率だったのが昨年逆転した。DeNAには左投手を苦手な右打者が多いため、非常に助かる傾向である。内角を逆方向に打つ場面が目立ったが、引っ張り方向にも飛ぶと良いだろう。そのためにカウントが深くなる前に甘い球を捉えられるようにしたい。ただ、出塁率が高いのも武器なので、場面や投手を選びたい。

守備:スローイングに入る際の体勢を変えたが、盗塁阻止率の劇的な改善はせず。肩があまり強くないため、スローイング精度が鍵を握る。ブロッキングもやや不安定なところがある。フレーミングは意識しており年々改善している。どれも安定させることが重要か。

総合力では捕手の中で1番秀でてるのではないか。昨年は怪我に泣かされた。足の怪我のため、プレーにも影響が出ないようにゆっくりと治して欲しい。

31 柴田竜拓選手

打撃:序盤は良いスタートを切ったが夏頃から調子が落ちてしまった。また、この頃から対左投手への対応が悪化し、シーズン中は修正出来なかった。苦手である外角、そして速いストレートへの対応が鍵になるか。

守備:ショートセカンドの両ポジションを守りながら安定した守備を見せた。今年は層的にショートがメインになるだろう。スローイング精度が維持出来るかが鍵。

守備でチームを助ける職人。19年終盤から打撃でも存在感を示し始めたが、まだまだ課題は多い。それでも.266と高打率を残しているため、打撃にも期待している。

32 益子京右選手

打撃:シンプルなフォームから鋭いスイングを繰り出す。昨年はややフォームがガチャガチャしたが、許容範囲か。19年の成績と比べると打率.247→.220、四球率4%→16%、三振率26%→30%、IsoP(長打率-打率).078→.100と改善してるのもあれば悪化しているものもある。身体が少し大きくなり、スイングが強くなったことにより長打が増えたか。

守備:強肩が武器。山本と比べるとスローイングの精度等はまだまだだが、ポテンシャルはある。フレーミングは意識しているが、球に押される場面や不自然な場面が目立つ。

怪我等で2年間で2軍で60試合しか出ていないのが気になるところだ。今年は怪我なく1シーズン走り切り、多くの試合に出場し経験を積んで欲しい。

33 乙坂智選手

打撃:シーズン序盤はテイクバックの2度引きによりストレートの対応に苦しんだ。2度引きは終盤に解消されたが、ストレート対応はあまり改善されなかった(ストレート打率.205)。この影響で逆方向への打球が41.1%と最も多かった。一方、タイミングがぴったり合う半速球系には強さを見せた。(スライダー打率.333、カットボール打率.400、シュート・ツーシーム打率.333)。変化球マークアプローチに変更したと仮定しても三振率24%とまだまだ高い。また、変化球に待ちきれず、走りながら当てるだけという打席も多く見られる。変化球を溜めて打つか、上手くファールにして逃げていきたい。

守備:範囲は広くないが、範囲内は確実に捌くため(プロ入り後失策は2つのみ)、首脳陣から信頼されているか。両翼ならプラスを生み出せると感じるが、センターだとやや不安である。しかし、選手層的にセンター起用は仕方ないか。

代打は非常に難しい役割である。アプローチは選手によって異なるが、乙坂のタイプ的にはストレートをマークしながら変化球はファールで逃げる/何とか拾う方が合っているのではないか。代打歴も長いため、投手やカウントによって狙い球を変えてヤマを張っていっても良いだろう。

36 髙城俊人選手

打撃:昨年は3本塁打とキャリアハイの数字を残した。捻りを大きくし、バットを重くしたことで外ストレートに負けなくなった。その一方、内角は全く対応出来なかった。アプローチに関しては、良いものを見せていたが、それを意識し過ぎてボール球にも手を出すことが多かった。また、バットが重過ぎることで操縦性が悪く空振りが目立ってしまった(三振率48%)。シーズン後半は攻略されつつあったため、改善が必要だろう。バットの操縦性を上げることが第一か。

