パチンコ屋という経験

corp-engr 情シスSlack(コーポレートエンジニア x 情シス) Advent Calendar 2019の2日目の記事です。

どうもbarusuです。知らない方は初めまして。
何かネタを書くのがAdbentCalenderなのですが、今回は技術ネタではなく
ポエムを投稿します。

パチンコ屋からIT業界へ転職して3年が経過しました。
情シスSlackのイベントなどのLTで自己紹介すると「異色の経歴!」と驚かれることが多いので、一筆したためてみました。

今回はパチンコ屋さんってどんなところ?とかパチンコ屋の業務経験がどう活きたのか?を掘り下げてご紹介できればと思います。

なんか色々書いたら長くなってしまいましたが読み物として最後までお付き合いいただければ幸いです。

1. 自己紹介

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 ▼職務経歴と内容
  パチンコ屋7年:本記事で説明します
  焼肉屋6ヶ月:割愛
  情シス3年(未経験入社)
  ▽1年目:1000人規模企業
   ヘルプデスク/保守/PCリプレースPJ/移転PJなど
  ▽2年目:複数企業
   業務効率化,インフラ保守,GAS構築,Gsuite導入,Salesforce管理者など
  ▽3年目:複数企業
   Salesforce開発,GAS構築,システム導入コンサルティングなど

2. パチンコ屋ってどんなところ?

▽労働環境
 世間一般的なイメージと比較するとこんな感じです。
 ○ 体育会系
 ○ 重たいドル箱の運搬が腰にクる
 △ 音が大きくて耳が痛くなる
 △ 客層が悪い
 △ タバコの匂いがする
 ☓ 可愛い子が多い

▽店舗で働いている人の層
 平均年齢:28歳くらい
 男女比:男7 : 女3

▽役職について
 ()内は店舗ごとの平均人数。大規模店舗ほど人数が多くなります。
  店長(1):35歳~
  副店長(2~4):30~40歳
  責任者(5~10):30~45歳
  責任者補佐(0~4):30~35歳
  正社員スタッフ(8~15):25~30歳
  アルバイトスタッフ(30~70):18~40歳
▽労働時間
 早番: 8:30 ~ 17:30
 遅番:15:30 ~ 23:30

▽求められる能力
 ★上司に気に入られる力
  ・素直さ
  ・忖度
  ・隠蔽能力
 ★部下に認められる力
  ・人当たりの良さ
  ・礼儀正しさ
  ・隠蔽能力
 ★言語能力
  ・簡潔に伝える力
  ・情報咀嚼力

3. 私がパチンコ屋で得た経験

大きく分けると以下の3つです。
 A.ホールマスターの経験
 B.実践的なセキュリティ対策
 C.鍛えられた心

3-A.ホールマスターの経験

音が大きいパチンコホールでは片耳につけた無線マイク(インカム)を使って情報連携をします。
何をするときでも必ずインカムの音声を聞いていることが求められ、複数のことに集中する能力が自然と身につきます。

ホールマスターとは

私が一番好きで誰よりも得意なのがホールマスターという業務でした。
業務イメージはLOLとかのRTS(リアルタイムストラテジー)ゲームに近いです。
限られた人的リソースを適切に配置しタイムテーブルごとの業務やイベントにおいて滞りなく対応し続けることを求められます。
私のいた店舗はとりわけ規模が大きく、30人がそれぞれの配置で仕事をするのでホールマスターの力量が業務効率に直結する環境でもありました。
グループ内でTOPの売上規模でしたし。

適切なホール運営をするためにホールマスターは様々な情報*1 を拾って、適切な指示を短い言葉でスタッフにわかりやすく伝える必要があります。

*1
ホールマスターがキャッチアップする情報
聴覚情報
▽インカムマイクから
 声:誰が喋ったのか、声色から疲労具合、テンパリ具合を察知する
 内容:これから何をするのか、何をしたのか、状況を把握する
▽店内放送から
 不正検出放送:作業報告のない台で検出がされていないか
 放送内容:エラー及び事故、犯罪被害に遭っていないか

