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花を咲かせるまでと、それから(後編)

後編です。前編ではナナシスライフを謳歌していましたが、ここからは苦しさも感じるようになっていきます。正直なところ、思い出しながら書いてる今でも苦しいです。ひとまず、2019年まで書いていきます。

1.~3rdライブと、疎外感と~

2017年がやってきました。この年の大きな出来事はといえば、まずなにより3rdライブが挙げられるでしょう。

なにがあったかを語る前に、当時のデビュー状況についてまとめたいと思います。
この記事をご覧になられているほとんどの方には既知のことと思われますが、ナナシスというのはユニットとしてデビューすることとデビューソングを貰えることがセットになっています。当然、ユニットとしてデビュー出来ていないアイドルには曲はないわけで、ライブにも来れないわけですが、当時、このライブに来れないアイドル達は19人いました。

主人公たちの事務所、ナナスタのアイドルが全員で38人で、その半分が歌えなかったわけです。自分の推し、夜舞サヲリもこの歌えないアイドルに該当していました。

当然、次は推しがユニットとしてデビューすることを願います。2ndで最高のライブを見せられたので、あれに推しもいたら、と思うのは自然なことですし、レスカ、QOPという2ユニットが先にデビューした以上、推しがいるにせよいないにせよ、それに続くユニットが出て残り半数のアイドル達も歌う、と考えるのは無理もないことでした。

そして、デビューの告知として最有力視されていた場として、3rdライブが挙がります。この時点で、ライブそのものと同じくらいに告知への期待を寄せていました。当日も、意気揚々と山手線と京葉線を乗り継いで現地入りして、誰がデビューするか楽しみだと会場近くで支配人たちと語り合ったことを覚えています。

結局、デビューの話はまったく出ませんでした。

土曜夜の公演でまったく告知に出なかったときは、まだライブそのものを楽しむ余裕がありました。なんせ日曜に昼と夜の2公演が控えていますから、そこで出るだろうとタカを括っていたわけです。

しかし日曜昼の公演が終わり、まったくそういった告知の話が出てこなかった時点で、うっすら嫌な予感がしました。それでも最後の望みをかけて、急いでフォロワーから安くチケットを譲ってもらって、日曜夜の最終公演に飛び込みます。

主役級ユニット777のニューシングルだとか、ライバルユニット4Uのワンマンライブだとか、武道館ライブだとか、コンテンツそのものの特報はあっても、いよいよデビューの告知はないまま、3rdライブは終わりました。

勝手に期待して、勝手に裏切られた気分になった、といえばそれまでですし、実際に当時の自分はナナシスというものに、過大な期待をしていたのかもしれません。

他の大手のコンテンツがデビューもそれ以外も進めまくることが出来るのに対して、デビューかそれ以外のどちらかしか出来ないのがナナシスという規模のコンテンツなのだ、と現在の自分なら理解できます。が、当時の自分はナナシスというものに対して、一種の万能感をもっていたので、その失望も大きかったのでしょう。

そうして沈んだ期待の代わりに浮かんできたのが、嫉妬と羨望という暗い感情です。

推しが足踏みしている横で、他のアイドルは新譜が出たりワンマンライブをやったりしている。なぜ、推しはここで止まっているんだろう……? 当時の自分が抱えていた気持ちを言語化するなら、こういった感じだと思います。

そしてなにより辛かったのが、まだ半分も歌えていないアイドル達がいるのに、それを無視して進むような公式の姿勢でした。

実をいうと、夏に777以外のアイドル達が出てこなかった時期があったり、777以降のアイドル達のスカウトについては省かれていたりと、今までも少しだけ格差について感じ取ってはいました。

それが、3rdでなにも動かなかったことで、公式は格差を是正する気がない、と明確な方向性をもった確信になった、ということだと思います。

自分は、格差を是正しようとする意思を感じない公式は等しく嫌いです。実際にどうだったかはさておき、当時の自分には「半分も歌っていないのにそれを放置して他の供給をする公式」と映ったのは確かです。

