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Folk Music For New York City / 街に住む人々のための音楽

“Don’t Know Why “ はどこから来たのか

お店に立っていると
「ノラジョーンズみたいな音楽って他にありますか?」
ってよく尋ねられる。
ポストノラ、ネクストノラといろいろ紹介されてきたアーティストは
たくさん出てきたけれど。
彼女がリリースしてきたアルバムはほとんど追っかけてきたし
コラボしてるレコードやカバー曲なども、くまなく買ってきたつもり。
それでもどれもこれもアルバム”Come Away With Me” を凌ぐ程ではなく
また彼女本人もこのアルバムを未だ超えてはいないような気がする。
(それほどの衝撃だったのだ)
彼女自身がカバーしている
Nina Simon やWillie Nelsonなど共演してるアーティストなどもお客さんに
薦めてきたりもしたが。

その “Don’t Know Why”収録の “Come Away With Me “から20年、
未発表曲などを納めたBox Set がまもなくリリースされる。

低迷期にあったBlue Note Records の復活と言ってもいい程の勢いと
多岐に渡っていろいろジャンルを超えてリリースする今のレーベルの姿を
推し進めたのは間違いなく彼女の功績だろう。
果たして”Don’t Know Why”はJazzなのか? Soul Music? Rock?
一般OLからレコードマニアまでも虜にしたこの唄はどこから来たのか?
そう、突然変異的に現れたわけではない。
“Don’t Know Why”は彼女が書いた曲ではなく
New York出身のシンガーソングライター Jesse Harris の作品で
(もちろん彼女のヴォーカルとアレンジあってのことだけれども)
その彼が Norah と出逢う前に
Rebbeca Martin と組んでいたバンドが『Once Blue』だ。
1995年にたった1枚だけリリースされている。
時代は違法ダウンロードやレンタルCD全盛期でアナログレコードさえも
リリースされなかった。
しかしこのアルバムにこそ
“Don’t Know Why “のエッセンスが詰まった
この後20年に渡る「前夜史」なのである。
ほぼ全曲が Rebbeca と Jesse の共作、プロデューサーにはFolk City の歌姫
ヴェガちゃん(僕は勝手にSuzane Vega のことをこう呼んでる)を世に出した
Steve Addabbo が務めている。
ヴェガちゃん好きならば『Once Blue 』にもどこかN.Yの佇まいを感じるはずだ。

都会にうつろう人々の何気ない毎日を綴った作品だけれども誰も気に留めない
その「日常」の唄こそが Folk Music なのだ。

Norahの人気もあって1996年唯一のライブ作品『Live at the Handlebar』も
2018年にリリース。こちらは配信でも聴ける。
このライブには幻となった2ndアルバムの曲も含まれていて
なんとギターにはこの時期既に Kurt Rosenwinkel が参加してる。
(2003年には新装盤『once blue』にひっそりと未発表曲も収録されているので
そちらも是非)
あとはもう初のアナログレコードの発売を待つばかり。
ソロとなったRebbeca Martin の代表作『Thoroughfare』は
日本だけでアナログ盤も出ている。
Jesse Harris 好きな方には Ethan  Hawke が監督を務めた映画のサントラ
『痛いほどきみが好きなのに』(The Hottest State)もお薦め。
彼の曲を全編、他のアーティストが唄ってる。
Feist,Willie Nelson,Cat Power,Brad Mehldau,そしてNorahも。
Ethan  Hawke の娘、Maya Hawke( ネトフリのドラマ、ストシンのロビンちゃんね、ママのUmaにそっくり) のポストノラ的なデビューアルバム★★★★も
Jesse との作品で、このあたりの繋がりなのかなと思う。



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