俺を引き上げた経営者Cの話
じゃあ、Cの話を書いていくぞ。
いつも通り飲みながらだから、適当だぞ。
ちなみにCの経歴は裏取りしたわけじゃねーから、本人から聞いた範囲だ。
Cは結構有名な大学に入ってたんだが、確か卒業してなかった気がする。
学生時代から夜の仕事で稼いでいて、就活とかも興味なかったみたいな。
大学はどこだか忘れたけど、東京じゃない。関西だ。
で、夜の仕事とか、当時流行っていたパーティーとかで金を稼いでいたが、これは長年できるものじゃないと思って、学生時代に起業した。
多分株式会社にしたのは大分後だって聞いたから、最初は個人だったんだろう。
そんで、学生にしては金を持ってるってんで、間借りみたいな形で飲食を始めた。
パーティーとか夜の仕事でコネクションがあったから、結構繁盛したらしい。
それと並行して昼間にはとある資格の勉強をしていた。特定になるから言わないが、数年後その資格を一応取ったらしいな。
その仕事してんのは見たことねーが。
しかもちょくちょく昼間の仕事もしていたって聞いたな。夜関係で知り合った金持ちの家事とか、子供の家庭教師とかやってたらしい。
で、飲食もそこそこで金もさらに溜まったから、自分も店を持とうと思ったらしい。
そこで東京に来たんだとさ。
C曰く、貧乏人から掠め取る金儲けは、一番リスクが高いらしい。
まーそういう思想は、俺も受け継いでいるかもしれない。
そんなわけで東京の金持ちが来そうなところに高級な飲食を出した。
Cは俺と違って明確に経営者を目指していたから、自分は経営に回って、最初から店を下に任せていたらしい。
店は上手く行っていたらしいが、事件が起こる。
みんなも分かるよな?
持ち逃げだ。
高級な飲食っつーのは、単価もバカ高いがその分原価も高い。
だからいきなり大儲けにならなくとも、当時の現金商売の中でそこそこデカい金が店にあって、それを、入って間もない野郎に持ち逃げされたらしい。
もちろん警察云々は対応するが、見つかるわけもなく諦めたってよ。
なんとかやりくりしようとしたが、関西時代から使っていた太い仕入先が卸してくれなくなって、Cの得意メニューみたいなのがいくつも潰れたらしい。
仕方なく代替品でごまかすが、金持ちってのはグルメだから、だんだん客足も離れていったらしい。
しかし俺がすげーと思うのは、それでも一応利益はあったらしいぞw
その理由は集客の仕方がミソで、当時Cが先駆者か二番煎じくらいだったらしい。もちろん詳しくは書けない。
ただ、集客に成功しても仕入れの可否でクオリティが左右されるのを懸念したCは、早々にその店を下に任せて別のビジネスを始めた。
ちなみにその下のやつにもあったことがあるが、めちゃくちゃイケメンだったw
詳しい経歴は知らねーが、芸能界と迷ってこっちを選んだんだとよ。
そんで、Cが新しく始めたのが、例の店舗型のビジネスな。
結果的にはここで大成功するわけだ。
ここで、Cの面白いストーリーを挟んでみようか。
Cは、俺の昔話に出てくるように、そしてさっきまで書いたように、要は肝が座っててかなりできるやつなんだよ。
でもCにも欠点があって、異常な酒癖と女癖の悪さだった。
流石に俺と出会ったころは、酒癖は常人の範囲内になっていたが、女癖は酷いも酷い。
俺ですらかなり引くレベルだった。
普通女癖が悪いって言っても、同時に何人かと付き合うとか、そういうレベルだろ?
