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2期前の唐可可をまとめてみた〜part.1〜

※アニメ1期、歌詞、LLD、リエスペのネタバレ含んだ個人解釈込みの文です

1.はじめに

唐可可がいなければLiella!というグループは生まれなかった、という点で異論を挟もうとする方はおられないと思う。
アニメ1期では1話から八面六臂の活躍を見せ、3話ではLiella!のひな形となるクーカーを生み、10話ではメンバーで唯一活躍の場がなかった平安名すみれを奮起させていたことからも、可可は裏の主役と言って相違ない存在と言える。

そんな可可は、アニメ2期においても台風の目となる、という見方がよくなされる。
2期からゼロスタートの1年生組4人はともかく、それまでの1年間でかなりの量となる描写を重ねている可可は、現時点で振り返ることが必要である、と考え、今回このようにまとめることとした。

2.唐可可の構成要素

1.アニメ1期

ここでは、12話のうち可可の要素として重要そうな描写を抜粋する(1-3話を他の話の十倍は見ているので印象に偏りがあるかもしれない)。

・1話

「スクールアイドルを始めてみませんか〜!?」

1話の可可について、『澁谷かのんを追いかけ回す変な子』という印象を持つのは、間違いではない(後述するが、可可自身「あのときは焦っていた」と振り返っているので、本人からしても走りすぎた行動だったのだろう)。

しかし、個人的にそれより注目してほしいと思うのは、路地でかのんが歌っていて、可可が惚れたキッカケの「ほんのちょっぴり」についてである。
物理版のサントラを買った方ならわかる話であるが、この曲は2バージョンあり、それぞれ1話冒頭のアコギver、そして可可と“事故”を起こしたオーケストラverとなっている。

客観的に見れば、後者のほうが豪華な演出と言える。ではその差はどこから来るのか。両者のシチュエーションは様々な違いを持っているが、最も異なる点は曲の聞き手と言えるかもしれない。
すなわち、1話冒頭で同級生たちが聴いたそれと、その後に可可が聴いた歌自体はさほど変わらず、受け取る側の相性のようなもので深く刺さるかどうかが決まっていた、という話になる。
受け手によって曲が化ける話は突飛なものではなく、スパスタの前作である虹ヶ咲のライブシーンにおいても同じような理屈で演出の説明がなされていた(侑がせつ菜のライブを初めて見たシーン)。

ここで言いたいことは、可可は人一倍、心の底から澁谷かのんの歌声に惚れ込み(つまり一目惚れ)、その結果として生まれたのが「スバラシイコエノヒト」という呼び方であり、そうして狂った結果としてその後の行動へと繋がったということである(狂ってるオタクを見るのは楽しいから可可を見るのは楽しいんだ)。

その後、去ろうとして踏みとどまり、可可と自分の夢に応えようと歌ったかのんに歌声以外でも惚れたのは言うまでもない(他にも家に招いてからのくだりもあるんだけどね)。

・2話

「スクールアイドルに一番大切なのは、気持ちデスので!」

可可が根性で立っているキャラクターであると初めてわかるのが、この2話となる。
言うまでもないことではあるが、ラブライブ!というシリーズは初期からスポ根ものとしての色が濃い作品であった。それ故に、この根性を柱とする可可というキャラへ、初期からの血筋を感じるのも自然な話ではある。

この2話において人となりを語られる可可は主役と言って良い、というのはエンドカードに抜擢されている点からも裏付けられているといえる。
しかし、2話という存在が3話への溜め回と言えるように、可可の真に迫った心情は主役と言える割にこの回ではあまり示されない(まあ10話が来るまで本心はわからんと言えばそれまでだけど)。
そんな2話における直接的に言葉にされない心情の最たるものは、パンダの寝袋から起きて走り込みを始め、かのんと出会う一連の流れに存在している。

かのんがTiny starsをようやく完成させ、窓を開けて見つけた可可に走って追いつくシーンで、可可がかのんを見つけた途端に明るい表情へ変わる。この変化の意味は、2ndライブで正解が出された。

