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【9月16日】マーケットレポート 『貿易赤字最大、円安効果薄く』

本日の市場

●株式市場(9/15の終値)

ダウ:30961.82(▲173.27)
ナスダック:11552.35(▲167.32)
S&P:3901.35(▲44.66)

…新規の失業保険申請者数は5週連続で減少、市場予想を下回ったことで雇用が徐々に回復基調にあると考えられる。それにより、FRBが強気の利上げを続ける判断材料になるとの見方から、売りが優勢だった。
また、FRBが強気な利上げの継続を見込み、政策金利の動向に敏感な2年債利回りが3.8%台後半ほどまで上昇、ハイテク株の重しとなった。
日経平均:27875.91(+57.29)
…日経平均株価は小幅に反発した。前日に大きく下げた後で、自律反発を見込んだ買いが優勢だった。

●為替相場(9/16 5:46時点)

1ドル = 143.49 - 50(円安↓)
…レートチェック実施を受け、一時的に円高方向に進んだ昨日に引き換え、①アメリカとの協調介入のハードルの高さ
②外貨準備の限界があることで逆に円売りを誘発する可能性がある
ことなどから、「実弾介入はない」との見方が強く、円売りが優勢だった。

本日のトピック

①貿易赤字最大、円安効果薄く

8月の貿易収支は過去最大となる▲2.8兆円だった。単月では1979年以降最高。原因はエネルギー・穀物価格の上昇や円安などが挙げられる。
円安は基本的には輸出にプラス効果となるが、ここ10年で多くの企業が拠点を海外に移したため、円安の恩恵を受けにくくなっている。

ただ、財務省・内閣府がまとめた7~9月期の法人企業景気予測調査では、急激な資源高にもかかわらず、企業全体の今年度の経常利益は0.9%増とプラスの見通しだ。水際対策の大幅緩和によるインバウンド消費が期待される中、今後の企業の稼ぎがどこまで経済全体に循環するかが鍵となる。

②政府、観光促進策である「全国旅行支援」を検討

政府は、今秋中にも観光促進策の「全国旅行支援」を始める検討に入った。「全国旅行支援」は旅行先が旅行先が出発地の近隣地域に限られる「県民割」から切り替え、全国への旅行を対象にする。代金の割引とクーポン券をあわせて1日1人あたり最大1万1000円を補助する。制度の導入可否は都道府県が判断するしくみとする。
国内外の観光客を増やし、旅行各社や観光業界の需要回復を目指す。

③「時間短縮」と「一点豪華主義」スタイルが広がっている。

ヒット曲のイントロが昭和から令和にかけて短くなっているように、タイパ(タイムパフォーマンス)市場が注目されている。居酒屋市場は13年連続で縮小している一方で、ファストフード市場は堅調だ。買い物時間を短くするネットショッピング市場も5年で約4割拡大している。
自身が興味のないものへの出費を抑え、愛着のある対象にここぞとばかりに時間とお金を投下する「一点豪華主義」の消費スタイルが広がっている。

また、ソニーグループ会長兼社長である吉田憲一郎氏は「運転時間から開放され、移動中に映画やゲームを楽しむ」新しいライフスタイルを見据えている。日本人が1日に車を運転する時間は平均96分。1年間にハンドルを握る600時間に新しい価値が生み出すことを目指している。

④欧州、債券安・通貨安・株安のトリプル安

欧州で債券安(債券価格の下落)、通貨安、株安が同時に起きるトリプル安が進んでいる。ウクライナ危機を始めとした資源高によるインフレに中央銀行の利上げが重なり、景気後退への懸念が高まる。また、歴史的なペースで金利が上昇することで、債券価格は下落。歴史的なドル高の影響もありユーロは再びパリティ(1ユーロ=1ドル以下になること)を割り込んだ。

トリプル安は投資家がその地域から資金を一斉に引き上げることを意味する。欧州はもともと日本と並び「低成長、低インフレ」のエリアとして知られ、ECBもマイナス金利政策を探るほどだった。その低成長という根本的問題が解決していない中で、高インフレという新たな難題を抱え込んでいるのが今の欧州であり、そんな欧州の景気悲観が急速に強まっている。

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