守備:ブロッキング技術が向上。肩自体は1軍捕手内で良いものを持っているものの、捕ってからの早さとスローイング精度に問題を抱え、盗塁阻止率は.143と低かった(ふぐすまのベイ好きおっちゃんさんのツイートを参考に、10月12日以降の出場試合はスポナビ野球速報で確認した)。また、非常に柔らかいキャッチング、そしてベースの一塁側の球は身体を動かしながら捕球するなどフレーミングに関しては良いものを持っているが、低めの変化球に対しては上から追いかけてしまっている。

打撃は確実性を追い求めて行きたい。守備はブロッキングという強みを維持しながら、盗塁阻止率をアップさせていきたい。山本など若手も育ってきている。非常に厳しいポジション争いになるだろう。

37 楠本泰史選手

打撃:ストレート打率.182と”速球”に苦しんだ。また、ベースに近づき踏み込むフォームにしているが、インコースに対応出来ずカウントを整えられている。三振率は24%と高いが、追い込まれてからはストレートは逆方向に(ファールで逃げ)、変化球をフェアゾーンに飛ばすアプローチを徹底しており、そんなに心配はしていない。追い込まれる割合が高いため、三振も増加していると推測する。インコースを含め、浅いカウントからしっかり捉えていきたい。バットコントロール、ゾーン内の変化球捌き、左投手への対応は元々良いものを持っている。近年は長打力もつけてきた。2軍成績は打率.365、OPS1.118と圧倒しているため今年が勝負だろう。

守備:少し背走に不安が残る。肩は完治し、非常に強い送球が出来ている。

ゾーン内の変化球対応が上手い・ストレート、インコースに弱いとタイプ的には倉本に似ている。違いは長打力とポジションか。右投手より左投手に当てても面白いのではないか。

38 山下幸輝選手

打撃:1ストライク毎にアプローチを変更する打者。0ストライク時はストレート狙いでフルスイング。1ストライク時はストレートと変化球両方対応出来るようなアプローチ。追い込まれたら、変化球を意識してコンタクトを重視するアプローチに。2ストライクアプローチでは、落ちる球も見逃すことが出来る等非常に有効であった。しかし、57%(46打席中26打席で)の打席結果が、追い込まれてから記録されたものであり、逆方向への打球が47%と非常に偏っている内容である。基本的に追い込まれると打率は下がり、打球方向が偏っているとシフトを敷かれてしまう。一振りで決める力、浅いカウントでは引っ張っていく打球を打っていきたい。

守備:全体的に改善はしたが、セカンドは信頼出来るほどではないだろう。サード、ファーストが合っているのではないだろうか。

低めにツボを持っており、小さい変化には非常に良い対応を見せる一方、コンタクトを重視し過ぎて大きく曲がる球を追いかけてしまい空振ってしまう傾向がある非常に面白いタイプの選手である。今年は新戦力の加入により、厳しい争いになると思うが、このようなタイプの打者は1人は欲しいため、頑張ってもらいたい。

39 嶺井博希選手

打撃:昨年は劇的に改善。左投手には打率.423と左キラーぶりを見せつけた。長年課題であった右投手相手にも打率.241と改善した(19年は打率.157)。左投手には少しクローズド気味に構え内外問わず打ち返した。タイミングがしっかり取れており、打ち損じが少なかったように感じる。右投手相手には引きつけて逆方向を意識したのか外角をヒットにすることが多かった

守備:強気に裏をかくリードが持ち味だが、昨年はこの部分があまり評価されなかったのか出番は減少。また、肩は強くないものの、スローイングの精度が向上し、盗塁阻止率は.500と素晴らしい数字を記録した(ふぐすまのベイ好きおっちゃんさんのツイートを参考に、10月12日以降の出場試合はスポナビ野球速報で確認した)。慣れ親しんだ投手と組んだ影響もあり、捕逸数は0と非常に安定した守備を見せていた印象がある。フレーミングは安定感はないが、好調な日は非常に素晴らしく、一場面のみ切り取ればチームNo.1だと感じる。