そしてこのシーンの意味を全て明かすには、3話へ行く他ない。

・3話

「でも、全然後悔してないんだ」「だって…」

この回の冒頭から、かのんは再び歌えなくなる。しかしフェスの本番は迫っており、仲間の用意してくれた打開策はことごとく失敗し、なおかつ以前(1話)歌えたときもそれを最初からしっかり見ていたのは可可1人だけという、あらゆる面で心細くさせられる状況となっていた。
そんなかのんへ可可は言う。確かに私はかのんが歌う瞬間を見ていた。それに、歌えなかったとしても、代わりに私1人で歌うから、かのんは隣に立っていてくれればいい、と。
この言葉にはかのん本人だけでなく、その場にいた嵐千砂都も困惑している。なぜそこまでして一緒のステージに立ちたがるのか?とここで思うのは自然な話だろう(かのんと千砂都の困惑は実は少しベクトルが違うのだけれど)。
そこからかのんは、ここまで舞台を整えてくれたことへの申し訳なさを募らせてゆく。そして、ここで動いたのが嵐千砂都である。

この回の千砂都は、困惑した直後から可可の言うとおりに場を持っていこうとしているあたり、何故そこまで可可が頑張るかという動機をある程度は見抜いていたのかもしれない(鋭敏さは幼馴染のかのんにのみ向けられているものではないということ)。
そして千砂都は、2人で話すことも大事だと仕向けて、自分はその場をあとにする。ここで可可の誘いを振り切って去ったことが本人にとって後悔を生むことになるし、可可とかのんが成功するキッカケにもなるのだが、これは可可の記事なのでひとまず置いておく。

こうして残された2人は、可可が千砂都をスクールアイドルへ誘いつつも取り繕っていた(ように見えただけで本心から話していた)ところで、かのんの側が申し訳なさを吐露し始める。
私じゃなければ可可ちゃんはこんなに苦労しなかったかもしれない。私じゃ可可ちゃんの役には立てない。可可ちゃんに応えられない、と。

そんなかのんを抱きしめ、可可は語る。上海で夢を持たず生きていた頃に、スクールアイドルを知ったときの話。そして、かのんの歌声を初めて聴いたとき、それと同じくらいワクワクしたこと。そんなかのんと一緒のステージに立つことが、夢のひとつだということ。

この可可の告白シーン、2ndライブで5人が夢について触れる公式MADが流れていた際に、可可のパートで使用されている。
映像では、可可の告白音声をバックに、かのんと初めて出会った1話のシーン、かのんと一緒に千砂都にコーチされながらダンス練習を頑張る3話のシーン、かのんと一緒に朝の原宿を走る2話終盤のシーンが流れていた。
この映像の通りに読み解くのなら、1話から3話で共に過ごすうち、歌声以外の存在そのものにも惹かれたと言ってよいだろう。そして、先述した2話の終盤に朝の原宿でかのんと会って笑顔になっていたシーンも、この一環だとすれば合点がいく。

また、この告白シーンからは、可可のひたむきさは決して気遣いや思いやりから来たものではなく、可可自身がやりたいと思ったからやっている、という傾向もわかってくる。
この傾向は3話のみでなく、その後にも関わってゆく。

さて、そうして可可の真意を知り、奮起することとしたかのん(「呼んでよ」)。可可はそれに感激しながら、本番まで地道に練習を重ね、千砂都から太鼓判を押されるレベルまで仕上げてみせた。
そして迎えた本番で、可可は崩れた

かのんが歌えなければ1人で歌う、と啖呵を切った面影はそこにはなく、ステージには声を出せないアイドルと、震えて動けないアイドルがそれぞれ立ち尽くすのみであった。
かのんをステージへ引っ張り出すために獅子奮迅の活躍を見せた可可といえど限界はあり、それがこのステージの上で露わになり、結果として可可自身の夢にあと一本及ばなかった、という話だった。……という話になるはずだった。
が、“奇跡的な”停電が起き、仲間の姿を感じ、かのんが可可の手を握った、そこから全てが回り始めた。

こうして見れば3話は可可が夢を叶えるのをかのんが助ける話に見えるし、主役も可可のように思える。
しかし、話の大部分は可可がかのんを後押しするパートで構成されているし、後述するTiny starsではやはり可可がかのんの背中を押している。
こういった点を鑑みると、クーカーとはどちらか一方がもう一方を助けるのではなく、互いが互いを後押しする双方向の関係であり、2人とも主役なのだと考えることができる(というか常識でしょ)(エンドカードも2人並んでるしね)(かのんより可可が3話衣装着がちだけど)。

……クーカーの記事でなく可可の記事なので、このあたりで切り上げて4話へ行くこととする。

・4話



「かのんがいいデス」

4話の主役は、なんといっても本格的な登場が初であり、ミステリアスな役としてこの回を引っ張った平安名すみれであろう。
そのなかで可可は、3話までを共にしたかのんへの態度と、実質初登場のすみれへの態度を二分させている。

