見出し画像

キャンプ道具、ブランド品じゃないとダメですか?

 私の国籍は日本です。(なんのこっちゃ)
 私がソロから家族とのキャンプに移ったのは、もう30年近くも前のこと。当時はテントと言ったらドームテントが先端であり主流でした。
 高いテントはメーカーのブランドロゴがプリントされていて、色もカーキやオレンジなど。青いテントは大抵安いホームセンターテントが多く、ロゴも聞いたことがないものばかり。それでもフライがしっかりしてて、防水スプレーをちゃんとかけていれば遜色はなく、普通のキャンプなら問題も無かったと記憶しています。一辺が2m四方のドームテントも、当時は4人用の大きな物だと思ってましたっけ。それがツールームやツードームのさらに大きいテントが出始めて、今じゃすっかりコンパクトテントと言われてますね。
 うちでも、以前のメインテントは4人用ドームでした。子供が小さい頃は家族4人で寝起きしており、テント内で着替えをする際も、中腰にすらなれない低さでも「テントはこういうもの」と思ってたんです。
 子供たちが家を出て、夫婦2人のキャンプになっても、しばらくはこの状態が続きました。2人で使うから、むしろ広くなったと。金銭的余裕と年齢はトレードオフの関係にある(?)ので、キャンプ道具も徐々に増えていきます。テントに銀マットで寝ていたものがマットを敷き、コットを入れます。薄ぼんやりした豆電球ランタンがLEDになり、寝心地居心地が良くなります。次第に寝るだけだったテントが、ちゃんと過ごす場所として機能しはじめます。テント1張り、チェアとテーブル程度から始めたファミリーキャンプが、快適さを求めるようになります。多くの場合、快適さは広さに関係しますので、やがてテントは大きくなり、タープを張り、座り心地の良い椅子を選びと、所帯は大きくなっていくんです。

 さてここで問題が生じます。大きくて立派なテントと、それに見合う立派なタープと、見劣りしないキャンプ道具を揃えるにはお金が掛かる。いくら歳を取って子供が独立して、金銭的に余裕が出てきたと言っても、湯水のように沸いて出るわけじゃない。夫婦共通の趣味だから、他のことより許認可のハードルは低いにしても限度があります。
 じゃあどうする? 中古を買うのもいいけど、やっぱり新しいものが欲しいじゃないですか。であるなら、ブランドに拘らないのもアリじゃないですか?
 今回はそんな「ブランドじゃ無い品」のご紹介をしたいと思います。実際に私が購入し、使用している物ばかりですよ。

1.テント

 最近の流行りはワンポールテントですね。まず見た目がオシャレ。一般的に見かけるのは、スカートがそのままグランド(地面)に下りているティピータイプ。ネイティブ・アメリカンのテントに似て、ラッパを伏せたような形です。
 設営面積は広いけど、裾が急角度なので室内の有効面積は見た目より小さい。なので我が家では同じワンポールでも、ベルテントにしました。あのアダムスキー型UFOみたいなやつです。
 ベルテントで有名なのはNORDISK(ノルディスク)ですね。比較のために我が家のテントと同じサイズ、同等仕様の価格を調べたら…

¥97,900-(Amazon調べ)

 きゅ、きゅうまん!? ……値段はともかく、可愛いでしょ? このタイプ、6mって言う、とんでも無く大きいのもありますが、2人だけなので、いちばん小さな直径3mにしました。それでも一辺2m四方のドームテントから見ればずいぶん大きいです。

¥34,999-(Amazon)

 私が買ったのはこれ。しろくまのプリントが無いだけ。それで値段は3分の1近い。何が違うの? なんか違うの? 調べてみても違いがわからん。サイズ、重量に大差なし。ってことは生地の厚さも大差ないよね。むしろ換気窓はこっちの方が多い。もしかしたら縫製が丁寧とか、ファスナーがYKKとか? それでも6万以上高いのは納得いかんです。

