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【組織論】"営業"と"技術"は永遠に相容れない?

こんにちは。ライフ/キャリアコンサルタントのazuです。

梅雨から徐々に夏の気配が色濃くなってきましたね。
先週は久々に日光に行ってきました。
大きな空、高い木々、近くにそびえる山々、透明な清流…  どれも日常では味わえない景色に癒されました✨

さて、今日はこれまで常々思っていた『営業vs技術』という構図についてお話したいと思います。

建設・施工業の技術者たち

以前にも書いた事がありますが、私は建設業や施工業を行う複数の会社に所属したことがあります。

(そのため、今回のテーマにある「技術」はIT分野や研究分野など様々な技術者の方々も入りますが、
登場人物としては建設・施工業での事例をメインに書いていきます。)

建設や施工というのは、調査・設計・土木工事・建設・電気工事・内装・通信工事 等、非常に様々な技術が必要となります。

そう、建設業や施工業は技術会社と呼んでも過言ではないですよね。

そこには沢山の技術者が携わっており、それぞれがプロフェッショナルに経験を活かして活躍しています。

特に土木や電気などは、経験年数がないと取れない資格が施工の必須条件になっていたりして、その人が居ないと受託出来ない状況にもなり得ます。

そうした環境から、技術会社は若い方から熟年の方まで幅広い年齢層の方が活躍しています。

建設・施工業の営業職

一方で、建設業・施工業の営業職も非常に過酷です。

会社や受託範囲にもよりますが、そもそも土地開発から始める案件であればより過酷な環境です。

日本という小さな島国で土地を確保してくる事がどれだけ大変か…
個人的には到底出来ない仕事だな、と思っています。

または、地域(建設)開発企画は別会社で、建設を委託する会社を探しているケースもあります。

そこに大手企業や色々なしがらみを超えて案件をとってくるのもかなり難易度が高い仕事でしょう。

もちろん、案件の規模は数日で終わるものから数年かかるものまで様々です。

しかし、案件を取得してくる営業のお仕事も日々厳しい戦いを繰り広げていると思います。

営業vs技術 の構図を実感した経験

1つの会社の中で、案件を取ってくる営業とモノを完成させる技術。

どちらもとても重要で、言わずもがな、どちらが欠けても会社は成り立ちません。

きれいごとではなく、私はどちらも心からリスペクトしてますし、少しでもバックアップ出来るよう尽力する事が最大の仕事です。
(人事・総務・経営管理機能は、そのような現場の方々を支える職種なので。)


しかし、この技術者営業マン

非常にぶつかる事が多いです。笑

そのような構図を何度も何度も見かけました。
そして、お互い"理解出来ないな" "その考え方は好きじゃないな" 程度であればこれに限った話ではないのでなんとかなるのですが、

ビックリするほどのケンカをしたり揉める事も多いのです!


ある通信会社ではこんな事がありました。

その会社では、施工が完了した後に通信サービスを提供していました。

技術職は、その設備の保守や技術的な運営を行い、
営業職は、通信サービスの運営や販売・顧客管理を行っていました。
しかし、思ったように契約数は伸びず、顧客からも品質に関するネガティブな声を頂いてしまうこともしばしば。

今後のサービス運営には両者の協力が必要な場面でした。
しかし、その協議の中で、ある技術者と営業担当者が言い合いになり激しく罵り合う事態が起きてしまいました。
お互いにサービス運営が上手くいかない事を相手のせいにしていたのが原因でした。

後日、私は両者に話を聞きました。

その時、技術者はこう言いました。
「あの人は何を言ってるのか分からない。全く理解出来ない。」

営業担当者はこう言いました。
「そもそも技術と営業では言語が違う。会話が成り立たないものなのだ。」

揉めた技術者と営業担当者は、互いに相手の言っている事が理解できないようでした。

"納得出来ない"ではなく、"理解出来ない"というところに、問題の根深さが受け取れます。


また、こんな事もありました。

私が営業担当者として業務を行っていた時期に、
対象サービスの技術的な仕組みや品質の詳細が知りたく、技術者の方に「教えて下さい。」とお願いしに行った事があります。

その時、当時の技術者はこのように返答しました。

「営業の方が技術の詳細を知って意味ありますか?
どんな品質だとしても、メリットを考え、お客様に売るのが仕事なんじゃないですか?」

その言葉に当時の私は衝撃を受けました。

しかし、そう考える技術者は多いでしょうし、だからと言って技術品質を怠っているのではないはずです。

そう考える本質は、
「どうせ理解出来ない(してもらえない)だろう」
という、おそらくこれまでの経験からくる発言だったのだと思います。

技術者と営業担当者は言語が違う?

