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【9月22日】マーケットレポート 『米FRB、3会合連続となる0.75%利上げへ』

本日の市場

●株式市場&債券市場

…FOMCの結果が市場予想よりも「タカ派」姿勢だったことから、3指数揃って下落。以下、具体的なポイントをまとめます。

・政策金利見通しが引き上げられた。
→2022年末:4.4%(前回は3.4%)
→2023年末:4.6%(前回は3.8%)

・2025年までかけてインフレ退治をする見通し

・経済見通しの悪化
→「成長率⬇」「失業率⬆」「インフレ率⬆」
→23年の実質GDPが「−0.3%」となり、景気後退になると考えるFOMC参加者がいる。

Googleファイナンスより(9/21終値)

…日経平均株価は反落。7月19日以来の安値となった。22日にFOMCの結果発表を控え、警戒感が強く、運用リスクを回避する売りが優勢だった。また、前日の米国株が下落したことも指数の重荷になった。

Googleファイナンスより(9/21終値)


●為替相場

1ドル = 144.02 - 03
…FRBによる3会合連続となる0.75%の利上げ、そして、今後の利上げ見通しが市場予想より高い「タカ派」だったことによる日米金利差拡大を見込んだ円売り・ドル買いが優勢だった。

Googleファイナンスより

本日のトピック

①米FRB、3会合連続となる0.75%利上げへ

FRBは21日のFOMCで3会合連続0.75%の利上げを決めた。これにより、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は「3.00~3.25%」となった。
同時に公表したFOMC参加者による今後の政策金利見通しは
2022年末:4.4%(前回は3.4%)
2023年末:4.6%(前回は3.8%)
と6月会合での見通しから引き上げた。
パウエル議長会見では、「インフレ率が2%に戻りつつあることを示す明確な証拠が必要」「しばらくの間、引き締めスタンスを保つのが必要」と発言しており、金融引き締めへの積極的な姿勢は変わらない。

②中国ドル資産減少へ、米国債1割減

中国が保有資産を入れ替えている。具体的には、米国債を減らし、金保有量を増やしている。中国の7月米国債保有量は2021年末から9%減り、8月の金輸入額は過去最大だった。
背景は2つある。
①一つは、台湾有事への備えだ。仮に中国と台湾が武力衝突し、米欧日が金融制裁に動けば、中国の3兆ドルを超す外貨準備が凍結され、経済への打撃が計り知れない。
②もう一つは、貿易決済などで以前ほどドルに依存しなくなったためだ。ロシアと中国は決済通貨をドルなどから、ルーブルや人民元に切り替えて始めている。

③米株、「プット(売る権利)需要急増」

米株式市場で株価下落に備える「プット(売る権利)」の建玉が増えている。ナスダックに上場する5540銘柄ではプットの建玉が3月末から23%増加、その背景にはFRBの金融引き締めが長期に及び、景気後退が避けられないとの警戒がある。

プットとコールの建玉をみると、投資家がどのような業種、銘柄にリスクを感じているかが浮かび上がる。具体的には、金融や半導体建機など、景気変動の影響を受けやすい銘柄でプットを購入する動きが盛んになっている。

通常、金利上昇は銀行の収支改善につながる。たが、逆イールドなど中長期的な景気後退の予兆もあり、資金需要の低下や融資の焦げ付きが金融機関の業績を下押しする可能性が意識され、金融銘柄のプット買いが目立った。

④ショート動画、競争激化

中国初のTikTokが切り開いた「ショート動画」という新市場をめぐる企業間の競争が激化している。
米国の13~17歳を対象にしたSNSの利用実態調査によるとTikTokが67%。YouTubeは95%の利用率を確保しているが、売上高の伸び率は足元で鈍化しつつあり、TikTokとの競争激化への懸念が高まっている。

Googleは2023年からは、ユーチューブ・ショートの間に流す広告収入の45%を製作者へ還元する。また、「チャンネル登録者数1000人」といった条件を満たす必要があったが、この水準に達しなくてもショートの視聴回数が90日間で1000万回に達すれば資格を得られるなど、収入を得るためのハードルを下げ、製作者の取り込みを強める。また、独占や寡占、子供のSNS中毒への懸念を解消することもショート動画を手がける企業の課題となる。

個別銘柄関連トピック

①米ハイアット、日本の旅館運営へ参入

米ハイアット・ホテルズ・コーポレーションは、2025年をめどに日本で温泉旅館の出店を目指す。
水際対策の緩和で訪日外国人需要の拡大が見込まれるなか、外資系ホテルの出店拡大の動きが広がってきた。ハイアットは、国内で約20施設のホテルを運営しているが温泉旅館への参入は初めてだ。

世界経済フォーラムが発表した2021年旅行・観光競争力ランキングでは日本が初めて1位となるなど潜在需要は高い。一方で言語の壁に不安を感じる外国人は多い。ハイアットはグループホテルが予約できる多言語対応のサイトに追加するほか、ホテルで磨いた接客技術を生かし、インバウンドを取り込む。

②日立、イタリアへハイブリット鉄道納入

日立製作所は、イタリアの大手トレニタリアと、蓄電池とディーゼル発電を組み合わせたハイブリッド方式の新型車両を納入する契約を結んだ。受注額は最大で約1700億円になる見通し。
各国政府が脱炭素の政策を競う中、日立はCO2の排出が少ない鉄道を成長事業の一つに据えている。2021年にフランスの電子機器大手タレスの鉄道信号事業を買収することを決めるなど、海外事業の拡大を進めている。

③フォーエバー21、「脱ファスト戦略」で日本再進出

2019年に日本から撤退したファストファッションの「フォーエバー21」日本に再進出する。再進出では、「脱ファスト」を掲げて低価格販売のイメージを刷新し、幅広い年代層の需要開拓を目指す。

従来の「手頃な価格で新製品を大量に投入するスタイル」では、大量の在庫を生むため、環境意識を強める消費者から敬遠される一因があった。商品単価も「ユニクロ」より若干高く設定し、「トレンドとクオリティが共存したブランド」を目指すとのこと。

④良品計画、エアビーと連携し空き家再開発

「無印良品」を展開する良品計画は、米エアビーアンドビーと遊休不動産の再開発に関する連携協定を結んだ。
全国の空き家のリノベーションやインテリアコーディネートを良品計画が手掛け、その予約をエアビーアンドビーのウェブサイトで受け付ける。
水際対策が徐々に緩和される中、社会問題となっている空き家やシャッター商店街の空き店舗を、良品計画とエアビーアンドビーの共同開発によって観光資源として活用する。

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