視覚情報
 顧客:密集具合、不審な動きがないかを笑顔で観察する
 スタッフ:表情、動き方から怪我や体調不良等がないか、サボっていないかを把握する
 遊技台:不正器具はないか、不審な傷はないか、遊技台はきちんと閉まっているか、釘折れはないか

嗅覚情報
 ホール内:焦げ臭くないか、モーターの焼けるような金属の匂いはないか、タバコの煙の匂いはしないか

記憶情報
 配置  :スタッフの現在地
 指示内容:スタッフへの指示内容と進捗の確認

3-B.実践的なセキュリティ対策

パチンコ屋では「ゴト師」と呼ばれる、ITで言うところのクラッカーが出没します。
台に悪さをして、不正に大当たりを狙ったり外から玉を持ち込んで来たりする悪い輩です。

 ゴト被害に遭うとどうなるか
 1. 利益率が低下する
 2. 一般客への還元率(釘の甘さとか設定とか)を下げる
 3. 一般客の来店が遠のく
 4. 利益率が低下する
  → 以下悪循環
上記に加えゴト被害が多い店舗は警察から指導が入って罰せられることもあったりと、何も良いことがありません。
なので、パチンコ屋さんは色々な制約の中でできる限りの対策を講じます。
振る舞い検知、侵入検知、異常データ検知など、手段は違えど情報セキュリティでやっていることと本質は同じです(だと思っている)。

情報セキュリティと比較して守るべき対象と被害時のインパクトがわかりやすく、対策も即物的で、アルバイトの大学生でも40歳のおっさんでもわかるような行動に落とし込む必要があります。
この経験のあるなしで、セキュリティに対するイメージの明瞭性が異なるのかな?と思っています。
けど情報セキュリティはあまり詳しくないので勉強なう。

3-C.鍛えられた心

※ここだけでも3000字くらいになりそうだったので詳細は別のNoteに書きます。
以下トピックのみ。
・感情に流されにくくなった
  1. トラブルを楽しむ心
  2. 最高のやらかし
  3. やらかした後の動き方
・人間の本質を考えた
  1. 日常的な"悪意"
  2. 毎日2件は盗難事件が起きる環境
  3. 強盗の瞬間、人を殺すということ、殺到する出歯亀
  4. 大地震発生。それでもパチンコを打つ"狂った人"
  5. 募金はしないがパチンコは打つ人たち
・「現状維持」への恐怖
  1. 成長意欲をなくした人とその末路
  2. 流される人、利用する人
  3. 他人を貶める人の心理
・"人を育てる"ということ
  1. 人を見る目
  2. 内発的動機づけを引き起こすには
  3. 文字が書けない人,文字が読めない人
  4. "ひたむきさ"という才能
  5. 仕事への姿勢
  6. やる気は伝染る

最後に

"職業に貴賤はない"

僕の好きな言葉です。
パチンコ屋は世間の風当たりも強く、業務の一つ一つを挙げると単純作業に分類されるものです。
けれども、どんな作業でも仕事でも業務でも、何か意味があってやっていることに変わりはなく。
自ら考えて仕事することで積める経験ってものは必ずあります。

敢えて言うならば、貴賤は"仕事への姿勢"にあります。
真摯に向き合えばどんな職種/業務でも将来の糧になります。
無駄な経験は一つもないんです。
何を感じていますか?何を求めていますか?どうなりたいですか?
日々、自分が感じていることを捕まえてみてください。
それが経験につながっていくのだと、僕は信じています。


"もしもパチンコ屋でなく、はじめからIT業界で働いていたとしたら"
今のbarusuではない何かになっていたでしょうね。
それが良いのか、悪いのかは正直わかりません。

今のbarusuはパチンコ屋7年という経験もあって組成されたものです。
そんなbarusuを必要としてくださるお客様がいることに感謝しつつ、
新たな経験を求めてこれからも邁進していきたいと思います。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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