昨年は、捕手という特殊なポジションのため、代打の切り札という使い方をあまり出来なかった。監督が変わってどういう起用法になるかが楽しみである。打撃も守備もスタミナをつけて安定感を出せるようにしていきたい。

40 飛雄馬選手

昨年は2軍で好成績を残したが、構想外に。年フォームは年々シンプルになっていったが、硬さが取れなかった。

42 石川雄洋選手

昨年は2軍で打率.226、OPS.615に終わってしまった。しかし、19年には昇格直後に活躍するなど2軍成績はあまり関係ない選手に思える。ただ、昨年はサブメンバーがシーズン通して固まっていたこと、石川がセカンドのみしか守れないことから昇格はなかった。一度1軍で見たかったが、2軍成績しか判断要素がないため構想外になってしまったか。

44 佐野恵太選手

打撃:レギュラー1年目で首位打者を獲得。対左投手打率が19年.258から.333に上昇。一昨年は対左投手に対して窮屈で逆方向に詰まったような打球しか出なかったが、昨年はそれが見られず6本塁打を放った。また、今まで見たことないような軌道であるはずの左のサイドスローに対しても平然と対応。また、逆方向に鋭い打球も増えた。外角低め以外のコースは打率3割以上であり、特にインコースはどの高さも打率4割台を記録している。インコースの球を”ヒットにする”技術が上手く、少し詰まりながらのヒットがよく見られた。19年まではインコースは苦手にしていたため、ここの課題も克服したことになる。ストレート打率.346とストレートの強さも維持した。

守備:レギュラー1年目のため、課題が残った。特に背走とスローイングである。元捕手のため、肩、スローイング共に良い方だが、疲れが溜まってきた中盤以降はスローイングが乱れてしまった印象がある。筒香が在籍していた頃はライトで起用されていたこと、背走以外は破綻していないことから、レフトのみに固定するのではなく、ライトも試してみても良いのかもしれない。

打撃に驚かされた1年だった。少し得点圏打率が低くなってしまったが、意識的にはそんなに問題はないと感じる。不調になると打球が上がらなくなるため、その時は我慢が必要になるだろう。また、打球方向の偏りからシーズン終盤はシフトを敷かれることが多くなった。このシフトを破れなければ今年は少し厳しいか。

50 山本祐大選手

打撃:柔らかい打撃に力強さが加わった。昨年は身体が大きくなり長打力が大幅にアップした。バランスを失った影響か序盤は躓いたが(6月打率.000、7月打率.188)、その後は打ち続け、最終的には打率.274と1軍も視野に入る好成績を残した。19年と成績を比べると、打率は.255→.274、OPSは.642→.753、三振率は24%→14%、IsoP(長打率−打率)は.074→.153と大きく上昇した。四球率は7%→6%とダウンした。シーズン中盤は追い込まれてからノーステップ打法を試していたが、終盤になって元に戻したようだ。

守備:ブロッキングは序盤悪かったものの、中盤以降は良化したようだ。肩は非常に強く2軍では盗塁阻止率は.619捕球してから送球に移るまでが非常に早くスローイングの精度も上がってきた。フレーミングはミットを地面にスレスレの低めに構えそこから拾い上げる形を昨年から変更し、要求するコースにミットを構えるようになった。フレーミングのみを考えるのならば前の形の方が良いが、投手の的となるには現在の方が良いだろう。この変更の影響でややぎこちない部分も少しあったが問題ないと思われる。どのコースも丁寧に柔らかくキャッチングをしている印象だ。低めを捕球する時に身体の軸が浮くのが少し気になる点だ。

私が今年1番期待している選手である。一昨年の印象だと伊藤光のような巧打者タイプだと思っていたが、長打力がつきガラリと変わった。柔らかさと力強さのバランスを上手く取って欲しい。守備も問題ないだろう。あとは1軍で経験を積むのみだ。

