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罪人~前編~

おとうさん、おかあさん、あなたたちのことを、こう、呼ばせてください。



 あなたたちが仲睦まじく結び合っている姿を見て、 わたしは地上におりる決心をしました。



 きっと、わたしの人生を豊かなものにしてくれると感じたからです。




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よくある話しですが、若かりし時、ある女性の恋愛相談に乗っているうちに、お互い慰め励まし合うように恋に落ちました。今考えれば、お互いの過去の傷の舐め合いをしていただけかもしれません。しかし、自暴自棄なときに人を愛することを思い出させてくれた彼女には本当に感謝しています。





そんな彼女を良く言えば純粋。悪く言えば、単純で騙されやすい。自分より他人の為に必死になる人だった。世の中では損するタイプ。しかし、いくら凹んでも無邪気に笑い飛ばす彼女の笑顔が大好きだった。




男運が悪く、何でも1人で抱え込む彼女を守ってやりたかった。男運が悪いから俺と出会ってしまったのかもしれないけど。



そんな彼女と付き合いだし、お互いいい年齢だったので、先々のことも当然考えていた。



『結婚は意外といいもんだぞ。』と誰かが言っていた。



『結婚なんて辞めろ。独身の方が楽だぞ』と誰か。



『結婚はしても、しなくても後悔するけど、1度ぐらい結婚しとけ』と誰か。



『家庭を持って1人前。結婚は勢いだぞ』と誰か。





色んな人が色んなアドバイスをくれた。




有難いことに僕本人より、周りの人達の方が盛り上がってわちゃわちゃしていた。





これが結婚する時の勢いなのか。



以前の彼女とは12年かけても感じれなかった。そんな空気感を楽しみながら、『これも、縁かな。』と腹も決まっていた。





しかし、彼女の笑顔は日に日に消えていった。態度もぎこちなくなり、会う頻度も会話も減った。




俺の気持ちが重すぎたのか?


周りのテンションに押し潰されたのか?


別に好きな人が出来たのか?





一人憶測で考えても仕方がない。彼女を呼び出し問い詰めることにした。


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