2.シュラフ

 睡眠は体調に直結します。いくら楽しいキャンプであっても、寝不足ではつらくなるばかりです。それも楽しく夜更かしをしたのならともかく、底冷えに震えて何度も目を覚ますなんて、悲惨以外の他でも無い。
 だからこそ冬はダウンシュラフがありがたいですよね。昨今は中空コットンなんてハイテクなのも出てますが、使い比べてみると同じ大きさ同じ重さならダウンの方が暖かい。ただ、やっぱり良いダウンは高い。
 ちなみにシュラフには限界耐寒温度の表記がありますが、本当にその温度でも熟睡できる保証では無いです。極論で言えば冬用のテントで室内にシートやカーペットを敷いて、コットにマットの上で使って、ヒートテックの上下でカイロを使ってで、ギリ耐えられる物だと思ってます。その前提で、なるべく薄着で寝られる設定が-15℃品かと思ってます。それで比較対象はNANGAのオーロラライト1000DXでしょうか?

¥69,800-(Amazon調べ)

 約7万かぁ。テントで節約した分にちょい足しで買えるなぁ。あ、二つは無理か。でも、こんながっつりマミーは苦手なんですよね。特に足は余裕が欲しい。片膝立てたりしたいじゃないですか。それで私が買ったのが下の写真。上半身マミーで足元レクタングル。ダウンは2.6kg入ってるらしい。と言ってもグースじゃなくアヒルだと思うけど。ダウンの質は量でカバーしてるっぽい。でも十分暖かいです。少なくとも11月中旬の標高660mの本栖湖で、長袖Tシャツで下はパンツ一丁でも熟睡出来ました。カイロは使ってません。あ、カバーは使ったっけ。

¥7,998-(Amazon)

3.チェア

 ちょっと前ならディレクターズチェア一択でしたね。しかしロングバックのリラックスを知ってしまうと、他のチェアは選べなくなります。座ると言うより包まれると言った感じの座り心地。背中を深く預けられたり、コンパクトに収納出来たり。カスタムパーツでロッキングチェアになったり、オットマンを付けたりできます。そしてロングバックリラックスと言えばヘリノックスのサンセットチェアでしょうか?

¥21,700-(Helinox定価)

 たっかいなー。ゼロひとつ間違えてないの? うちでチョイスしたのは下の写真。フレーム構造は一緒。メッシュが多いのが安っぽい? でも夏にはいいんです。

¥2,294-(Amazon)

 ほぼ1/10の値段。この価格差はなんだ。そりゃ最初に開発したアイディアやオリジナリティには敬意は払いますが、材料費や品質管理など生産コストと販売価格に乖離がありすぎてない?
 ここまで安くしろとは思わないけど、5,000円は切っていいと思うのですよ。それに焚き火を使う事が多いアウトドアで、火の粉によるダメージは絶対ある。実際、ちょっと飲み物を取ろうと席をたった隙に風で倒れて焚き火に炙られた事もあります。そんな時に気軽に買い直せる価格って大事。それはチェアに限らず、だけど。

4.ストーブ

 ダウンシュラフが暖かいなら、ストーブは必要なのかって疑問もあるかと思います。また、ストーブは安易に使って欲しくないリスクもあります。その点を十分に理解し、対策をする前提で使用してくださいね。
 重要な事なので最初にその説明をしましょう。テント内でストーブを使うと言うのは、燃料が石油でも薪でも変わりなく、火を燃やすということ。火が燃えるということは火災の危険があるのは言わずもがな。ストーブの周りから可燃物を遠ざけようとも、テント自体が可燃物です。引火すれば一気に燃え上がることは間違いないでしょう。
 次に危険なのは一酸化炭素。火が燃えるときには酸素を消費します。その酸素が少なくなると十分に燃えない(不完全燃焼)状態となり、一酸化炭素が発生します。これは色も臭いもなく、静かにテント内に充満していきます。一酸化炭素は毒性が強い上に酸素より血液中のヘモグロビン(赤血球)と結びつきやすく、濃度が100ppm(0.01%)を越えると頭痛や眩暈が始まりますが、キャンプではお酒を飲む事も多いために酔いと勘違いする事も。この時点では換気さえすれば回復しますが、「酔ったみたいだから寝るわー」とそのままでいると、判断力が低下し、身体が動かなくなります。そのまま酸素吸入などの適切な処置を受けないと、やがて窒息死に至るのです。だからcoチェッカーは必須!
 ちなみに薪ストーブの場合、燃焼時に発生する一酸化炭素は煙突から排出されますが、室内の酸素量が低下するのは同じ。一酸化炭素の代わりに二酸化炭素濃度が上がり、同じく酸欠となります。また、外で強い風が吹いている時や、換気用のファンを使う場合も、吸い込みではなく吹き出しにすると、排出されるはずの一酸化炭素がテント内に逆流しますので注意してください。