そんなんじゃねーのよ。
例えば一緒に行ったキャバクラのアフターで、トイレでやっちまうとか、
酷いと飲み屋でトイレ行って帰ってこねーと思ったら店員とやってたこともあったし、
アフター明けの早朝、急に路地で女を襲い始めたりするわけ。
ただ、さらに爆笑なのは、相当テクニシャンなのか口説き文句が上手いのか、相手を一応選んでるのか、
ガチでキレられたり、訴えられたことはねーらしい。
俺が知らないだけかもしれないけど。
後、見てくれが良ければ誰彼構わず行くから、俺が囲ってた店の女とやられちまったこともあるな。
申し訳ないが、俺のために、その女とは俺から縁を切ったが。
だから、前にCはバルデスさんの師匠ですか?って聞かれたけどとんでもねーよ。
兄弟だわw
でも、すげーのは、それを隠さないことなんだよな。
さっきのキャバ嬢とやったときも、
「お前の女とやったぞ。あいつは誰にでも股を開くから、お前はやめておけ」って言われたもんなw
要約すれば、女関係は頭が狂っているということだ。
さて、話を戻すか。
Cが新しいビジネスを始めるときに、やはり資金が足りなかったらしい。
その時金を出したのが2人の経営者、というか資本家だな。こいつらが今後Cを振り回していくことになる。
Cが始めた業種は、一進一退だったらしい。
利益はちょろっと出るが、大儲けはできない。
その理由が店舗の拡大だった。
投資家たちは会社の知名度をガンガン上げて、店舗数も増やして、どこかで売り抜けたい。
つまり億単位やそれ以上を狙うわけだ。
しかしCとしたら目の前の数千万が喉から手が出るほど欲しいわけで、資本家たちの無理な拡大によるオペレーションの混乱や、キャッシュフローの逼迫にかなり反感を持っていたらしい。
そんなわけで、両者の対立は決定的になった。
しかし、Cが株のメジャーを取っていなかったせいで、好き勝手にはできない。
Cはこの下部の持分のことを話す時、いつも人生最大の汚点と言っていた。
俺から言わせれば、女関係でよっぽど逮捕レベルだと思うがな。まあいい。
Cは資本家に対抗するため、新たな仲間を探した。
仲間と言っても従業員じゃない。経営者とか資本家だ。
飲食で出会った社長を辿ったり、紹介を受けたりすることで、人脈を辿った。
俺はこういうことをしたことがないからわからないが、これって結構大変らしい。
信頼できるヤツでも金にはシビアだったり、金を持ってなかったり、逆にすぐに金を出したがるようなヤツは大体腹黒かったり。
世の中難しいよな。
それで、結局たどり着いたのが、とある社長たちの集まりであり、そこに俺がいた会社の社長もいたらしい。
グループ的には10人くらいの仲間で、飲み会をやると4〜5人集まる感じ。
業種は一見バラバラだが、何だかんだ取引があったり、あまり書けねーがグレーなこともしていたみたいだ。
Cがそこに入れたのは、Cも取引を持ちかけたからだ。何人かの社長にお得に商品を売るイメージだな。
それで気に入られて仲間うちに入った。
今でもそうだが、こういった起業家とか経営者って栄枯盛衰みたいなんが激しくてな。
集まりに来なくなって、調べたら地元に逃げ帰ったとか、借金取りに追われてるとか、そんな感じでメンバーもたまに入れ替わっていくらしい。
俺がCと出会ったときは、Cは集まりの中でも中堅くらいのポジションだったから、何人か消えた話は納得できた。
Cがその集まりの中で、2人の社長に目をつけた。
その1人が俺の社長で、もう1人が別の社長。
その2人は結構資産も持っていたし、投資には積極的だったんで、Cが話を持ちかけた。
簡単に言えば、今Cの会社に投資している資本家の株を買い取ろうということだ。
株ってのは当たり前だが、コンビニみてーにレジに行きゃあ買えるわけじゃねー。
ハードな交渉があったりする。
その辺をCは2人の社長と打合せ、作戦を立てていた。
そしてそこまでは良かった。
交渉のテーブルにつき、政治的動きやシナリオを巡らせる中、Cは当初の投資家2人を追い出すことに成功しかけていた。
この辺で学んだシナリオ力は俺のときもめちゃくちゃ活用してもらったな。
しかし、株の値段で多少こじれる中、妥結点となった株価は当初の想定をよりも高くなった。
とはいえ、Cを含む3人の予算というか、最大限出そうと思える金額には収まっていた。
それを覆したのがうちの社長だった。
要はケチったのか、チキったんだな。
それじゃあ買えない、みたいにゴネ出したらしい。
しかし後には引けない。
仕方なくうちの社長の分もCが出すことになって、契約は完了した。
当たり前だが、Cにはそこまでの金はなかった。
俺の昔話のときは、俺も借金していたことを書いたが、あくまで生活費の30万とか学費の100万だ。