51 宮﨑敏郎選手

打撃:2年ぶりの打率3割台フィニッシュ。12球団でも右打者で3割台フィニッシュは宮﨑(打率.301)と鈴木誠也(打率.300)しかいないようだ。昨年は右方向への打球が19年より増え、宮﨑らしさが少しだけ戻った1年だった(19年レフト方向50%、ライト方向28%20年レフト方向47%、ライト方向32%)。得点圏の場面でちょこんと当ててタイムリーを打つ場面も見られ、持ち味を発揮した。しかし、右手の故障の影響か右方向への打球の伸びがなくなってしまったような感じる(ライト方向への本塁打数、本塁打率は16年以降最低)。ランナー3塁時に狙ってフライを上げることが出来れば満点か。

守備:年齢と股関節の硬さによる構えの低さから守備範囲はかなり狭まってしまった。しかし、持ち味のハンドリングの良さで範囲内はカバーした。昨年は送球の精度が上がり、送球ミスが減り課題をしっかりとクリアしてきた。

年齢や怪我による衰えはあるが、出来ることはしっかりこなしていると感じる。今年も引き続きチームの核として活躍して欲しい。

52 細川成也選手

打撃:昨年は2軍で打率.318、13本塁打、OPS.995と好成績を残した。年々フォームがシンプルになっており1軍仕様になってきている。ストレート対応が良くなり、1軍では打率.300を記録した。また、インコースや高めの打ち損じも減ってきている。課題は変化球対応である。カットボール・スライダーの曲がり球、フォークの打率は.000となっている。特に右投手のスライダー、カットボールは全く見えてないように感じる。追い込まれるまでストレート一本狙いというアプローチは、上のレベルに行くために変えていきたい。そのためには1軍での経験が必要だろう。

守備:打球判断に問題がある。ここを改善していきたい。肩は非常に強い。

2軍での育成はほぼ終了し、1軍で起用し、戦力化している段階であると感じる。現状右投手対応が悪いため(対右投手打率.171、対左投手打率.375)、左投手相手に起用していきたい。

55 田部隼人選手

打撃:春キャンプ〜開幕までは体を大きく動かして前で捌く打撃をしていた。3本塁打と長打力を発揮したが、開幕後は体の動きを少し大人しめにし引きつけてコンタクトを意識するような打撃に変更した。その結果、打率.240と高卒1年目にしては高打率を記録した。しかし、長打率は.256(二塁打2本)と少し寂しい数字になってしまった。今年は長打力も発揮していきたい。

守備:強肩、広い守備範囲が武器サードを中心にセカンド、ショートも守った。しかし、失策が16個と少し多い。失策を減らしていきたい。

小さくなってしまうのはまだ早い。長打力とコンタクト力を両立できるバランスを見つけて欲しい。

57 東妻純平選手

打撃:2軍で69打席に立ち、打率.070、三振率41%とプロの壁に当たった1年目であった。その一方、四球率12%と選球眼はある程度あるようだ。開幕時は大きくヒッチをしていたが、タイミングが合わないためかシーズン中盤からヒッチしない形に変更した。フォームが固まった影響かフェニックスリーグでは何本かヒットを打っている。フェニックスリーグの動画を見るとトップを作るのが少し遅い点が気になるが、スイングは良いので今年は期待している。

守備:2軍での盗塁阻止率は分からないが、捕球してから投げるまでが早いと感じた。高校時代からこの部分は評価されていたようだ。肩は強い部類であると思うので、スローイングの精度を上げて盗塁阻止を武器にしていきたい。同記事でも取り上げられているフレーミングに関しては、プロの球についていけておらず、少しぎこちなく感じた。しかし、ベースの一塁側では身体を使ったフレーミングをするなど技術は取り入れている。プロの球に慣れてスムーズなフレーミングが出来るようになった時が非常に楽しみだ。ブロッキングも高卒1年目にしては平均以上ではないだろうか。