 十分にリスクを理解した上での使用を前提として。冬キャンや、秋でも標高の高い場所でキャンプする場合、夜間の冷え込みが強いこと、普通にあります。特に星が綺麗な夜は、地表の熱が上空に奪われる放射冷却により、強烈に寒くなりますね。また、テントやタープを張って焚き火をする場合、暖を得られる焚き火からテントまでは離さずを得ず、焚き火の始末してからシュラフに潜るまでにすっかり冷えてしまいます。

焚き火からテントは遠い

 そんな時に使いたい石油ストーブ。外は木枯らしぴーぷーでも、テントの中を春のようにしてくれます。家屋用の普通サイズは木造6畳用からのサイズですが、キャンプ用のコンパクトなのが人気ですよね。
 有名なのはトヨトミのレインボーストーブ。特殊なグローブ(ホヤ)で炎が鮮やかなブルーに見えてキレイ。

¥30,000-(近所のホームセンター調べ)

 ただしこれには難点も。この素敵なグローブは赤外線を遮断するんです。そのため、対流熱は出るけど遠赤外線効果が薄く、輻射熱が弱いので意外と暖まらない。そのため、つい火力を上げてしまいます。灯油の消費も増えちゃう。
 うちでは中華製ですが、ほぼ同サイズの普通のストーブを使ってます。これがまあ暖かい。輻射熱もバッチリなので火力も抑えられて燃費も上々です。一晩で2Lぐらい? 燃費良くって値段も1/3って良くないですか?

¥10,000-(Amazon 価格変動あり)

5.ペグ

 ペグも価格差が大きいアイテムですね。土なら金属、砂地なら太めのプラスチックなど、キャンプ地によって使い分けが必要ですから、ある程度は種類と本数を揃えておきたいところ。プラスチックペグはお手頃価格だけど、地中の石などで変形したり、ハンマーで負けて砕けたり。金属ペグはピンキリで、テントのおまけのアルミ棒は強度も無いし短いしで、とりあえずの物でしか無い。チタンは軽いし強度もあるけど、そりゃもう高い。バランスを考えたらスチールがベターかな?
 そこでスチールペグでの比較。有名どころはスノーピークのソリッドステーク。

¥462-(1本:Amazon調べ)

 テントって最低でも4本から7本、ベルテントならグランドに10本、スカートに10本の合計20本は必要。その他にタープに最低8本、強風時を考えたら40本は用意したい。ってぇことは、税込で¥18,480-!?
……鼻血出そう。そこでうちの選んだ対抗馬。写真は短い物だけど、ちゃんと同じ30cmの物。

¥1,500-(10本:Amazon)

 40本で¥6,000-。強度的にも問題無いです。砂利敷きのサイトでもガンガン行けます。

これらは一例ですが、他にもインフレータブルマットやコット、タープ、焚き火台、テーブルなども、安価でも問題ない、使う人が満足出来れば良いものはたくさんあります。
 その代わり、こだわりの一品、一点豪華主義なアイテムを選んで大事に持つと言うのも良いと思います。
 うちの場合、それがコールマンのツーマントルランタンなんですが。キャンプ場で1番ギンギラに明るいんじゃないかって思うくらい。そんな自己満足がひとつあれば十分な気がします。
 高級品がダメとは思わないけど、ブランド品じゃなきゃダメと言うのもなんだか窮屈。キャンプは持ってる道具の品評会じゃないのだから、もっと気軽に楽しみましょう。
 今回はそんなお話でした。