そうして、公式が嫌いになって、もうデビューしている推しをもった支配人が羨ましくて、悔しい、そんな沈み込む日々がしばらく続きました。

また、前述したことに比べれば些細なことですが、ゲームそのものの大型アップデートも追い打ちになりました。

慣れ親しんだ2レーンから7レーンへ、転換をさせられたわけですが、前編の冒頭で書いたように音ゲーの腕はまったく上がらずじまいでしたから、本格的なリズムゲーに近づけられて追いつけるハズもなく、率直に言って楽しくなかったです。

この年における唯一の好材料といえば、自分が主催となって推しの合同誌を出せたことくらいでしょうか。あとはまあ、推しの供給がそこそこあったことが、慰めになりました。

2.~4Uワンマンと4thディレビュ~

完全に負の感情に呑まれているときというのは、大抵の場合、視野が狭くなっています。嫌なところしか目に入らなくなるし、楽しむどころか悪循環にしかならないし、当然のことですが、そんななかで制作側のメッセージ性だとかを読み取る余裕などあるはずもないですね。

自分の場合、2017年から2018年はモロにこれに当てはまって、その時期の新譜なんかは未だによく聴き込むことが出来ていないのでメッセージ性も理解できていないし、人より遅れていると自覚しています。

そんな時期で唯一楽しかったナナシスの出来事は、4Uワンマンでした。

この4Uワンマン、さっきは槍玉に挙げておいて手のひら返しとはどういう了見だ、と思われる方もいらっしゃるかもしれないのですが、まさにその通りですね。

ただ、弁明させていただくと、元々行く気はなかったんですよね。フォロワーに誘われたから、まあ、新譜の履修は出来てないけど、せっかくだし行こうかな、と思い立ったわけです。

ライバルユニット4Uのワンマンライブということで、デビューの告知だとかはないだろう、と気張らず行ったわけですが、それも良かったのでしょうかね。とっても楽しかったです。

あとこれは本筋から脱線している話かもしれないのですが、フォロワーの4U推しが大好きな曲の「Lucky☆Lucky」を2回もやられて跳ねまくって過呼吸になっていたんですけど、そういうのを見て、心底楽しむっていいな、って、心を洗われた気持ちになりましたね。

ではそういう心底楽しむ姿勢をすぐこちらも取り入れられたかというと、そう簡単にはいきませんでした。

楽しめなかった原因は2つあって、供給とメモリアルライブがそれでした。

ひとつめの供給というのは、夜舞サヲリの供給なのですが、サヲリは毎年、3回から4回はガチャやイベントが来ていたんです。それが2018年は、1回だけでした。

https://gamp.ameblo.jp/369756/entry-12421261857.html?__twitter_impression=true

詳しくは上のリンクの年表を読んでもらうとして、1年前は供給が来るたびに楽しんで気分を変えてこれたんですが、2018年はそうもいかず、じわじわとツラくなってきました。

そしてふたつめのメモリアルライブ、これは「推しが出ていないのになにがメモリアルだよ」と今でこそ冗談として言っていますが、当時は真面目にそう思っていましたね。メモリアルという名前と、武道館という場所のふたつに抵抗を感じた、といった感じです。

今後、ナナシスがまた武道館でライブをやれるかはわかりません。が、二度目がないのなら、推しが武道館のステージを踏めなかったのは、少しだけ残念です。

そういうこともあって、4thライブは行きませんでした。

3rdライブの頃の半数がデビューしていない事態からは改善されて、シトラスやキャスケッツもデビューしたのであと少し待てば推しもデビューしそうという希望はあったのですが、特報のためにライブに行く、というのに疲れてしまいました。

そうして久々に現場にいないライブ当日を家で過ごしていたんですけど、ライブが終わってから、「サヲリちゃんデビューおめでとう!」ってちょいちょいリプ貰ったんですよね。

いやいや、人を担ぐのも大概にしなさい、とスルーしようとしたんですけども、彼らの話を聞くと、自分が現場にいないと本当に知らなかったらしくて、もしや……? となったわけです。

そこへ来たディレイビューイングの告知。自分の目で確かめるチャンスが来たのだから、行くしかない、と早速チケットを買いました。で、実際見て、推しだったかといえば……。

よくわからなかったです……

ステージのディスプレイでシルエットを一瞬だけ表示されるんですよ。それでメンバーが7人だから、7人をすぐに見分けなきゃいけない。しかも髪型を変えたりもしてくるし、それをシルエットだけで解読しろってよく考えなくても無茶で、誰得だとなるわけですよ。