が、今回は違う。
親戚を回って集めるとか、不可能な金額だからな。
仕方なく、Aは社長の集まりで金を借りたり、飲食から稼いだ金をかなりつぎ込んだり、もう1人の社長に予定より持分を増やしてもらうなどしてた。
これが、まー当たり前だが、結果的にCと俺のいた会社の社長の仲をギスギスさせる結果になったらしい。
あんまり悪口は言いたくないが、Cは良い意味で経営者っぽかったが、俺の社長は器が小さいと、後から感じた。
例えば社長仲間と飲んだ飲み会の領収書をワリカンしてるのに自分だけ持ち帰ったり、嫁や子供の服、愛人なんかへのプレゼントも経費にしていた。
これは後からわかったことだが、Cはその辺さっぱりしていて、もちろんいわゆる節税対策は普通にしていたのだが、ガンガン役員報酬もらって税金も大量に払い、自腹で知り合った若者やねーちゃんに奢ったりしていた。
まー、これは後付けの区別だから、俺がこれを出会った時点で見抜いていたわけではないことを補足しておく。
さて、そんなわけでCは目的通り、ほぼ文字通りの独立を果たした。
店舗数は限定して、1店舗あたりの利益を上げていった。
そして出た利益で似た業種へ事業を広げて、俺と出会うころにはいくつかの会社を束ねる人物になっていた。
俺と会った頃、これは後から聞いた話だが、Cの悩みは人材だった。
店長クラスは育成できても、それ以上の経営層とか、役員レベルのやつがCの周りにはいなかった。
俺は当時はCにビビりまくっていただけで、Cの会社の内情なんて気にもできなかったから、全然気づかなかったが、後から言われて確かにそうだった。
そういうこともあって、若手で良いヤツがいないか探していたらしい。
そして、片っ端から声をかけていたらしいw
つまり、俺は見抜かれたとかではなく、とりあえず声をかけられただけだった。
ちょっと悲しいw
Cの手のひらで踊っていただけだったんだ。
でも、そうやって俺とCは出会ったんだ。
俺と会ってから、一緒に組んで、俺のサポートをしてもらうまでは、Cに大きな変化はなかったと思う。
大きな変化はないと言っても、すでにCは十分成功、というか軌道に乗っていて、規模もどんどん拡大させて行ったみたいだ。
そして俺が自分の事業を前の会社に押し付けた後、俺と幹部は新しい会社を作るわけだが、実はそれと並行して、Cと一緒に新しい事業をやらせてもらった。
俺は自分の会社に手一杯だから、少しだけ株を持たせてもらって、手伝いとかアドバイスをしていた。
事業内容は全然専門外だから、経理とかの手伝いだな。
最終的にはその会社にもっと大きい資本が入りつつ、当時そこを経営していたメンバーも資本参加するって話になって、俺とCが持っている株は手放した。
その後、Cは俺と組んだり、別の社長と組んだり、色々やっていたが良い仲間として扱ってくれた。
元々は冗談で500万を1000万で返せなんて言われたけど、実際にはもっととんでもなく大量に俺が金を与えられた感じだな。
その後、Cは自分なりに節目の年齢を迎えたとかで本格的に隠居した。
俺のことを金持ちだと思っているやつがいるが、Cはもっと上だ。
ほとんどの資産を整理して今は隠居してるよ。
たまに飲みに行くけど、遊びより趣味に熱中しているみたいだな。
あと、気まぐれで若者に金を渡して面白いことをさせてるらしい。
詳しくはなぜか教えてくれない。
趣味も俺みたいな底辺ゲーマーではなく、高尚なもんをやってるよ。
その界隈で多少名前が出ることもあるらしいから、何かは伏せておく。
Cの話は以上だ。
次回は消えていったやつらの話をして書こうと思う。
最後におまけのメッセージだ。
やっぱり自分とCを比べると、どうしても勝てないものが多い。
端的に言えば教養だったり、意外な知識、勉強量、努力量。
こういったものは正直勝てないなと思う。
話していて思うのは、やっぱりこういう賢いやつは若い頃から勉強してるってことだ。
俺も昔話で書いたように、経理の勉強をすることで、自分の道が拓けたように感じたが、もっと若い頃から本を読んだり、実践的な経験をしている人間には到底及ばない。
とある機会に何人かの東大生に会ったことがある。
話を聞いて、こいつらクソ頭いいなと思ったが、それはお勉強という世界のものだ。
お勉強を否定する気は全くないし、むしろFラン出身の俺からしたら憧れも感じる。
しかしビジネスとか金儲けの世界で成功するには、お勉強だけでなく、より実践的な知識みたいなのが必要なんだと強く感じた。
もちろん、何をすればいいかわからないやつも多いと思うから、まずはみんなそれぞれ本屋とかアマゾンでたくさん知識を身につけろ。
そして、積極的に行動しろ。
自分の頭で考えろ。
他人に踊らされるな。
自分で自分を磨け。
終