30 出会い系の話【アイ編】
社会人になって1年目のとき、私は狂ったように出会い系アプリ(無料のやつ)にハマっていた。お互いが気に入ったらマッチして、メッセージのやり取りができるという、定番のものである。
身バレしたくないので顔を隠してプロフィール写真を設定する人が多いのだが、そんなことよりも彼女をつくることに必死だった私はブサメンにも関わらず、思い切り顔が分かる写真で勝負をしていた。そうすれば、「この人、後ろめたいことがない誠実な人だわ。素敵」と思ってもらえると信じていた。
相変わらず体育大学を卒業したばかりの脳筋な私は、とりあえず数打ち当たる作戦でアプリ内で誠実アピールに励んでいた。
だが、現実は私の顔面のように甘いものではなかった。
マッチしてメッセージはするものの私のトーク力が著しく乏しいのか、会うという前に相手から突然メッセージが既読無視されて終わる。
しかも、すぐに「会いたい」というとヤラシイと思ってなるべくその類の言葉使わないように徹底しているのに、趣味の話の段階で既読無視。
そんなに面白くなかったですか…私の過去のバレーボール自慢は…(察し)
とまぁ始めてから数週間は女性と会うことさえ許されず、相手は興味あるはずなのになぜか話しかけると興味を無くすことが出来る特殊能力に開花した私だったが、やっとの思いで1人の女性とLINEでやり取りができるようになった。
なんと、そのままの流れで彼女と会うことに。
大阪の梅田で待ち合わせすることになったので、到着して電話してみると電話をしながらキョロキョロしている女性が居た。
そして遂に、出会い系で人生初めての出会い。
「すみません。アイちゃんですか?」
「そうです!こんにちは!」
綺麗な方で身長が165センチくらいある。筆者は身長が170センチ丁度しかないので某プロゲーマーの発言によって男としての人権が危ぶまれていたところだったが、そんなことを気にしている場合ではないのでそのままカフェに。
他愛もない話をしてこれから良い友人関係、あわよくば恋愛感情を抱くのではないだろうかと思っていたのだが、話は急展開を迎える。
1時間ほど経ち、仕事の話から派生して将来の話をしていると…
アイ「私はいま投資しててー、色々教えてもらっているところなんです。良かったら一緒に話聞きませんか?私の知り合いの男性が丁寧に教えてくれますよ!彼にライン教えてもいいですか?」
アイちゃんはおっとりした話し方から一転、饒舌になり自分がしている投資について一方的に話しだした挙句、私と謎の投資男で構成された3人のグループラインを作ろうとし始めた。
その場では断れないチキンの私は、とりあえずノリ気の雰囲気だけ醸し出し、3人のグループラインに「よろしくお願い致します!」と一言送った。
もちろん投資を否定しているわけではない。少子高齢化による年金問題、将来の資産形成は今の20代にとって非常に大切なことであると思う。寧ろアイちゃんは私と違って意識も高く計画性もあって、素晴らしい若きホープだと思う。
でも出会い系で会った初日にする話かというと、違うと思うよアイちゃん。しかも知らない男を紹介されて将来の資産をそいつに任せるなんて正気の沙汰ではない。ある程度信頼関係が無いと乗っかることはない話だと思うのだが…アイちゃんはその男と一体全体どんな関係なんですかねぇ?!
まぁ、あくまで無料の出会い系アプリなのでこんなものだと自分に言い聞かせてその日は解散した。
私は有料の出会い系アプリに課金するか迷いながら、そっとアイちゃんと投資男のグループラインを退会し、2人をブロックした。
自分、クズだな…。
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