まずかのんへの態度をまとめると、推しを溺愛するオタクそのものである(この時期が一番オタクしてて楽しい)。
センターへかのんを猛プッシュする可可。そのかのんがセンター選挙でトップになったことを喜ぶ可可。去ったやつは気にするなとかのんへ言う可可。
どうやらクーカーから先は考えていなかったようで、この時点で5人になるとはまったく思っていないらしい(せいぜい、千砂都が入って3人になったらいいな、くらいであろう)(だいたい普通の神経をしていれば、葉月を勧誘するという発想がこの時点で出てくるハズもないし)。

対するすみれへの態度は、なかなか厳しい。
最初こそ期待の新入部員へ一定の礼儀をもって接しているものの、スクールアイドルを貶した行動であったとわかるや否や、キレちまったよ屋上行こうぜと態度が豹変。このいさかいは今後の展開へ禍根を残すこととなる……。

が、待ってほしい。4話で可可はたしかにすみれへ報復を考えてはいたものの(背中に氷を入れる刑だって、可愛いね)、終盤ですみれが正式に加入したときには、かのんの横で笑顔だったのである。
この点が重要で、可可は4話中で既にすみれへの恨みを失っている、というポイントを読み取れるか否かで、可可とすみれ、俗にクゥすみと言われる関係性の見方はかなり変わってくる(まあ公式がミスリードを誘っているし、すみれもそのミスリードを後押しして本人も少し勘違いしていたというか勝手に遠慮していたんだけど)。

・5話

「あいや〜!可可変な人だと思われてマス!」

5話のあらすじは、夏の練習場所探しをしているところで可可の推したるサニーパッションに神津島へ招待される、というものになっている。
初めて出来たスクールアイドルの推しであるサニーパッションへの思い入れは、もちろん相当なものである。いや、ライブを見たときの反応がわりと厄介寄りなオタクが見せるそれだし、時代が時代ならマサイになっていたかもだし、声出しくらい余裕でやっているだろうし、現場で近くにいてほしくはないタイプではある(初推しが自分のためにライブやってくれればそうなるのもわかるんだけども)(でも熊手UO持ち出すほど治安悪くはない、そこは間違いない)。

一方で塩対応が続くのが、平安名すみれに対するそれである。すみれへは口が悪い、と思うのは、かのんへの対応が柔らかいから感じる錯覚ではないらしい(雰囲気は悪くはないから互いにわかってやっているのだろうけれど)。
すみれへの態度は、練習のこととなると特に厳しくなる。しかし、そこで指摘しているのは練習への不真面目な態度である。決して4話のスクールアイドルへの敬意を欠いた態度のことは引きずっていない、という点は繰り返しておきたい。

・6話

「うぅ〜! 何か悔しいですぅ……」

かのちぃ回である。いや、正確には嵐千砂都回なのだが、嵐千砂都を描くならば自然と澁谷かのんも入ってくるのである。
そして裏を返せば、クゥすみ回なのである。
なので当然、平安名すみれとの絡みが中心となる。

この回で可可は、サニーパッションへ感謝の気持ちを伝えるべくご飯を作ろうと意気込むのだが、生憎彼女は料理が下手であり、すみれがゴーストコック(?)として代わりに作ってくれることとなる。
が、ここで流せないのが可可である。
結局、すみれの気遣いを可可は断る形となったわけであるが、ここで可可が何故断ったか、という動機については考え方が別れる点であると思う。

まず可可はウソを嫌う性格であり、それは普段は甘い態度を取るかのんに対しても同様である(9話)。可可自身が嫌いなウソをつくことに耐えられなくなった、というのは自然な考え方といえる。
もう一方で、すみれへ意地を張っている、という見方もある。この夕食のあと、ステージ作りで才能を発揮する可可が、これで夕食の借りはチャラだと発言するくだりがある。
つまり、可可もすみれの行動が気遣いだと認識していながら突っぱねたというわけであり、これはすみれへの気恥ずかしさから来たものではないか、という推測もできる。

前者はある程度根拠のあるものだし、後者も特に綻びは見当たらないものなので、どちらを取るか、あるいは両方を取るかは好きにして構わないのかもしれない。

……そろそろ文を書くのも重たくなってきたので、ここで記事は一区切りとして次に移ろうと思う。
part2では7話から12話までの可可をまとめ、アニメを総括したい。


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