攻守に良いポテンシャルを持っているため期待している。今年はプロに慣れてある程度の数字を残して欲しい。

60 知野直人選手

打撃:昨年は2軍で258打席(チーム3位)に立った。19年の成績と比べると打率は.203→.237に、三振率は31%→22%に改善した。一方、四球率は10%→9%に、IsoP(長打率−打率)は.155→.114に下がった結果、OPSは.645から.660と伸び悩んだ。コンタクトを重視した影響なのだろうか。構え、フォームに関しては中盤までなるべくシンプルすることを心がけていたが、終盤は形に拘らず自分が打ちやすいようなフォームにしたようだ。フォーム的に攻められやすく、恐らく弱点であるインコースも徐々に捌けてきている。インコースが弱点の一方、真ん中寄りのインコース、真ん中〜インコース低めにツボを持っているように思える。タイプは全く異なるが、苦手・得意コースの持ち方はソトに似ている。全体的にもう一段階レベルアップし、今年は2軍で好成績を残して欲しい。

守備:高い身体能力を活かし、躍動するプレーは白崎を思い出す。守備範囲球際は問題ないと思われる。昨年は11失策してしまったため、これを減らすことが重要か。

1軍のショートの数が足りないため、知野が鍵である。今年の終盤には1軍に顔を出し、来年は1軍戦力になって欲しい。

61 蝦名達夫選手

打撃:広角に長打を放つ打撃が持ち味。2軍成績(128打席)は打率.280、6本塁打、OPS.954、三振率18%、四球率16%と1年目にしては好成績を残した。しかし、好不調の波が大きかったため、調子の波を小さくしたい。ランナー有り時では始動を早くするなど非常にスマートな選手である。右方向への打球が多いが、恐らく独特な感覚を持っているのだろう。バットが内から出てきているため、あまり心配はしていない。

守備:1軍でも守備機会がほとんどなかったため、分からない。

怪我が多かった1年であった。調子の波が大きい要因は様々あると思うが、手の動きが多いこともその一つではないだろうか。再現性を高めるかよりシンプルにしていきたい。

63 関根大気選手

打撃:打撃不振に陥った時期もあったが、2軍成績は打率.301、OPS.831としっかりと好成績に纏めてきた。その他も三振率12%、四球率17%と一定の成績を残している。今季はコンタクトを重視した影響でIsoP(長打率−打率)は19年の.210から.103に下がった。1軍に適応するためにスタイルを変更したのだろうか。数年前からフォームをシンプルにし、トップの位置を下げボールを線で捉えるようなスイングに変更しているが、1軍の壁に阻まれている。もう少し上から叩く意識があると良いか。

守備:守備範囲は広いが、エラーや球際に弱い印象がある。センターを守れる選手だと思うので今年は1軍のセンター争いに食い込んでいきたい。

序盤は怪我で離脱し、1軍のサブメンバーにも食い込めなかった。来年はサブメンバーの争いに食い込んでいくのは勿論のこと、レギュラー争いにも食い込んできて欲しい。

64 百瀬大騎選手

19年は夏場以降打撃が良くなったが、昨年は1年を通して打撃不振に陥った。

99 N.ソト選手

打撃:昨年はストレート対応とツボの消失に悩んだ1年だった。19年はストレート打率.283、20本塁打、31三振(185打席)に対して、昨年は打率.236、10本塁打、41三振(176打席)と下がった。また、全体の打席数は19年584打席→20年480打席と100打席程度下がっているため、ストレートで攻められる場面が増えたことになる(19年32%→20年37%)。その結果、成績が下がるという悪循環が生まれてしまった。ただ、150キロ以上であればタイミングを早くし、打てていたので修正は可能であろう。また、元々インコースが苦手であるが、少し甘く入ってきたインコース寄りの真ん中、インコース低めは非常に得意でホームランコースであった。しかし、昨年はそのコースでも打ち損じが目立ち”インコースを狙って投げておけばOK”という状態になってしまった(個人的にはインコース低めの打ち損じが目立ったと感じたが、データ的には真ん中とインコース真ん中であった)。