そんなわけで確証のないまま、モヤモヤを抱えて正式な告知の年明けまで待たされることとなりました。

3.~ずっと冬の間 夢見たよなシチュエイションなの~

七花少女(ナナバナオトメ)。ナナシスらしい難読なネーミングだな、と支配人の多くが感じたことと思います。夜舞サヲリはこのユニットのメンバーとして、2019年に正式にデビューが告知されました。

このデビューを楽しみにしていたかというと、そうは言い切れません。

ここまでで意にそぐわぬ推しのデビューを見せられて去っていった支配人を多く見てきていたので、そういうデビューをさせられるよりは、カードの1枚でも供給を貰った方がいい、という気持ちにさせられたこともありました。

ではこの七花のデビュー、サヲリ推しとして満足できたかといえば、大満足でした。

https://youtu.be/5Sw6nBWkxRg

デビューシナリオそのものは話数も多く、それぞれの来歴を踏まえた筋書きとなっていたし、曲も含めて、ここまで待ったからこれが出来た、という意味を包んだものとなっていました。

これ、4クールの映像作品なんかでありがちな、「積み重ねで殴る」っていうやつですね。

ナナシスを5年やって最近ようやく気づいたんですけども、このコンテンツにおいては、制作側は本音を伺わせる表現をしばしば取り入れるんですよね。4.0のAXiSの会話だったり、最近は0.7の例え話なんかも裏事情の匂わせなんじゃないか、と噂されていますね。

そういう制作が出してきた新ユニットが、「待ち続けてやっと花開いた」って文脈をもっているということは、内部側の人も待たせてきたって意識があった、ということなんですよ。

正直、そこだけでも救われました。

今でも公式は好きじゃないです。嫌いでもないですが。

でも、そうやって通じた気持ちになれたのは、悪い気分じゃなかったです。

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これはちょっと笑っちゃったけど。

4.~そして5thへ~

5thライブの副題、SEASON OF LOVE、愛の季節、いい響きですね。

後に公式で別の文脈を追加されたりもしましたが、自分から言わせてもらえば、この愛の季節は夏ですね。

レスカが2ndライブで初めて立ち、そしてメンバーが入れ替わり、5thライブで再び初めて立つ夏のエモさは愛の季節と呼ぶのにピッタリです。もちろん、待ち焦がれた推しもとい七花少女が初めて立つこの夏っていうのも、愛の季節と呼ぶに相応しいんですけどもね。

そんな5thライブ、自分は楽しんだかといえば、もう存分に楽しみ尽くしました。終演後2-3日は動けないくらいに。心底楽しむとはこういうことか、とよくわかりましたし、4Uワンマンで見てきたからこうも動けた、と思います。

空腹は最高の調味料、とはよく言います。供給もなく餓死しかけた身からすれば呑気なことだ、と思いますが、この5thライブのように待たされ続けたからこそ楽しみ尽くせたというものもあります。

ただまあ、二度とあんな思いはしたくないですね。

5.~おわりに~

こういった趣味って本来は癒やしを求めたり満足するためのものと思うのですが、自分の5年やってきたことって、少なくない期間がゴールの見えないマラソンだったのかもしれないと、今回まとめながら感じました。

デビューというゴールを見たいがために走り続けてきたのですが、これはつまりいつ終わるかわからないから、ペースをどうすればいいか知りようがないんです。

で、自分は「途中で消えて負けたくない」と意地を張って走り抜いたんです。意地で趣味を続けるってよく考えたらおかしいんですが、そんな道理も通じないくらいまで進んでしまうことって、やっぱりありますよね。まあ結果的にはそうして良かったと思っています。なにはともあれゴールできましたし、終わり良ければなんとやらです。二度と走りたくないですけど。

しかし、今も終わらないマラソンを続けている人々はこのナナシスにまだいます。

今回記した自分の体験談はファン全体としては少数に入るものと自負していますし、実感が沸かないという人もいるかもしれません。ただ、今この瞬間も同じような体験をしているファンが同じコンテンツに存在していて、格差があるのだ、と理解していただければ、幸いです。未デビューをモブと言われていた頃を知っている人間からすれば、そういった理解がファン同士の居心地を良くする、と実感できるからです。

ここまでご拝読いただきありがとうございました。

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