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第一回企画感想!

皆様こんにちは!創作物BAR【アトリエ】の零です!
まずは、第一回の企画にご参加いただいた方々、本当にありがとうございます。今回は、我々アトリエスタッフが書いた皆様の作品の感想をお届け。

ちなみに、今回アトリエスタッフも企画に参加しましたが、主に理由は二つあります。
一つはスタッフが感想を書く練習のため。もう一つは、スタッフが皆様に「こんな感じで参加してネ」というサンプルを提示するためです。
よければ作品と一緒にぜひご覧ください。
それでは早速、どうぞ!🥂



ザラニン 様 『夜と朝とバイト』

私もアルバイトの経験があるので共感できました。二十四時間営業のチェーン店ならともかく、朝勤に寝坊はかなりマズいです。何故なら、開店時刻に店が開けられない……なんて状況が起こり得るからです。だからこそ、前の日の晩は不安になり、余計に眠れなくなります。本作はその心理状況を上手く表していました。眠る前は細かい描写が多く、そのせいで主人公が不安から考えすぎる……要は上手く眠りにつけない状況を自然に描写しています。対照的に起きた後は改行が多く、視界から得られる情報を簡潔に細かく書き連ねる事で、無情にも訪れてしまった最悪の状況に困惑する主人公の心情を分かりやすく描写しています。話の展開は非常にシンプルですが、その分書き手のテクニックがよく現れている作品でした。

わこり


暇崎ルア 様 短歌

一目見て「新生活らしいな」と思える様な短歌。
「まだ慣れぬ業務」と、まだ就職したばかりで右も左も分からない様子が見えてきます。
「明日の自分に任せ」と言う表現から、主人公の楽観的な性格が見て取れますね。僕はどちらかというと真面目な方なのできっちり仕事を済ませるタイプかもしれません笑。
今日はもういいやー帰って寝ようかなーなんて思っているのかもしれないなーと考えると、主人公に可愛げが感じられました。
最後の場面では、イヤホンで音楽を聴き良い気分で帰路に着く、と言った流れ。
新しい環境で戸惑うようなことがあっても、ご機嫌に生きている主人公の愛嬌が素敵な短歌でした!


小野ショウ 様 『ドライシャンプー』

第一印象として、非常にユニークな書き方だな、と感じました。終始読者に語り掛けるような文章。珍しい書き方なので「どういう意図があるのかな~?」と読み始めたのですが、最後まで読み進めるとその意味が分かりました。本作は最初兄の視点で、途中弟の視点に切り替わります。互いに読者に語り掛けてくるので、弟の幼い物の考え方が余計に強調されます。これが話の根幹となり、兄弟の微笑ましいやり取りを鮮明に浮かび上がらせてくれるのです。本作の「新生活」要素はスマホデビュー。大学生や新社会人を取り上げた作品が多かった中、面白い着眼点だな、と思いました。

わこり


若椿柳阿 様 『君となら』

淡々としたトーンで語られる、ある一人の男の小説。
前半の彼女との幸せいっぱいな新生活から一変、後半では彼女と別れてしまった後で、男が一人暮らしている場面に切り替わります。反転する雰囲気の落差がかなり印象的でした。
 高校卒業後に勢い任せで同棲を始めた主人公と彼女は結局うまく行かず別れてしまう。そんなところが作品に生々しいリアリティを持たせていて、そのリアリティが作品全体に効果的に働いている印象を受けました。
リアル故に主人公へ共感ができるのですが、それが後半になった途端に辛さとして返ってくる、という大きく感情を揺さぶる構成には見えない技術を感じました。
耐え難い経験も、人生の大切な一ページ。そんな一文が浮かび上がってくる小説でした!


一文字零 短歌

本作を見て一番最初に思ったのは「トモコレ懐かし~!」ですね。私は実際にやった事ありませんが、友達が隣でやっているのを見ていました。
本作の面白い部分はここです。「新生活」という題に対し、あえて懐かしさを感じさせられる内容にしている。ある意味、新生活と言えばの新鮮味とは真逆の感情です。とはいえ新生活とまったくの無関係ではなく、「ダンボールだらけの部屋」という言葉で「引っ越しの荷造り中なのかな?」なんて想像させてくれる……。
【アトリエ】のお題はあくまで掠っていればオッケー。お題への寛容さを上手く利用した技ありの作品だと感じました。

わこり


わこり 『幽良物件』

ホラーのショートショート。
大学進学を機に上京して来た主人公が、アパートで怪異に遭遇するというストーリー。
ショートショートの文字数の少なさを活かした素早いテンポ感で物語に引き込まれました。
話が進むにつれどんどん変化していく部屋、得体の知れない何かに翻弄される感覚は正にホラー。
ラストで無愛想な大家さんと幽霊の関係性が示唆されましたが、もしやこのアパートそのものが怪異なのか?とも思わせる表現は想像が膨らんで個人的にも好きな展開でした。
自分はまだ引っ越しの経験がないのですが、事故物件は気分的に住むのを躊躇ってしまうタイプかもしれません。安いって怖い。
王道でサクッと楽しめるホラー小説でした!


一文字零 百四十字

「新生活」はかなり生活感溢れるお題です。本作も例に漏れず、新生活に向けて引っ越しの準備をしているよう。しかし流れが変わったのは「私たちは大学生とは違うのよ」という女の一言。実は、新生活の舞台は火星でした……。
百四十字小説の一番難しい部分はオチです。オチで何か読者に印象付ける必要があるのですが、その点本作は上手くできています。最初は何気ない会話。「新生活」という題に対して、ほとんど捻りの無い内容だと言えるでしょう。だからこそ、「こちら火星。」からの流れが奇麗にオチとしてはまるのです。
百四十字という少ない字数制限の中、上手く前振りを利かせている面白い作品でした。

わこり


わこり 小説の冒頭

学園×ホラー?な小説の冒頭部分。
読み始めはごく普通の新学期で主人公は新しい環境に胸を躍らせているような場面を想像させるのですが、後半部分で、実は主人公は死んでいた、という返しがあります。
小説のつかみの部分だけを抽出して、とにかく読んでいる人に衝撃を与える、ということを重視している印象。これから一体どんな展開を見せるのか、とても気になって想像が膨らむ終わり方でした。
この物語の続きとして様々な可能性が考えられそうですよね。例えば亡霊の主人公の視点から自分の死因の謎を解き明かすミステリーもの、とか。これはなんかどっかで見たことのある展開ですが。
無限大の可能性がある想像が膨らむ小説の冒頭でした!



ご参加ありがとうございました!

第一回目の企画、感想は以上になります。
今回初めての企画ということでしたが、同じテーマでもそれぞれ違うジャンルで、皆様一人一人の個性が溢れているなと感じました。
改めて、皆様のご参加、ありがとうございました!🥂
次回の企画もお楽しみに!それでは!



第一回の企画、どうだったでしょうか。今回の反省点としては、新作をテーマに沿って書く、という参加のハードルの高さがあった点。次回はもっと皆様が参加しやすい条件での開催を目指していきたいと思います!(筆者:零より)

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