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ASOBIJOSの珍道中

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文筆家で尺八見習いの万里一空と、日本舞踊を習っている妻・MARCOによる、ドタバタ自給型ハネムーンの紀行文です。素っ頓狂で向こう見ずなアホ二人がカナダワーホリへ。果たして、無事に…
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2024年1月の記事一覧

ASOBIJOSの珍道中⑫:モントリオールで見た、良い仕事

 良い仕事とは何でしょう。  その人の靴を見ればわかる。手を見ればわかる。いやいや、話し方、振る舞いを見ればわかる。と言う人もいれば、はたまた、細部にこぼれがないかどうかだ。あるいは、長年の鍛錬によって、その人にしか成し得ない意匠が凝らされているかどうかだ。などなど。  千差万別、十人十色。正直に言って、私にもよくわかりません。  しかし、日本はもちろん、中国や東南アジア、インド、中東、ここ北米をうろちょろとしていても、素晴らしい仕事だなぁ、と目を疑うことは少なからずあるもの

ASOBIJOSの珍道中⑪:ようやくモントリオールにも春が

  コンクリートのビル群が並んだモントリオールの中心街の北側に、あまりに唐突に、近代フランスの香りがむんむんと立ち込める石造りの巨大な門が立ち現れまして、その門をくぐると、急に別世界のように、伸び伸びと育った樹木と芝が生い茂った一面の緑が広がります。その門からは広い舗装道がまっすぐと伸びていて、その左右のベンチに座った大学生たちのうたたねまじりの読書や、健気で不毛な色恋を、ふくふくとした花々の咲き乱れた花壇が縁取りを与えています。  カナダで最も長い歴史を持つ名門、マギル大学