守備:セカンドについて、19年はソトの体型、走力、急造にしては守備範囲は広かったが、併殺処理やスローイングに問題があった(シーズン終盤には許容範囲に改善)。しかし昨年は守備範囲が非常に狭くなり、併殺処理、スローイング、そして送球の強さも19年以下の精度になってしまった。昨年の守備ではセカンドを守らせるのは厳しいだろう。
ファーストについて、昨年は18年にロペス離脱時に守った以来守ったが、全く問題はなかった。スローイングに不安を持つことから併殺処理は課題だが、守備範囲、捕球、スクープは非常に上手い。
ライトについて、内野を守った影響(?)で送球の強さがなくなる、守備に自信がない影響で後ろ気味に守る、走力の低さ、チーム方針(?)で右中間寄りに守る。以上の4つと相手チームに守備力の低さを見破られたことからかなりの進塁を許した。

日本の野球に適応しようとし過ぎたのか、変化球にタイミングを合わせることが多く、ストレート対応が疎かになってしまった。その一方、スライダーやカットボールを上手く拾う場面もあった(19年と比べるとスライダー、カットボール、カーブ打率は上昇した)。ストレートを右方向に返しつつ変化球にも対応する19年終盤のバランスが良かったと感じる。
昨年の不調は夏に腎盂腎炎を発症したことにより、力感や感覚が狂った可能性が考えられる。球団が3年契約をしたことからも昨年は身体の不調が不振の原因であり、復調は可能と判断したのだろう。
守備はユーティリティ性が武器だが、ファースト以外は良くない。佐野のライトを試しつつ、レフト/ファースト起用にする方が良いか。


108 F.デラロサ選手

打撃:春期キャンプでは長打力を発揮したものの、2軍では0本塁打に終わった。2軍成績(50打席)は打率.205、OPS.550、三振率36%と良い数字は残せなかったが、四球率は12%と一定の数字を確保した。シーズン中盤頃から追い込まれてからはすり足にしてコンタクトを重視しているようだ。しかし、しっくり来ていないのか10月は8打席で5三振という結果になっている(8月頃〜10月頃まで<?>左打席に専念したとの情報もあるため、左投手対応に苦しんだ可能性もある)。今年は三振を減らし、持ち前の長打力を発揮したい。(独立リーグに派遣された際の成績は分からないため、触れません)

守備: 内野どこでも守れるユーティリティプレイヤーとのことだったが、守備の拙さ(失策5)からか他選手の育成上の問題か分からないが、2軍では7割以上ファーストを守った。

攻守共に振るわなかった。まずは打撃で存在感を示していきたい。


おわりに

読みにくい部分もあったと思いますが、非常に長い文章を読んでいただきありがとうございました。

どうやら約1.6万字みたいです笑

執筆する前は投手編程のボリュームは難しいのではないかと思っていましたが、色々なことを書いていたらこのようなボリュームになってしまいました笑

今後も宜しくお願いします!!


参考サイト・記事・Twitterアカウント(敬称略)

・データで楽しむプロ野球 https://baseballdata.jp/

・Baseball LAB http://www.baseball-lab.jp/

・nf3-Baseball Data House-Inherited from NulData- http://nf3.sakura.ne.jp/index.html

・プロ野球データFreak https://baseball-data.com/

・NPB https://npb.jp/bis/2020/stats/lf_csp2_c.html

・土井麻由実 「山本祐大(横浜DeNAベイスターズ)、正捕手獲りへ向かってターニングポイントの年」 2020年1月7日11時45分配信 https://news.yahoo.co.jp/byline/doimayumi/20210107-00216342/

・日刊スポーツ 「智弁和歌山・東妻に目に見えない貢献度/サブロー氏」 2019年8月8日17時45分配信 https://www.nikkansports.com/baseball/highschool/news/201908080000609.html

・横浜DeNAベイスターズ(@ydb_yokohama)

・イレブンスポーツ(@ElevenSportsJP)

・スカパー!プロ野球(@sptv_baseball)

・Y⚾️M(@yuta_m89)

・ふぐすまのベイ好きおっちゃん(@DeNA_bay_stones)

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