先程書いたエピソードはほんの一部で、このような不穏な会話は日常茶飯事で起こっていました。

時にはぶつかり、時には業務を放棄する人が出たり、それを機に退職する人まで居ました。


その業界や職種が長いと、それを当たり前に感じている方も多いかもしれません。

確かに、技術の専門的な事を話しても、営業担当者は理解出来ない事も沢山あるかと思います。

逆に、数字に追われクレームを受けても、そしてどんな商品・品質だったとしてもお客様にお金を出させる営業の苦労は技術者には分からないこともあるかと思います。

しかし、問題の本質は別にあると私は思います。


それは、相手に合わせた話し方をするという、コミュニケーション能力の問題です。


こんなエピソードを紹介したいと思います。

私がまだ人事職を未経験で始めた頃、
当時は先進的だった"AIの博士"と呼ばれたAIエンジニアの方が外部顧問のような形で定期的に会社に来ていました。

その方とお話する機会があり、
自社でのAI活用についてお話を聞かせて頂いたのですが…

内容はそれなりに専門的なハズなのに、何故か素人の私にもスッと理解でき、
採用や人事異動・配属など自分の業務範囲へのイメージも次々と浮かんできました。

私は先生(と呼んでいた)に、
「素人で申し訳ないのですが、すごく分かりやすかったです!」 と伝えたところ、
先生はとても穏やかな笑顔でこう言いました。

「どんな方でも伝わるように話すのが、私の仕事でもありますから。」


たった数分の会話ですが、この記憶は非常に鮮明に覚えています。

シンプルで単純な事だけど、とても大切な事だと頭に刻んだからです。

職種は関係ない、"人"としての能力

あくまで個人的な見解ですが、

結論としては、
技術も営業も、職種は関係ない。
言語や立場が違う事が問題なのではない。

相手に理解してもらおうという、
"人"としてのコミュケーション能力の問題
だと私は思います。

一緒に仕事をしていく上で、
違う職種や未経験の方に理解してもらう必要があった時。
相手から質問があった時。
問題が発生し、力を合わせて課題を見つけ、解決しなければならない時。

自分の立場や専門知識ばかりを主張しても、相手は受け入れにくくなります。

むしろ、逆に責められているような気持ちにさえなり、同じように自分の正当性を主張します。

それは、言語や職種の違いではなく、人としての『感情』で話しているにすぎないのではないでしょうか。

それでは揉めてしまうのは当然です。


相手が理解出来る範囲の言葉を使い、分かりやすく説明する事。

自分の立場や正当性を主張するのではなく、
冷静に問題の本質を見極め、理論的な解決策を考える事。

そして、相手が受け入れやすい言葉を選択して伝える事。

これが、コミュニケーション能力です。


もちろん、かなり難易度は高いです。
私も頭では分かっていてもつい"売り言葉に買い言葉"を言ってしまったり、
言葉の選択を間違えて相手を怒らせてしまった事もあります。

仕事だけではなく、
家族や友達などプライベートも同じですよね。

それが分かったところで、全て平和になるかというとなかなか厳しいのが現実です。笑


しかし、自分の感情をコントロールする事は少なからず出来るかもしれません。

相手の感情をコントロールするよりは、まだ可能性があるはずです。


そして、最後に私はこう思っています。

たとえ完璧ではなくても、相手に理解してもらえるよう、受け入れてもらえるように言葉を選ぶと、その配慮は相手にも伝わります。

それだけでも、未然に人間関係のトラブルは防げる可能性があります。

きれいごとかもしれませんが、
誰もがそうして言葉選びを意識していく社会になったらいいなと思います。

ライフ/キャリアコンサルタントとして、どうやって生きていくのか、どうやって選択するのかを悩む方々へ…一緒に考え、少しだけ導ける活動をしていきます。 よろしければサポートよろしくお願いいたします!